中小企業再生の今後の政策的課題に関する研究会
(第1回)議事概要
- 日時:平成18年8月28日(月曜)18時~20時
- 場所:野村総合研究所会議室
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出席者
【委員】
松島座長、石塚委員、田辺委員、玉井委員、中村廉平委員、藤原委員(代理鈴木氏)、山口義行委員、安田委員
【中小企業庁】
滝本経営支援課長、福本経営支援課課長補佐、高橋経営支援課専門官 -
議事次第
(1)開会
(2)挨拶 経営支援課長
(3)座長および委員紹介
(4)中小企業再生支援協議会の現状について、調査の進め方、アンケート調査について
(5)中小企業再生支援協議会の成果と課題について、調査内容およびアンケート調査内容について
(6)その他 -
議事概要
(1)中小企業再生支援協議会の現状について、調査の進め方、アンケート調査について- 2次対応に進む企業が少ないのはどういう理由か。
- 1次対応で終了する企業は事業性がなく資金破綻の可能性が高い企業、又、経営者及びオーナーの再生に向けての意識付けが出来てなく再生計画を策定しても実行が見込めない企業、さらにサービサーや消費者金融の債権が主体で債権者数が多い等金融機関の手から債権が離れている場合等、調整が困難で私的再生が不可能な場合も2次対応に進めない。以上総合的に判断して2次対応を決定する。
- 1次対応から2次対応に進むのは、1~2割である。事業性が見えない場合は3ヶ月~半年程度事業実態を診断した上で2次対応へ進むか判断する。
- 1次対応の企業で再生の可能性のある企業は、イメージで言うと事業性見極めの為に一定期間診断を必要とする企業を含めて概ね3割程度と思う。
- 1次と2次の差ということであるが、再生の見込みがない、財務だけ改善すれば再生できるなど、いくつかにグルーピングされるだろう。
(2)中小企業再生支援協議会の成果と課題について、調査内容およびアンケート調査内容について
- 「中小企業再生支援指針」で、協議会の支援対象企業として「過剰債務、過剰設備等により財務内容の悪化、生産性の低下等が生じ、本業の経営に支障が出ている中小企業」とある。過剰債務の解消のために、金融機関はリスケや債務免除などを行うが、商業債権者の扱いはどうなっているのか。メディアでは協議会は地方版産業再生機構と言われており、専ら金融機関の金融負債の調整に目が向いている。
- 協議会は私的整理の一環で動いており。商業債権者の支援が不可欠であればそれも含めて考えることとなり、対象外としていない。
- そうは言っても、秘密保持が保たれないと地方では一気に倒産してしまう。商取引債権をいじったら全ての取引先が手を引いてしまうだろう。
- 中小企業の定義は、認定中小企業ということか。
- その通りである。
- 数が増えているのは一般的にはニーズがあるということでいいことであるが、再生の場合は、具合の悪い人が増えているということで必ずしもいいこととは言えない。全般的に景気が回復している中で数が増えているのはどういうことか。
- その要因についてはまさにこの研究会で議論してほしい点である。地域では潜在的にはもっとニーズがあるという声もある。今まで相談にきたことがない企業の数が増えているのはいいことかと思う。
- 第1次対応企業においてはいろいろな企業があり、いい技術を持っていながら財務面で傷ついている企業から、本業も沈みがちな企業までいる。セーフティネットでいくのか、政策の位置付けはどこにあるのか。
- なかなか難しい。都道府県で差もある。風評被害が怖くて来られない企業もいるだろう。こちらからは再生しましょうと押しかけることはできない。再生により事業の存続が可能となることが重要と考えている。再生に値する企業がどこにいて、どのようなアプローチをすればいいのか議論してほしい。
- ファンドは47都道府県で12しかできていない。あるファンドのマネージャーに聞くと、県内に案件は山ほどあるという。全国で考えると、相当のニーズはあるはずである。ファンドは強力なツールだと考えるが、2年前に立ち上がって、試行錯誤でここまで来た。ニーズはあるけど運用する人材がいないということではないかと思う。金融機関も使えることがわからないと存在しても機能しない。50人以下の企業についてはコマーシャルベースでは機能しない。そのような企業に対して、公的ファンドがある。
- 地銀や信金に活用ニーズがある企業を持っているのではないか。実質的に眠っていると思う。
- 相談件数とファンドは裏表と考える。地域金融機関はもっとレベルアップして相談を受けるようにしないとファンドは機能しない。相談に行ったら格下げされるということもあり、行き場のない債務者が協議会を活用している。
- 再生ファンド、公的ファンドがあれば再生できるというのは間違いである。地域経済とのかかわりがある。万能薬ではない。
- 窮地に陥ったらお金も人も入れるという従来型のメインバンクシステムが崩壊している。相談のしようがない中小企業が出てきている。銀行も協議会に回す。相談件数の増加はそのような状況を反映している。
- 早期再生、迅速再生と言いながら全く逆行した状況になっている。金融機関に相談した途端に懸念先になってしまうので、いく所がない。金融機関も支援協はどうですかと勧める。そういう状況で相談にいく。相談で終わるのが7、8割となる。遅い。
- 協議会発足当初は電話等で企業経営者から直接相談依頼が多かった。その後、早期不良債権処理の一環でメガバンクから破綻懸念先、実質破綻先クラスの案件持ち込みが増えた。最近はメガバンクの不良債権処理が一段落し案件紹介はやや減少し、金融庁の指導強化もあるのか信金等からの相談が増加している。但し財務の傷が深くて手の施しようのない案件も多い、1割程度が事業性も認められ支援可能な案件である。
- 東京商工会議所の指導員や会員向け又、金融機関等で協議会の説明をする際に早期健康診断をするつもりで相談に来てくださいとお願いしており、人間に喩えれば国立病院の健康診断機能と言っている。相談企業からの話では、協議会発足当初は認知度が低く、取引金融機関から「協議会に行ったら貸出しない。」と言われたこともあったが、最近は金融機関の理解も進み、圧倒的に金融機関からの紹介案件が増えている。
- 最初は金融問題から始まり、金融機関と中小企業を仲介して知恵を貸しましょうというのが協議会の発端であったと思う。金融機関としては助けられるものがあれば早めに助けたいという理由があり、協議会はそれを見定める役割を担った。
- そもそもつぶれるものはつぶれてもしょうがないという市場原理主義と、つぶれかけていても再生させましょうという協議会の考え方は反対にある。なぜそのようなことが必要になったのかというと、あまりにバブルの影響が大きくて、すべてを中小企業の経営者に負わせられないという考えがあったからである。いい企業も一緒につぶれてしまうことを防ぐということと、金融検査マニュアルなど新しいルールに対応できない中小企業者があったからである。
- しかしながら、こうした混乱期が終わった現在、改めて存在価値を位置づけ直さないといけないだろう。それは相談件数の増加といった量的なものではない。
- 先ほど3割位が再生可能ということなら、私はホームドクター的な機能は必要と考える。
- 何を再建するかを考えた時に、会社ではなく事業を再建するのだということを明確にしないといけない。カンフル注射ではない。事業再生という点が甘いのではないか。財務リストラをしてもまた悪くなる企業も多い。
以上
【問い合わせ先】
中小企業庁経営支援部経営支援課 電話:03-3501-1763(直通) |