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中小企業再生の今後の政策的課題に関する研究会
(第3回)議事概要

  1. 日時 平成18年12月1日(金曜)10時〜12時
  2. 場所:野村総合研究所会議室
  3. 出席者
    【委員】
    松島座長、石塚委員、玉井委員、中村廉平委員、中村慈美委員、藤原委員、山口尚孝委員、山口義行委員、安田委員
  4. 議事次第
    (1) 開会
    (2)本日の出席者紹介
    (3)資料説明
      ・アンケート、インタビュー結果、論点
    (4)意見交換
  5. 議事概要

    1)地域金融機関には、再生に関するノウハウが蓄積されているのか

    • 「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」の進捗状況について(平成17年度)において、経営改善計画のランクアップ率16.5%は、この程度である。ランクアップの精度は各行横串で検証していない。当行については昨年10月にランクアップが適切であるかを金融庁が検査したが異議はなかった。従って、この程度かなと思う。不適切と指摘された金融機関もあったと聞いているので、各行で基準に差異があると思う。本部の企業再生担当部署が集中的に対応している所はランクアップ率は高い。一方、営業店で対応している所は遅い。金融機関の中の格差はある。やり方で高くなる可能性がある。当行ではランクアップ運動を行っており、ランクアップ率が業績評価の項目の一つに入って動機づけになっている。
    • 地銀、第二地銀、信金、信組にランクアップ率の違いがない理由であるが、売上規模は違うものの自己査定による格付では、各金融機関とも赤字幅、連続赤字などでランク付けしている。一般的に破綻懸念先がランクアップしやすいが、遊休資産や私財の売却などがあればランクアップする。金融機関の違いがあってもほぼ同様な状況であり、そのために似たような数値になるのではないか。
    • 経営改善支援先の選定基準であるが、当行の経営にどの程度影響を与えるか、再生可能かの2軸で重要度の高い順から選定する。
    • 経営改善支援先以外からの企業についても支援に応じている。但し、メインとかの関係で異なる。
    • ランクアップ率16.5%についてはどこも同じレベルではないか。ランクアップ以外にも、現状より悪化させないというのも改善支援だと考える。16.5%は決して低くはないと考えている。
    • 地銀、第二地銀、信金、信組のランクアップ率に違いがない理由は同様である。傷んでいるのがP/Lだけか、B/Sも見て、実現可能な抜本的改善先に選定し、DES、DDS、債務免除などの重たい計画を策定し、支援する。ランクアップする先もあるが、計画の実行を見ないとすぐにランクアップできない場合も多い。P/Lだけをいじって計画が作れるものは要注意先に多く、利益を計上したらすぐに正常先に遷移する。このような状況は各行で同様であろう。
    • 経営改善支援先の選定基準に、明確なルールはない。メインか準メインで、雇用や取引先数など地域に与える影響が大きな所、風評の問題を考え、個々に選定する。
    • 経営改善支援先以外からの企業が協議会に駆け込まれる場合、銀行側の認識が甘かったと考え、協議会とタイアップして対応する。メイン、準メインでない場合は、協議会もメインが動かないと調整しにくい。下位行の場合はメインの確固たる支援スタンスがないと、対応しかねる場合がある。
    • 確かにメインがはっきりしないと他が動かないだろう。
    • 平均のランクアップ率を見て、高いか低いかということでは議論できない。個別の金融機関でどの程度幅があるかということでないと議論できない。
    • 各行のランクアップ率についてはHP上で公開しているがそんなに差はない。ディスクローズするので、各行は横を見ていることもあり、意外とばらつきはない。
    • 地域の影響度を考えて選定すると言ったが、小さな企業は対応していないということか。
        年商の大きさ、規模の大きさ、従業員の多さだけではないのではないか。小さな企業は、債権放棄をしてまで再生させるインセンティンブが働かないので、対応しないということなのか。
    • そもそも、債務者数についても各行で違う。そのうちどれを経営支援先に選ぶかも各行で違う。

