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事業承継・第二創業研究会(第3回) 議事要旨

 

1.日 時:平成13年6月27日(水)14:30〜16:30

2.場 所:経済産業省 国際会議室(本館17階西3)

3.出席者: (敬称略、五十音順)
井田 敏    全国商工会連合会専務理事(代理 海老原氏)
大野 正道   筑波大学教授
岡部 喜代子  東洋大学教授 弁護士
川村 耕太郎  東京商工会議所常務理事(代理 小林氏)
金子 和夫   国民生活金融公庫理事
菅野 利徳   全国中小企業団体中央会専務理事
幸山 守    公認会計士 幸山守事務所
品川 芳宣   筑波大学教授
篠原 徹    日本商工会議所常務理事
殿岡 茂樹   中小企業総合事業団理事
鳥飼 重和   鳥飼総合法律事務所 弁護士
中田 輝夫   株式会社ナカタ代表取締役専務
西田 晴彦   関西美術印刷株式会社専務取締役
三木 義一   立命館大学教授
山田 昇    株式会社山七食品社長
山本 幸治   全国青色申告会総連合専務理事
若泉 征也   全国法人会総連合専務理事(代理 秋山氏)

4.講 師:
平川 忠雄   平川税務会計事務所 税理士

5.欠席者:
大淵 博義   中央大学教授
倉島 光一   株式会社倉島商店代表取締役会長
作田 頴治   中小企業金融公庫理事 (敬称略、五十音順)

6.議 題:
(1)開 会
(2)説明者の紹介
(3)説明及び討議
○相続税に関する現状と問題点等
○中小企業における組織再編制度の活用
(4)次回の検討スケジュールについて
(5)閉会

7.議事の概要
(1)説明
○相続税に関する現状と問題点等について、事務局から説明。
○中小企業における組織再編制度の活用について、平川税務会計事務所 平川忠雄税理士から説明。 (2)討議  主な質疑応答の概要は以下のとおり。

