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中小企業再生の今後の政策的課題に関する研究会
(第4回)議事概要

日時: 平成18年12月22日(金曜)10時~12時
場所: 野村総合研究所会議室
出席者
【委員】
松島座長、石塚委員、田辺委員、玉井委員、中村慈美委員、藤原委員、山口尚孝委員、山口義行委員、安田委員
【中小企業庁】
滝本経営支援課長、福本経営支援課課長補佐、高橋経営支援課専門官

  1. 開会
  2. 本日の出席者紹介
  3. 資料説明
    ・インタビュー結果を説明
    ・全国会議結果報告
    ・論点を説明
    ・中小企業再生ファンドの現状を説明
  4. 意見交換
  • インタビュー結果において、北海道の税理士の方がプロマネは弁護士がいいと話しているが、弁護士の常駐は難しい。常駐でやらなくていいのだろうか。
  • 金融機関に対する重しというのもあったのでしょう。いろいろあると思う。一つの意見として聞けばいいのではないか。弁護士でも頭の硬い人は難しい。常駐でかつ柔軟な人というのがいいと思う。

1)地方の協議会の支援策について

  • 協議会のメンバーの給料は誰からもらっているのか。金融機関、地銀からなのか。誰から給料をもらっているかによって左右されるのではないか。全国組織は手弁当でやるのか、自立した財源を持つのか。信金信組案件が増えると言っても、信金信組は経費の負担能力は低い。だから人を出せずになじみがないことともなる。
  • 全額国が負担しているのではないのか。
  • 原則、国が負担している。それ以上の場合の差額は、各出向元から支払われているかもしれない。100%手弁当はない。
  • 先日ある金融機関のセミナーにおいて講師が、協議会について、金融機関のシルバー対策とか、守秘義務が守られていないとか話していた。要は協議会が疑われている。こうした発言がなされると、企業も誤解する。きっちりしていかないといけない。
  • マニュアルを整備するとあるが、政府のやる事業であり、きちんと作らないといけない。しかしきっちり作りすぎると、地域性に対応できない。
  • 秘密保持の問題は地方ではなかなか難しい。先日あるプロマネと話す機会があったが、秘密がもれて企業が倒産した場合に請求が協議会やプロマネに来ないかと心配している、おそろしいということだった。それだけ守られていないのかもしれない。話が協議会に来ると、すぐ金融機関に連絡されることを恐れ、企業がこっそり行くことができないのではないか。
  • 金融機関の中にはRCCの初期の頃を連想する人もいる。創設時のRCCでは7割が金融機関出身者で手弁当で業務を行っていた。協議会は国の資金で運営しているということを明確に言っておかないと誤解が生ずる。
  • 出向元の案件はやらないというのが当然ではないのか。利益相反になる。
  • 県の人も誤解している。第三セクターの案件で、県の上の人がプロマネに対して、県も支援するから君も出身行に言っておいてくれなどと平気で言っている。誤解を生むもとになっている。
  • 地方のプロマネの方と話す機会があるが、そうはいっても地方には銀行が3つしかない場合がある。やる人もいないのが地方の現状である。関与をやめろと言うと、案件はなくなるし、その人自身もいつでも辞めますとなってしまう。また、金融機関出身者でないと金融機関間の調整はできない。
  • 中立的な人も入れておく必要がある。金融機関の人もいないと業務はできないが、ベストミックスを考えないといけない。中立性については対外的にしっかりと示さないといけない。
  • いい人材はフェアバリューで評価しないと集められない。報酬が重要である。
  • 中小企業からも金融機関からも相対的に独立している人を育成して関わってもらう方策はないのか。
  • もちろんある。常駐しないといけないので、リクルートが難しい。
  • リクルートと報酬の問題があるが、一番理想的なのは、メガバンクやRCCで経験を積み、地元に戻って仕事をしたいという人だ。
  • マネージャーを確固たる職業に位置づけることが重要である。私どもの銀行でも、ベンチャーキャピタルに行って再生をしたいという若い人がいる。身分の保証、所得の保証があれば可能性はある。
