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中小企業再生の今後の政策的課題に関する研究会
(第2回)議事概要

  1. 日時: 平成18年10月26日(木曜)16時〜18時
  2. 場所:野村総合研究所会議室
  3. 出席者
    【委員】
     松島座長、石塚委員、田辺委員、玉井委員、中村廉平委員、中村慈美委員、藤原委員、山口尚孝委員、安田委員、
    【ゲストスピーカー】
      PWCアドバイザリー(株)マネージングディレクター 大澤 真氏
  4. 議事次第
    (1)開会
    (2)「地方における事業再生 沖縄の経験から」
      PWCアドバイザリー(株)マネージングディレクター 大澤 真氏
    (3)アンケート途中経過、研究会論点
    (4)閉会
  5. 議事概要
    (1)「地方における事業再生 沖縄の経験から」
     PWCアドバイザリー(株)マネージングディレクター 大澤 真氏
    (事業再生の環境変化)
    • 2003年の事業再生研究機構の設立に関わった。
    • 当時は東京でようやく事業再生という考えが出てきた時期である。
    • 当時は地方の金融機関は事業再生の認識が出来ていなかった。メガバンクでも信用リスク管理の高度化が叫ばれていたが、専門家も不足しており、どうみても抜本的な事業再生プランになっていなく、破綻する企業も相次いでいた。
    • 3年間で状況はずいぶん変化した。特に、ここ1、2年は金融庁が中小金融機関に対しても検査を厳格化したこともあり、事業再生の動きが活発化している。
    • 直近では逆の動きもある。同じような失敗の轍を踏むのではないかと危惧している。
    (経営者の事業再生カルチャーが不足)
    • 「金融力」と呼んでいるが、経営者の金融に関する知識がほとんどないのが実態である。
    (事業再生専門家の不足)
    • 専門家も不足している。第3者機関としての協議会の役割が重要であるが、地元同士ではっきりものを言えない状況もある。
    (沖縄における対応)
    • 2005年、日銀沖縄支店長時代に沖縄事業再生研究会を立ち上げた。毎月研究会を実施し、年に1回シンポジウムを開催している。シンポジウムは毎回300名は来るなど大きな成果をあげている。
    • ヒューマンキャピタルを地道に作っていかないと事業再生は進まない。
    (質疑応答)
    • 沖縄では研究会の事務局体制がしっかりしている。毎月の勉強会の講師のアサインメント、シンポジウムの準備など大変で、すべてボランティアでやっている。引っ張っていこうという力がないと立ち上がらないし、運営も難しい。弁護士協会や公認会計士協会も積極的に動いてくれた。最後は人に依存する。
    • 地元金融機関は企業と密接にサービスを提供している。ホスピタリティを持って、パーソナルタッチのリレーションをしていると思いきや、実際は金融サービス業に至っていない。私がある企業の悩みを1時間聞いていたら、その経営者は、こんなに長く話を聞いてくれた金融機関はない、支店長は1年に1回位挨拶をする程度だ、と言っていた。十分に企業に接していない。企業側も金のことわからない人が多く、それを悪いとは思っていない。知識がないし、勉強する気もないのが現実である。本当に危機感を持っていただけない。理解の範囲を超えているのだろう。
    • 沖縄では日銀支店長、会計士会の事務局長などに人を得ていたと思う。また沖縄は先々の成長可能性と現状にギャップがあり、投資家としては魅力的であった。経済的な動機がベースであるが、それに加えて研究会などの事業再生のプラットフォームがあると動きやすい。他でもできないかということであるが、大分とかはよくやっている。エンジン役を買って出る人がいるかどうかで地域ごとに違いがあるのではないか。
    • 誰が旗振り役になるのか。経済産業省は金融機関とは遠い。行政ではなくて民間が自主的にやるのが理想的であろう。
    • イギリスでは中央銀行のバンクオブイングランドが事業再生に積極的に関与していた。ユーロトンネルなどの難しい案件を手がけている。中央銀行としての日本銀行はマクロ政策が主体であるが、当時は量的緩和をしていたが、融資に結びつかないでいた。企業が過剰債務状態で融資を受けられる状態になかった。そこで、事業再生のためのプラットフォームを作って日銀の政策の有効性を高めようという思いもあった。中央銀行はわりとやりやすい。
    • 行政がやってもうまくいかない。私は全国倒産処理弁護士ネットワークの立ち上げも行っており、関東ブロックで各都道府県ごとに支部を作るのを支援している。事業再生インフラを整備することは重要だ。弁護士だけでなく、誰でも参加して欲しいといっており、勉強会には地域の裁判所や大学の関係者がみんな来る。協議会も出ない所はない。
    • 立ち上げはまだ容易であるが、引き続いてやるのがたいへんである。やはり、自分の仕事と結びつく必要がある。やってみようという若手がいて、ニーズとマッチすると動いていく。
    • 沖縄では沖縄公庫が3割位の融資シェアを持っていた。彼らは積極的に関ってくれて、会議はいつも公庫の会議室であった。公庫としてもどう再生をするのか一緒に議論する重要性も感じていた。内閣府にはシンポジウムなどの後援をしてもらった。公的機関の後押しは活動を展開するのにたいへん役立った。
    • 行政が入ると公益性が高いと認識される。行政の効用は大きい。経済産業局が音頭をとることがあってもいいかと思う。
    (2)研究会論点
    (意見交換)
    • 協議会に持ち込んできた企業のニーズの多くは、資金繰りで何とかしてくれというもので、駆け込み寺で来る事案が多い。融資先を紹介してくれないかというニーズに対して、協議会は対応できないということになる。銀行が協議会を紹介するのはコンサルティングを受けて自助努力をしてもらうことであるが、銀行の期待と企業のニーズにギャップがある。