〔相続税について〕
○相続の際に、株式が売れないため株式を相続したがらない例が見られる。株式の評価は、時価ではなく発行価額にすべきではないか。
○銀行に対しては、中小企業の場合は社長が個人保証をしている。通常のビジネスでは相手個人から保証を取ることなどありえない。税制と併せて、このような個人保証の制度も見直すべき。
○中小企業の株は、流動性がないのに、相続税評価額は取引価額を遙かに上回っている。額面の20倍、30倍という評価もしばしば。物納ができるようになったが、市場で売却する価値がないとして買取り(買戻し)約束を要求される。これでは、金がなく、物納もできず、破産の問題に直面するというのが現状。株だけでなく土地を含め、全て評価が実際の価値よりも高すぎる。バブルの崩壊後、路線価を上昇させたので、評価額が上がってきているが、これらは実態と合わないので、見直す時期に来ている。
○相続税、所得税及び固定資産税において「時価」の考え方が統一されている。しかし、相続は、第三者が関係しない極めて限定された間柄での財産移転である。各税法毎に「時価」のあり方は異なってもいいのではないか。
○海外において、事業用資産を売却した際の所得税の軽減措置にどのようなものがあるかについても調べてみてはどうか。
○事業承継の現実から見ると、承継される権利は2つあり、1つは財産的な受益権で、もう1つは管理者としての経営支配権である。事業承継の場合、財産よりは経営支配権の移転が主であるので、その時点では課税せず、財産が譲渡された時点で譲渡益に課税する等の方法等もあり得るのではないか。
○財産権と経営支配権は一体的であるため、経営支配権の裏付けを求めようとすると事業の継続という外形を要件とせざるを得なくなると考える。
○相続後、事業が一定期間(例えば、5年)続いていれば、「経営支配権の移転」があったものとみなせばよい。これで農業とのバランスも取れる。是非こうした仕組みを考えるべき。
○相続税は(税収でみれば)消費税の1%分に過ぎないし、また同族会社の株式に関する相続税収も小さいはず。これにもかかわらず、事業承継の相続税をゼロにできないのは疑問。日本の相続税が他国と比較して高いのは明白であり、軽減されなければ、優良な中小企業は日本から出ていってしまう。
○政府税調の中では、所得税や法人税についてはグローバルスタンダードに合わせて軽減させたので、むしろ資産課税は引き上げるべきといった論調もある。こうした議論にどう対処するかという視点も重要。
○実際上、株は換金できず、土地はどんどん下がる中で、事業用資産に高額の税金がかかるようでは、国民の豊かさは維持できない。例えば課税価額20億円に対し8億円を超える税金を現実に払えるであろうか。企業の存続のため、中小企業にはもっと低い税率を適用するべき。
○日本の相続税率の高さは、結果的には国の税収を増やす方向には役立っておらず、日本人の海外での蓄財を促しているだけだと思う。
○税率を下げて課税対象を拡大すべきという議論もある。日本は基礎控除が諸外国と比べて高いので、都内に3億円の家を建ててもほとんど税がかからないという現状がある。
○他方で、5月にアメリカのオニール財務長官は「法人税を全廃する」と言っている。相続税廃止だけでは生ぬるいという考え方のようだ。こうした世界の流れに合わせるべき。同族会社の株式に係る相続税収が3,700億円程度なら、非課税にしても影響ないのではないか。
○フランスでは生前贈与の促進策が講じられている。我が国でも、?自社株について住宅取得資金と同様に5分5乗方式とする、?配偶者控除(2,000万)の対象に株式も追加する、等の手当を考えるべき。
○他の税とのバランスの観点からの検討も重要。相続税については、個人が払えなければ会社財産を食いつぶして払うしかない。会社で拠出した納税資金に損金処理を認める等の特例が必要なのではないか。会社財産を個人に移すと課税されるのは、どうにかしなければならない。
○日本の相続税収は、国税全体の4%を超えていて、海外に比べて高い。実質的な減税を考えるべき。事業用資産の生前贈与に5分5乗方式を導入する等、不連続性の生じない、リーズナブルな負担とすることを考えて欲しい。また、農業とは異なり、サービス業等では業態転換が激しい。海外と同じように、こうした業態転換をした場合でも恩典が受けられるような制度とすべき。
○相続税の中で、事業用と生活用の資産を別立てにした制度設計にするのは一案。そうしないと、「これ以上儲けても無駄」という考えになってしまう。
○フランスの例では、資産家優遇ではなく、広い意味で雇用関係を継続させることを重視している。従業員の職場を守る仕組みという意味での事業承継税制を考えることが必要。従業員数に基づく控除制度なども一案ではないか。
○事業承継が円滑に行われないことの社会的なマイナスと、上手くいった際のメリットとを具体的に示すと説得力が出るのではないか。
○事業性のあるものと、個人の資産とをどう分けるかという点が重要。また、金持ち優遇という批判にどう答えるかも課題。所有権を個人用と事業用に分けられないので、例えばフランスのように何年続けたら事業用とみなすという方法も考えられる。
○上場企業は経営者が死んでも関係ないが、所有と経営が一体である個人の経営者オーナーの死は、会社の清算になってしまう。欧米のようにキャッシュフローに基づき株式等を評価するのが現実的。
○財産評価は、特に非上場会社の株式では、課税される側には酷である。他方で、何十億〜何百億という課税回避の実態があることも事実である。
○額面という捉え方自体が商法改正でなくなることもあり、収益還元で評価することは、今後検討すべき点。企業会計審議会においても取得原価主義から時価主義へという大きな流れがある。特に、収益評価についても配当還元ではなく、将来のキャッシュフローを現在価値に引き直して行うことが、検討されている。それと比較すると、現在の類似業種基準方式は既にかなり遅れた方式になりつつある。
○相続税では高い評価が平然と行われているが、従来、財産評価は相続税の評価通達しか基準がなかった。しかし、近年は、評価のメルクマールは多様化しており、利害関係者も多くなっている。
○「評価」の問題を超えて税金を軽減させようとすると、通達の見直しでは無理で、「特例制度」になる。この場合は、他の納税者(一般国民)も納得できるような制度を考えていくことが重要。
○上場会社であっても、例えば相続税支払のためにオーナーが株式を売却すると、株価が下がる点や株式が外部に流出する点など問題があり得る。

〔組織再編税制について〕
○適格要件が厳しい。弱い企業を助けようとはするが、強い企業を更に強くしようという観点がないから、アメリカの税制には及ばない。合併に係る税制は、かえって使い勝手が悪くなったとも言える。再編税制の運用については、連結納税制度を導入する段階で見直しがあり得るのではないか。
○事業の継続要件(従業員の80%以上が継続して従事する等)は厳し過ぎるとの指摘もある。

〔留保金課税について〕
○留保金課税と相続税は直接は関係ない。しかし、留保金課税は中小企業経営の基盤となる内部留保に重課しようというものであり、結果的に自己資本の充実を阻害しかねない。また、中小企業は事業承継時の相続税評価に当たり主に純資産に着目して課税される。これも中小企業の資産の蓄積に対して課税しようとする考え方である。いずれも、中小企業の発展には内部留保(内部蓄積)が本質的に重要であるとの現実に反するものであり、この点で中小企業経営にとっての問題としては性格が類似している。  

本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、出席者各位の了解を得たもの ではない。

<次回の予定>  
日 時:平成13年7月3日(火) 14:00〜16:00  
場 所:経済産業省 国際会議室(本館17階西3)

<事務局>   中小企業庁企画課 廣瀬   電話:03−3501−1765  FAX:03−3501−7791