  • 銀行に就職しても辞めてしまう人が多い。証券やカード営業などをやらされ、当初イメージしたものと違い、やりがいがないということで、再生ファンドに行ってしまう。企業再生をやりたいという人は多い。一つの就職先として、恒久的な職業集団を作ることはできないだろうか。そこでやっていけるということでないと人材が育たない。
  • ある地方のファンドでは保証協会を辞めてきたという人がいた。協議会が時限となると難しい。
  • サブマネの報酬の件であるが、地方の一般的な給与水準は400~500万円がほとんどであり、現行水準でも決して安くはない。意欲のある人材を発掘し、2、3年でも協議会で経験を積んで、次のステップにしてもらえればいいのではないか。
  • 2年半前には時間がなく、とりあえず地域の金融機関に頼んだ。今回は時間があるので、きちんとリクルートをしてみたらどうだろうか。今いる人との関係を調整しないといけないが。
  • 全国組織には4つの機能があるとの説明を受けた。サポートしながら評価をし、問題を解決し、改善を図る。機能は素晴らしいと思うが、こうしたことを実現するためには一体どれ位の人がいるのだろうか。それを考えるとなかなか難しいと思う。
  • 事業面の再建であるが、弁護士は弁護士業務をやりながら必要に応じて対応する、税理士も税理士業務をやりながら税務の問題について必要に応じて対応する、全ての人が常駐しなくともできるのではないだろうか。
  • できる。常駐の必要はないかと思う。税理士は財務の再構築に口出しできても、事業の再構築に口出しすることはむずかしいのではないか。チームを作って対応するしかない。
  • プロマネ、サブマネが全体的な把握を行い、チームを構成し、ポイントごとにそれぞれの専門家が対応する。常駐は必要ないのではないかと思う。但しこのためには、地域ごとに地域の再生インフラを作っておかないといけない。継続的な勉強会を行い、ネットワークを作る。それができれば、要領のプロマネは必要に応じてピックアップして支援チームを構成することが可能となる。
  • 人材が不足というが、その中身を整理してもらわないとどういう人材をどのように育成するかという議論が出来ない。
  • 利用企業アンケートでは約45%の人が債権者間の調整をしてほしかったと回答している。この調整ができるのは金融機関の経験者でないとできないのではないか。むしろ積極的に金融機関退職者を受け入れてやるべきではないかと思う。すべての専門家が常駐しなくてもよく、二次対応がスタートして支援チームを組成してやればいいのではないか。
  • 全国組織の人員配置はたいへんである。各協議会では勉強会をやった方がいいと思う、やっていないのが不思議である。協議会は民間の事業としては成り立たないが、自分達でできる限りやっていかないといけない。地域にもいい人がいるかもしれない。税理士は普通、事業の再構築はやらないので、研修や勉強会で学ばないといけない。全国組織と並行して、地域でのネットワーク作り、研修会を行わないといけない。
  • 札幌では再生塾、島根では懇話会、沖縄では事業再生ネットワークが動いている。弁護士、税理士、会計士などが入っている。専門家をリストアップしておけばいい。地元の協議会で対応できない分は、全国組織で、作ることのバックアップも含めて支援していく必要がある。倒産弁護士ネットワークでは地域でセミナーをやるが、その後も継続しろと言っている。事業再生の専門家は全部集める。裁判官も情報や人脈を知らないと困るので参加するようになっている。
  • 全国組織と協議会のマニュアルや方針をあまり杓子定規で作られると困る。
  • 研修はこれまでもやっているが、参加しない所がある。私達はプロなので、自分達でやらせて欲しいという所がある。一方、一生懸命な協議会もあり、温度差がある。全国組織に仕組みや権限を持たせないと動かないのではないか。現状は積極的な所はどんどん連携しているが、全体的にはネットワークはできていない。
  • 勝手にやっているという状況を放置すべきではない。
  • 上手くいっている所を見ると人材の要素が大きい。まずはリバイバルオーガナイザーという人材だ。入口段階で再生の見極めができるセンスを持っている人である。次に、分析する人、経営者として再生を実行するターンアラウンドマネージャー、そして出口をアレンジできる人である。いくつも複合する機能があって成立する。金融機関調整も一つのパーツである。金融機関のロジックを知っている人がいればいい。全体の重しになる人も必要である。それぞれの機能に対して、全国組織がどういう貢献ができるのか考えないといけない。

