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事業承継・第二創業研究会(第4回) 議事要旨

 

1.日 時:平成13年7月3日(火)14:00~16:00

2.場 所:経済産業省 国際会議室(本館17階西3)

3.出席者: (敬称略、五十音順)
井田 敏       全国商工会連合会専務理事
大野 正道      筑波大学教授
岡部 喜代子     東洋大学教授 弁護士
川村 耕太郎     東京商工会議所常務理事(代理 鈴木氏)
金子 和夫      国民生活金融公庫理事
菅野 利徳      全国中小企業団体中央会専務理事
倉島 光一(座長代理)株式会社倉島商店代表取締役会長
品川 芳宣(座長)  筑波大学教授
篠原 徹       日本商工会議所常務理事(代理 新井、坪田氏)
殿岡 茂樹      中小企業総合事業団理事
鳥飼 重和      鳥飼総合法律事務所 弁護士
中田 輝夫      株式会社ナカタ代表取締役専務
西田 晴彦      関西美術印刷株式会社専務取締役
平川 忠雄      平川税務会計事務所 税理士
山本 幸治      全国青色申告会総連合専務理事

4.講 師:
伊藤 暢      日本機械工業株式会社代表取締役社長
重永 忠      株式会社生活の木取締役

5.欠席者:
大淵 博義      中央大学教授
幸山 守       公認会計士 幸山守事務所
中沢 佐市      中小企業金融公庫理事
三木 義一      立命館大学教授
山田 昇       株式会社山七食品社長
若泉 征也      全国法人会総連合専務理事

6.議 題:
(1)開 会
(2)説明者の紹介
(3)説明及び討議
○事業承継・後継者育成を巡る論点について
(4)次回の検討スケジュールについて
(5)閉会

7.議事の概要
(1)説明  
○事業承継・後継者育成を巡る論点について   
菅野 利徳  全国中小企業団体中央会専務理事   
坪田 秀治  日本商工会議所産業政策部長 及び   
新井 豊吉  日本商工会議所中小企業振興部長   
井田 敏   全国商工会連合会専務理事   
伊藤 暢   日本機械工業株式会社代表取締役社長   
重永 忠   株式会社生活の木取締役   
から説明。
(2)討議  主な質疑応答の概要は以下のとおり。
[相続税について]
○中央会の資料の中にあるように、相続税評価額について、純資産方式と類似業種比準方式との間でここまで大きな差が出るのは、いずれかの評価方式が間違っているということではないか。国税庁に制度改正の意見を出すときに、評価方式に差がありすぎるということを指摘してみてはどうか。
○相続税が大変であるというのが共通の認識のようだが、ただ大変だというのは簡単。どこをどのように、どういう理由で改正すべきなのかを検討する必要がある。
○中小零細企業が存続するということで日本に多大な貢献をしていると思う。相続税をなぜ課すのか、国民経済上の利益は何なのかを考えることが必要。
○税については安ければ安いほどいいのは事実。そうは言っても、自分としては父と相談して退職金や功労金で相続税をまかなうべく、法の範囲内で最大限の対策をしている。
○頑張っている会社が事業を承継させる際に、国がペナルティを課すようなことがないようにしてもらいたい。
○自社株は公開していないのに莫大な税金がかかり、頑張れば頑張るほど大きな税額となる。株については額面で評価するようにしてもらいたい。
○昨年の通達改正で、類似業種比準方式による株式の評価に関する変更があったが、あれは頑張れば頑張るほど評価が高くなってしまう方式となっている。
○相続税率の最高税率の引き下げが必要。また、事業用資産の免税措置を早く導入してもらいたい。

[その他の税制について]
○全国連の資料中に、創業後数年間の税の免除という考え方があるが、通常は創業直後所得がないことが多いので、余り効果がないのではないか。むしろ欠損金の繰越期間の延長の方が効果があるのではないか。
○創業直後から、実力のある人には思い切って儲けられるようにするという観点からは、創業してまもない者への税の免除も意味はある。
○東京にはマンションを買うときに固定資産税を免除する制度もあるが、固定資産税のように所得に関係なく課される税を減免するのも一案。
○法人では、退職金支出が経費となるが、個人企業では認められない。個人と法人の間の税の公平性の確保が重要。
○他方、小規模宅地の特例など、個人だけに認められた優遇措置もある。

[中小企業大学校について]
○大学校の事業承継コースでは企業訪問などの実践的な授業があるともっとよかった。
○中小企業大学校時代の同期などとの人脈が金以上の資産となっている。同期や同じコースの先輩の中には倒産した者や先代を亡くして、相続に苦労している者など様々な者がおり、これらの経験を身近に聞けるのは有益。
○ 大学院でも社会人のための教育を行っているが、中小企業大学校とも何らかの連携ができるのではないか。大学院の方は、中小企業の後継者に入ってきてもらいたいが、企業出身の院生は少ない状況。

[事業承継・後継者育成について]
○経営計画書を作って常に3年~5年先を見据えて経営を行っている。自分は数十年後に子供に事業を譲りたいが、その備えは今から始めないとうまくいかない。自分が事業承継した時も、父が亡くなる3年ほど前に自分が社長となり、父は会長となった。これは事業承継が円滑にできた大きな要因だ。
○相続税の問題だけではない。事業をやるのは甘くはない。自分でやる気にならないといくら支援しても意味がない。
○重要なことは、受け継がせる者と受け継ぐ者との「結託」。色々父から指摘などをもらったし、父の経験を知っておくだけでも意味がある。親からは高校の頃から後継者としての意識を持たされていた。
○若い頃他社に勤務する経験を得たことや、早くから会社の資金繰りと人事について任されたことは大変役に立った。
○相続については、親子間の信頼関係が大切。相続税対策についても、親子で相談しつつ今のうちからできる限りのことをやっている。社員数百名とその家族のことも考えなければならない。
○会社を継ぐよりサラリーマンになる方が給料が多いのが実情。しかし、中小企業のいいことは、企業の許せる範囲内で冒険ができるということ。汗をかく楽しさもある。
○中小企業の楽しさを子供に教えることが必要。
○後継者となる子供の教育も事業と同じように並行して真剣に取り組んでいくことが自分の課題だと思っている。
○かつて父が亡くなったときには対策をしていなかったが、自分としては会社の将来を考えて、会社の者とも相談しつつ、毎年、遺言状を書いている。そのような用意をしておくことは重要。
○企業をどうするかについては、税理士から受けられるアドバイスには限りがある。企業全体について、広くアドバイスを得られるような仕組みが必要。   (以上)  

本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、出席者各位の了解を得たもの ではない。

<次回の予定>  
日 時:平成13年7月11日(水) 10:00~12:30  
場 所:三田共用会議室

<事務局>   中小企業庁企画課 廣瀬   電話:03-3501-1765  FAX:03-3501-7791