    • アンケート対象は2次対応の企業なので、さすがに再生計画支援のアドバイスが最も期待するものとなっている。
    • アンケートでは、再生計画支援のアドバイスをして欲しいと答えている企業が多い。これらの要望に協議会は応える事が出来ているのか疑問である。また、企業が協議会の活動を意外と知らず何とかしないといけない。
    • 資金繰りのニーズが高いというが、よく話を聞くと実は資金繰りではない場合が多い。協議会がきちんと話を聞いているのかなと思う。課題で指摘している処理が限定的というのはその通りである。地域ごとのバラつきもその通りである。但し、商工会議所に置いているが、協議会は都道府県内の案件に対応している。むしろ紹介する金融機関の認識の問題があるかもしれない。財務リストラが限定的なのもその通りである。フォローアップについては、人数もないので、モニタリング、フォローアップに限界がある。しかし、私的整理でもモニタリングしてくれるから協議会は価値があると言う人もいる。今後、力を入れていかなければならない。
    • 中小企業政策の多くがその程度の認識率かもしれない。認識を高めるためには、政府系金融機関で説明する方法もあるかもしれない。処理能力の限界というが、数を増やせばいいという訳ではない。成果を見るといいのと悪いのと二極化している。再生計画が表面的で長続きしない案件がある。この原因を見ておく必要がある。
    • 地域でバラつきがあるというが、そもそも各地域で自由にやっていきましょうということで始まったものである。しかしいくつか経験をしてロールモデルが出てきているのあれば、全国組織を作る意味もあろう。
    • 商工会議所との協調体制が十分でないと言うのはどうなのか。再生企業にはデリケートな問題もあり、あえて分けているということでもある。
    • 再生の最初に税理士会が出てこないと感じている。協議会案件には税制優遇があり、最後は税金の問題になる。協議会をやめると税制優遇がなくなるので、民間の活動に移行した場合には不安である。
    • 債権放棄をやらないと二次破綻の可能性がある。債権放棄をすると税の問題が出る。
    • ファンドの方から話を聞くと、税制については1件1件税務署と協議をして決めている。ルールを明確にして、税制上のメリットを追求すべきではないか。税は大きいと思う。
    • 税理士がもっと発言すべきである。協議会案件がRCCに持ち込まれると税制の特例が受けられるが、複数の債務をまとめて地域再生ファンドに売ると1行支援になり特例は受けられない。きちんと要望すべきである。
    • 税制についてはリスケでもからんでいる。個人が会社に私財を提供する場合には税がつきまとう。税務署に聞いても答えが出ない。ニュアンスでやる。ルールを明確にするのが本当にいいのかはわからない。税理士の力は避けて通れない。
    • 情報が共有化されていないのが問題だ。役所は前例主義なので、あの税務署で認められたからと言えばこちらも通る。全国組織があれば情報共有ができるかもしれない。
    • アンケートでは、上位、下位の金融機関の対応が異なっていたのが興味深かった。信用組合では利用する対象が少ない。同じ中小企業と言っても地銀が相手にする企業と信用組合が相手にする企業とは相当の違いがあることを反映しているのではないか。中小企業支援として一緒くたにして対応するのはどうなのか。再生支援に値する規模や社会的存在かどうかの議論があってしかるべきではないか。対象の絞込みが必要ではないか。
    • アンケートを見ると、実質債務超過の状態で、営業利益、経常利益が黒字の企業が多くある。粉飾をしているのではないかと疑う。決算は甘いのはわかるが、許容範囲なのだろうか。よく貸していたなあと思う。こうしたことをそのままにして事業再生をするのはどうなのか。
    • アンケートは予想通りの結果になっている。ある程度の売上規模、複数行の案件が対象となっている。こうしたのは地銀が多い。優先的に処理するためには、協議会の役割をしぼっていかざるを得ない。自分の会社の経営はわからない企業については倒産もやむなきかと思う。社会が何をケアしていくべきか考える必要がある。
    • 二次対応の案件は金融機関からの紹介がほとんどである。信用組合案件の持込みが少ない。持ち込まれたら、規模などを問わずに対応する。
    • 中小機構が関っているのは14ファンドであるが、そこで対応した企業のうち20人以下の企業も2割程度ある。案件はあるけど利益が出ていないから持ち込めない状況であろう。静岡では信金の持込みも増えている。規模ではなくコアの技術があるか、利益が出ているかなどで判断すべきであろう。まずは、金融機関が協議会に持ち込んで欲しい。
    • きらりと光る企業、そういう人が再生するのを助けるのが協議会であろう。信金も認識を変えて欲しい。但し、協議会は郡部にあり県庁所在都市と離れているということもある。協議会と信金の関係を高める努力が必要である。
    • ある信金は可能性をあるのをピックアップしたので全部見て欲しいと支店長自ら相談に来た。何回かやるとこつがわかってくる。的に入ったものを持ち込むようになる。
    • 財務のことしかわからない、資金繰りだという企業でも経営者が認識を変えてくれれば何とかなる。長い付き合いなので信金では言えない。そのためにも協議会がある。
    • 今後は論点を深掘りしていきたい。

以上

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 中小企業庁経営支援部経営支援課
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