2)再生熟度をあげるための支援体制について 

  • 中小企業診断士がその役割というが、そもそも診断士というのはどういう仕事なのか。
  • 診断士というのは経営コンサルタントである。経営全般というよりもそれぞれ専門分野があり、分かれている。協議会としては事業面の再生計画の部分を担って頂きたい。その業種をよく知っている人は理想的である。
  • 業種としては、建設、製造、サービス業などがある。どうすれば利益が出るようになるかを考えられる人である。しかしながら、同じプロでも差がある。最も厄介なのは、地方の経営者が言うことを聞かないことである。もっとも、言うことを聞かせるというのも実力ではあるが。
  • そうであれば、得意分野を示したリストを作って人材を蓄積し、活用すればいいのか。
  • 協議会でも受け入れる環境を作らないといけない。全国組織でも検討して欲しい。
  • 診断士は県の中小企業支援センターの人が勉強して取得したという場合が多い。プロのコンサルタントを目指したい若手もいる。格差がある。金融機関としては、事業のマーケティング、人脈に強い人がいれば活用できる。各県でバラバラであろう。
  • 診断士は中小企業庁経営支援課の所管である。もともとは都道府県が高度化融資を行うにあたって、診断をしないといけないので、中小企業大学校で養成したというものである。全国で18,000人位いる。半分位が協会に属しているが、古い人が多く、若手は少ない。診断業務はだんだん少なくなっており、コンサルをめざす人の資格となっている。支部代表は60歳代が多く、社会的ニーズに対応できる人材を育成しないといけないということで、進出したい分野の一つに事業再生があり、現在協会とも話をしている所である。
  • 中小機構が出資している中小企業再生ファンドについてはいい制度だと思っている。中小企業にはオーナー企業が多く、将来的にオーナーに復帰できる仕組であれば、お願いするのではないか。
  • 現在69社が中小機構が出資する再生ファンドを利用しているが、債権放棄があるので経営責任をとってもらいけじめをとってもらうことが、利用を躊躇される所となっている。経営責任といっても実態は息子さんが多く、父親は手伝っている。理解すれば利用は進むと期待される。
  • ガバナンスの問題はあるが、一定の期間後ファンドの保有株式を会社もしくはオーナーが買い戻すことを約束できれば利用されるのではないか。
  • ある事案では、3年後に買い戻すことでとりまとめた。5、10年で買い戻すということがあってもいい。こうしたことは民間のファンドではきつい。できれば5、10年まで時間をとって頂くのが公的ファンドの理想ではないか。
  • 現状では7年としているので、規模の小さいところでも使えるようになっている。
  • 民間ファンドはエグジットとして株で処理するが、規模が必要で地方ではあわない。
  • 公的ファンドは利回りも一桁そこそこであまりうるさく言わない。しかし1県では経済規模が小さく組成できない。複数の県となると地銀とうまくコミュニケーションできない。
  • 機構自体はお金は出すけど口は出さない。実際に口を出すのは民間のファンドマネージャーであり、企業再生のスキームを作り、モニタリングも行う。
  • ファンドに債権を売る場合には、損金扱いとなり税務面でもメリットがある。
  • 金融機関から債権が離れるので、保証人の問題の解決にも役立つ。
  • 協議会にとっては、公的な中小企業再生ファンドは必要だと思う。地域金融機関も実質的な債務免除を行い易い。
  • 地域の温度差が大きく、なぜ広がらないか残念である。
  • 民間ファンドがなぜ高い利回りを要求するかであるが、うまくいかない場合の糊しろも必要だからである。投資事業であるので、投資家に高いリターンを渡そうと思うと、リスクリターンの関係で、高い利回りを要求せざるを得ない。投資家募集の際にはトラックレコードという形でどれだけエグジットできたかも含めた全体のパフォーマンスを示さないといけない。各地の中小企業再生ファンドについてもそうした緊張感の中で一本立ちしてもらう必要があるのではないか。そうすれば再生可能性の高い中小企業に資金をいれていくことになり、投資される企業は「いい」企業と認められたことになる。そういう信頼が得られればベストであるが、中小機構出資のファンドはまだ投資したばかりで出口までいっていないのでははないか。
  • 中小機構が出資する再生ファンドを利用した69社であるがエグジットはほとんど出ていない。機構としても、早くエグジットを出して、機構の成果を示さないといけない。しかし、小規模企業の場合は、風評が怖くて名前を表に出せないということもある。
  • 先日の東京の公表案件の場合、信金は債権放棄をしてリファイナンスをしたということになっているが、これは何故良いのか。
  • 一行先が実質債権放棄を実施し、エグジットは複数行によるシンジケートローンで対応し、債権者からのガバナンスを働かせることとした。また、株主からのガハナンスについても、公的ファンドを使ったことで、全く別の姿で再スタートを切ったということになる。
  • 構成員が変わっているのでいいのかと思う。
  • RCCが中に入ると気持ちの上で、税務リスクが軽減される。
  • 協議会が入れば透明性が保たれ、税務上も問題なしとはならないのか。
  • 金融機関としては、迷っている所である。
  • 信金・信組との連携強化についてはどうか。
  • 金融庁との連携が必要である。
  • 信金信組案件の場合、財務の面はさておき、事業の所だけ改善させたいとのニーズが多い。そこをきちんとアドバイスしてあげることも重要ではないか。
  • 経営者が計数管理をしていないことが多い。放漫経営であり、コストダウン余地もある。計数管理を経営者にやらせることだけでも効果がある。監査役に妻や親戚を据えているのも問題である。役に立たない人に金を払っている。
  • 零細事業者のアドバイスは、本来、商工会等の役割だと思うが、実態上無理なのであろう。
  • まだまだコストダウンの余地がある。本来は銀行が言うべきである。なかなか言うことを聞かないのだろう。協議会が口を挟む必要があるかもしれない。
  • 信金は地域ごとの連携は強く、例えば近畿地区信金協会のようにだいたいブロックごとに社団法人としての信金協会がある。そこの人に協議会に入ってもらうのも一方策かと思う。まずはなじみやすくすることが重要ではないか。
  • 信金中金の人と話したらそんな余裕はないとのことだった。セミナーもやっているがなかなか集まらない。
  • 協議会主催でやったらどうか。地域の信金、信組に参加してもらったらいい。
  • 企業との相談会はこっそりやらないといけない。個別企業との面談は、メインバンクの応接間などがいい。
  • 全国組織についてはもう少しアウトラインを示してもらってから議論したほうがいいと思う。

