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新しい中小企業金融研究会(第5回)議事概要

  1. 日時:平成18年6月30日(金曜)10時〜12時30分

  2. 場所:三田共用会議所 第3特別会議室

  3. 出席者:
    【委員】
    村本座長、池尾委員、江口委員、奥委員、樺島代理(北村委員代理)、佐藤委員、 清水委員、瀬尾委員、鶴谷委員、堤代理(戸田委員代理)、中村委員、橋本委員、 平木委員、星野委員、丸山委員、吉野委員、綿貫委員
    【中小企業庁】
    寺澤金融課長、三浦金融課課長補佐、小林金融課課長補佐、大貫金融課課長補佐

  4. 議事次第:
    (1)開会
    (2)「新しい中小企業金融研究会 報告書」とりまとめについて
    (3)閉会

  5. 議事概要:
    報告書(案)について
    (1)はじめに
    • 中小企業の信用リスクが高い理由として、自己資本比率が低いことに加えて、そもそも規模が小さいこともあげられる。
    • 資金繰り判断DIを材料に、「小規模企業の資金繰り状況の改善に遅れがみられる」としている点について、確かに、バブル期に比べると水準が低いものの、「それではどの程度の水準まで求めるべきなのか」という点については判断が難しい。
    (2)企業ステージ別の資金供給
    【創業・成長局面での資金調達】
    • 業績連動型融資は、継続的にモニタリングを行う等の事務コストがかかる等実務面で課題が多く、民間では取り組みにくい分野である。公的機関での試験的な取り組みが必要。
    • 民間金融機関が新株予約権付社債・貸付に取り組む場合、当該新株予約権の評価に係る税務リスクを抱えることになる。未公開会社の新株予約権の評価方法を確立する必要がある。
      【再生局面での資金調達】  
    • 地域における事業再生本格化のためには、企業内部から再建を手掛ける人材(ターンアラウンドマネージャー)が不足している。また、再生支援協議会によるハンズオン型支援も求められる。
    • 再生企業にスポンサーが付くことを喜ぶ向きが一部の銀行等に存在するが、これによって自身が得られるリターンが小さくなってしまうことにもっと意識を払うべきである。
    【事業承継】
    • 事業承継は喫緊の課題。事業を引き継ぐ意思を有する役員や従業員といった個人向け貸付にも積極的に取り組むべき。
    (3)経済・金融環境に左右されにくい資金調達
    【売掛債権担保関連・ABL関連】
    • 英国のフローティング・チャージ(注)のような包括的な担保制度が日本にもあればよい。現行の制度では、工場財団抵当の場合、利用可能な業種に限りがあるなど、課題も多い。
      (注)浮動担保。企業担保の一種で、企業の動産を含む一切の財産に対して担保権を設定するが、企業が通常のビジネスの範囲内でこれらの財産を処分すること(floating)を認め、債務不履行など一定の事由の発生により処分を停止させて特定担保となる(crystallize)。
    • 米国では、フランチャイズ・ファイナンスが盛んに行われている。フランチャイズ型の出店にあたり、動産等全てを担保としつつ、出店場所等からキャッシュ・フローを予想して融資を行っている。
    • 我が国には、英国のフローティング・チャージのような担保権者に有利な制度がなく、回収や私的整理の局面での商慣習もあり、動産担保は使いにくい。
    • 法制審や金融審で審議されている電子債権については、手形に代わる決済手段としての活用やシンジケートローンのセカンダリー・マーケット創設等の効果が期待されているが、利用者にとってのメリットについては、十分議論がなされていない。
    【中小企業の自己資本充実】
    • 金融検査マニュアルでは、預金取扱金融機関が行うDDSは、他の金融機関も自己資本とみなすことができるが、ファイナンス会社が行った場合には、自己資本とみなされる訳ではない、という点で課題を有している。
    • 劣後ローンの有効性に関する認識が低いため、啓蒙活動等に努めるべき。
    【担い手の多様化】
    • 免許制である信託会社が貸金業を営む場合、貸金業登録を行う必要が本当にあるのか明確でない。保険業法に基づく免許を得ている保険会社が貸金業を行う場合、改めて貸金業登録を行わないですむように、信託会社についても同様の手当を行うことが望ましい。
    【貸出債権証券化の推進】
    • 証券化を活性化するためには、金融機関に残存する劣後部分の最小化とスキーム組成に係るコストの低減がポイントとなる。
    • 包括的な担保制度として、ホールビジネスセキュリタイゼーション(事業全体を対象とする証券化)というものも海外では活発に行われている。
    • 各保証協会が行う地域CLO、県を跨って行われている広域CLO等の取組みも重要。
    【本人保証・第三者保証】
    • 本人保証の合理化にあたっては、モラルハザードに留意する必要がある。
    • 保証人非徴求の推進に伴って、貸し手が負い切れないリスクが生じる可能性がある。このリスクを誰が負担するのか、信用補完制度の改革のなかで検討して欲しい。
    (4)円滑な資金供給に向けた基盤強化や環境整備
    【中小企業の情報開示促進】
    • 納税申告の決算書と銀行提出の決算書とが別のものとなることを避けるため、本人同意を前提に、決算書を税務当局から銀行に送付するような仕組みを検討すべき。こうした改善が図られる際には、預金取扱金融機関に限らず、ファイナンス会社の利用も検討すべき。
    • 税務当局が提供する電子納税ソフトは、エラー部分が明示されず、使い勝手がよくない。
    • 情報開示についても、会計士や税理士を活用することを明記すべき。
    • 電子申請・納税の普及とあわせて、決算書の電子媒体による提出も推進すべき。
    • 人材育成やノウハウ蓄積が課題。中小企業側には財務リテラシー向上が、金融機関側には融資判断に係るノウハウ取得が求められる。そのためには、会計士等の活用が有効。
    【クレジットヒストリー、信用リスクデータベース】
    • 収集項目数やデータ徴求頻度など、信用リスクデータベースにはまだまだ拡充余地がある。
    【信用補完制度】
    • 協会保証を利用する企業の約8割が従業員20名以下の小規模先である。費用対効果の観点から民間金融機関は小規模企業向け対応に消極的にならざるを得ないこともあるため、公的支援は必要。
    (5)その他報告書(案)全般等
    • 報告書は非常によくまとめられている。
    • 金融機関において、地域の実情を踏まえた目利き等の能力の育成が重要。
    • 研究会で議論された多くの個別施策は、小規模企業にも可能な限り導入されるべき。
    • 地方では事業承継や再挑戦が課題であり、商工会や商工会議所の担うべき役割は重要。
    • 研究会を通じ、ファイナンス会社が中小企業に対してサポートできる余地を再確認した。
    • 報告書に記載された施策を中小企業に十分に理解してもらうため、テクニカルな用語は極力避けた方がよい。
    • 「企業間信用」や「中小企業向け貸出債権のセカンダリー・マーケット」についても今後検討して欲しい。
    • 今後、個別施策実現にあたって、現場の実態等を説明する必要があれば、ぜひ協力したい。

以上

【問い合わせ先】
  中小企業庁事業環境部金融課
  電話:03−3501−1511(代表) 内線:5271