    2)協議会の存在によって、企業再生が加速化したのか

    • 企業再生については、協議会、ファンド、個別の取組みなどさまざまな手法で対応してきている。大上段に「協議会の存在によって」ということではない。但し、10,000社の相談があり、1,000社の再生計画を策定したということは評価できる。加速化したということは言えず、まだまだこれからである。
    • 協議会の役割であるが、金融機関に再生のあり方を普及してきたことが大きく、一緒に作り上げた価値は大きい。1,000社というのは全体の中のほんの一握りである。1社、1社を再生した事実も重要だが、再生という雰囲気を作ってきた事が大きい。協議会の計画策定支援企業のランクアップ率は、10割とは言わないが、8、9割にとなるべきである。 
    • 産業再生機構はメガバンクの不良債権処理が主眼であった。RCCは破綻金融機関の処理の一環として再生を行っている。協議会は企業の視点に立った再生である。そもそも金融機関の協議会の活用が低すぎる。協議会設置当時、金融機関との調整をどうするかが問題となったが、地域では金融機関のOBを銀行から協議会に出してもらった経緯がある。利害相反的な意識もあったと思うが、それぞれの協議会では適切に対応している。別の業界の人の場合、金融機関には苦手意識がある。協議会の常駐専門家に、金融機関OBが最も適しているかと言えば、しがらみの点でそんなことはない。
    • ランクアップ率については、母集団が違い、基準が違うので一律には議論できない。また、先数だけでなく、規模も見ないといけないかと思う。協議会案件については、よくがんばっている。再生可能と判断し、計画策定支援した案件だからか
    • 協議会の支援した案件については、メインバンクは必ずランクアップさせるべきではないのか。いろいろ考えて計画を策定したのであるから、本決算か次の決算で上げないのか。 
    • 金融機関にヒヤリングすると、実際はランクアップできるのだが、もう1年様子をみてみようというのも多い。本当にランクアップしていないものは問題である。
    • 協議会が絡む計画についての税の取り扱いが明らかにされたことから、協議会設置前に比べ税の対応がスムーズになった。それだけでも処理が進んだのではないか。 
    • 私的再生がなかなかできずに法的整理しかなかったのが、協議会で弁護士、税理士、メインバンクなどが話し合い、再生をどうするか議論し、対応を考えられるようになったことは、協議会抜きでは考えられない。企業が再生したかどうかは別にして、これまでの実績の件数を見ると、企業再生にあたって協議会の役割は大きい。