3)協議会の存在意義について 

  • 協議会は民間事業としては成り立たないのではないか。将来的には、全国各地で必要なのか。ブロックで残したらとも思う。恒久というのはどうだろうか。時限で残したらと思う。2、3年で見直しをしたらいい。
  • 人材を育成するとなると、時限ということではいい人材は育たない。これから廃業が増える。創業はなかなか増えない。つぶしてはいけないのはつぶさないということがますます重要になってくるだろう。時限か恒久かはともかく協議会は続けていく必要がある。産業政策の中で、再生を一つの分野としたい。学者でも再生の専門家はいない。専門家も不足している。
  • 時限というのは、わが国の経済が早く立ち直って欲しいという意味で、期待を込めて言っている。早く専門家を育てる必要がある。
  • 景気が良くても悪くても再生のニーズは常にある。商工会議所の相談体制は再生については十分でなかった。専門的に組み合わされていなかった。診断とアドバイスは永久に必要な機能である。協議会は最低でも5年、あるいはもう少し必要で、その時に将来どうすべきか考えればいいのではないか。
  • 相談機能としては恒久に必要である。協議会の策定した再生計画はだいたい3~5年で卒業である。協議会も3~5年というように時限でやって、企業にこういうふうに動いて欲しいと示したほうがいいのではないか。3、5年経って今回と同じように見直すべきである。
  • プロの人材集団は時限では育たない。業務の内容は見直せばいいが、核となる人を育てているかが重要である。2年後に終了しますでは、人は集まらず事業再生の人材はいなくなる。恒久的にして、一定のプロ集団を育てるべきである。協議会は社会のセーフティネットではないか。これを通じて必要な資本移動を行うもので、経済の流動性を担保するためにも重要である。企業がつぶれるのを放置すると、起業しようという人が出てこない。やり直せることを示すことも重要である。高度成長期ではスクラップアンドビルドが当たり前であったが、成熟化した資本市場では協議会の機能は安定的に必要である。市場原理でなく、政策として堂々ということが必要ではないか。恒久的として、3~5年で見直すことは必要である。
  • 今後、道州制が議論される中で、県単位でやることがいいのか課題である。道州制を踏まえた組織づくりが必要である。
  • 見直すという意味で時限が望ましい。最初から長期でやっていくのはあまりよろしくない。産業再生機構も時限でやって、そこでの経験者は自分の実力で巣立っていっている。協議会も、そこでの経験を生かしてプロになってやっていく人材を育てる場所になればいい。なるだけ民間に移行するのが基本だと思う。
  • 人は5年などの任期制で採用し、協議会は事業再生人材が輩出する場所となるべきである。事業としては成立できないだろう。
  • インタビュー結果からも税制要望があったが、所得税については協議会でもネックになっている。引き続き要望して欲しい。外形標準課税も今回は見送りになったが、中小企業にとっては重要問題である。この点も協力して欲しい。
  • 利益相反の問題や守秘義務については、今後も身を引き締めて対応していかなければならないと思う。マニュアルでも、出身母体の場合は代理人をたてるなどの措置を考えたい。全国会議では、全国組織については我々を信用していないのかとの反発があったが、協議会は信頼性が基本なのでやりすぎと言われても体制はしっかりしていきたい。
  • 恒久か時限かについては、産活法の改定とあわせていくので経済成長戦略にあわせて、9年間の延長となる予定である。9年間という中で、中身については短い単位で見直しをしていかないといけないと思っている。
  • 再生の局面については、政策の中でもう少し重視していかないといけないと思っている。その中で協議会の位置づけ、全国組織の位置づけを考えたい。
  • 第5回は最終回となるが、平成19年2月16日(金)16:00~18:00で開催する。

以上

【問い合わせ先】
中小企業庁経営支援部経営支援課
電話:03-3501-1763(直通)