    3)協議会の再生計画の熟度は適正だったのか

    • 協議会は各行で具体的なアイデアがないような難しい案件を扱っているのではないか。業種を見ても、卸小売、宿泊、サービスなど難しい業種が多い。これらはイノベーションが進んでおらず、非効率的な業種である。他では見放すような案件を協議会で何とかならないかと持ち込まれ、何とか計画をまとめているのではないか。ランクアップ率もそれを反映しているのではないか。
    • 協議会に持ち込む判断としては、特に容易、困難ということではない。
    • 持ち込む基準はさまざまである。難しい案件でも持ち込んでいないものも多い。金融機関が合意して計画策定したのであるからさすがにランクアップして欲しい。難しかったら合意していないはずだ。
    • そもそも合意した案が甘かったということではないのか。 
    • とりあえず計画を策定して、時間をかせぎ、景気が良くなれば何とかなるだろうという程度ではないのか。 
    • ランクアップしていない案件は、もう1年様子を見るという案件が多い。財務面だけに手を入れて、事業面に手を入れていない案件が多いのではないか。
    • 協議会発足当初は、ノウハウの蓄積がなく、問題を先送りにしていたのだろう。2、3年目はDESや債権放棄を考えるようになり、処理が抜本的になった。現在の支援案件は、財務面にも深くメスを入れつつある。
    • 税務面だけで見ればあまり問題はない。債権放棄の額について無税処理を判断するだけであり、債権放棄の額については、支援者の体力を考えた計画もありうる。しかしながら、地方の案件などで事業リストラが十分でなく、これで良いのかと思う案件に出会うことがある。その業界は先細りで自力では困難でスポンサーも現れないものが、一転、売上増加の自力再生の計画を策定している事案があった。
    • 業界が先細りでスポンサーもいないということでも、やめますかと言えるかどうかである。見込みがなくてもソフトランディングの道を探すべきではないのか。協議会は破産してくださいと排除するのか。
    • 以前の分析した結果を見ると、企業の再生については、売上が増加しないと失敗する。人員のリストラはあまり関係しない。倒産企業とそれ以外の企業を比較すると、財務面だけのてこ入れではだめで事業面の抜本的な改革が必要であった。計画がうまくいく、いかないは、事業のリストラ、再構築が不可欠で、財務面の手当ては一時しのぎである。協議会案件は、財務面の手当てで終わっているのがほとんどではないか。数は増加しているが、本当は再生に寄与していないのでないか。つぶさないようにしておくことだけでは、日本全体ではマイナスだろう。計画の中身、特に事業面をブラッシュアップすることが必要である。
    • 支援者の体力も大切である。そうでないと自らが傷んでしまう。体力にあったものをフォローしないといけない。
    • 協議会がフォローアップするのは難しいのではないか。
    • フォローアップは重要だと思うが、現在の協議会の人員体制、人数では対応しきれない。金融機関の出身者は事業面を見る事は難しい。当初再生に関わった中小企業診断士がついていてフォローアップする事が本当は良いと思うが、そのコストまで国が見る必要があるのか。本来は企業が負担すべきだろう。フォローアップは大切であるが、計画策定が一番重要である。再生計画策定は3ヶ月から半年であるが、事業面まで検討したら1年はかかる。私的整理ガイドラインでは計画策定期間は3ヶ月ということであるが、事業面の検討期間は含まれていない。 
    • 私的整理ガイドラインは、一次停止から3ヶ月としているもので、実際はその前が長い。例えば3セクの再生の場合には、自治体が支援せざるを得ない。しかし自治体が再生をするとなると金融機関の支援が得られない。協議会のプロマネの周りには金融機関関係者が多く、抜本的な再生の協力を得られず、抜本的な再生を行うための人材がいないとつくづく感じている。 

    4)今後、信金・信組案件が再生の主役となるか 

    • 信金、信組は協議会だけでなく他の専門家の利用も少ない。専門家に支払うコストが出せないのではないか。貸出先の規模が小さく、費用対効果が低い。
    • 貸出先企業の水準としては、ほとんど破綻懸念先ではないか。当初は、事業面の改善を支援する事しか出来ないだろう。
    • 小規模案件を扱わないとなると、協議会の存在意義が問われる。
    • 事業の所だけ支援する事も必要である。事業面が改善したら、次の対応が開けてくる。
    • 金融機関はそもそも事業面、財務面を両方見るものである。今は事業面の支援ができていない。事業面を支援出来る人材が必要である。零細企業で財務がいいものは事業だけやるということが重要だ。
    • 信金、信組案件は1行取引が多く、協議会に持ち込む案件が少ない。事業面の再生については、銀行より第3者が話した方が説得力がある。前の支店長はこんなことを言っていたのに、あなたはなぜ違うことを言うのかと言われることがあり、再生の前段階で苦労する。1行案件でもこのようなニーズはある。複数行案件でも信用金庫は歩調を合わせるが、自ら主導してというのはまだまだ少ない。しかし信金には潜在的な持ち込みニーズはある。信組はそういう気持ちはあまりないのではないか。
    • 支援者の体力によるのではないか。現在も、地域の信金と並列メインの案件を協議会に持ち込もうと相談しているが、決算があり、多大な処理コストがかかるからできないと言われる。信金、信組がメインで抜本的な処理が必要なものは持ち込まないだろう。まだ、先延ばしをする傾向にある。リスケ案件なら持ち込むだろう。
    • 金融庁が厳しくなれば抜本的な処理をせざるを得ないだろう。
    • リレバンの対象は都銀から地銀に来て、次は信金、信組である。やるべきことはやるべき。
    • 信金信組は利益を目的とした団体ではない。会員の相互扶助を目的とした協同組織の金融機関であり、体力を蓄える方法がうまくできていない。ない袖は振れないのではないか。

    • 第4回は12月22日(金)10:00〜12:00で開催する。

    以上

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