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第1回 「中小企業金融の多様化と円滑化に向けた
具体策に関する研究会」

平成15年5月9日
中小企業庁事業環境部金融課

事務局作成暫定版

第1回 「中小企業金融の多様化と円滑化に向けた具体策に関する研究会」
<議事要旨>

開催日時:平成15年5月9日(金)18:00~20:00
開催場所:経済産業省本館17階国際会議室

議事次第
 1. 開会
 2. 座長の紹介
 3. 事業環境部長挨拶
 4. 中小企業金融の現状と課題について
  「中小企業金融の多様化と円滑化に向けた具体策に関する研究会」 資料1
  (1) 中小企業金融の現状について 資料2-1
  (2) 中小企業金融システムの現状について 資料2-2
  (3) 中小企業金融の多様化と円滑化に向けた具体的スキームについて 資料2-3
 5. WGの設置について 資料3
 6. 総括・閉会の挨拶

議事概要:討議における主な意見等は下記のとおり。

1. 中小企業金融の現状と課題
・ 現下の中小企業をめぐる金融環境は厳しく、これまでの取組に加え、早急に具体策をとりまとめる必要がある。
・ 中小企業金融における問題の本質は、借入側(中小企業)の視点と貸手側(金融機関)の視点との間に大きなギャップがあること、与信にあたって予見可能性が低いことにある。
・ 中小企業金融の課題を解決するためには、CRDの充実、会計の信頼性の向上等の取組に加え、流動化、投資家の育成、公的支援等を組み合わせて実施することが必要である。
・ 現在、銀行等にはリスクが過度に集中しており、円滑な資金仲介がなされてない。また、銀行等は預金を運用していることから、安全運用を行うことが通常である。リスクマネーの供給を促すためには、銀行預金の魅力を減らすこと等により日本全体の資金の流れを変えていくことが本質的な課題である。

2. 中小企業の財務データの信頼性
・ 中小企業は利益計上よりも節税を強く意識している傾向があり、その財務データの信頼性は大企業と比べて劣ると思われる。しかし、CRD(中小企業信用リスクデータベース)により中小企業のデフォルト率を財務データを用いて分析してみると、P/Lにおける利益関連指標とデフォルト率との間には相関関係が見られない一方、B/Sにおける借入関連指標とデフォルト率には高い相関が見られる。
・ 中小企業者がCRDスコアを上げるため何をすればよいのかを知ることができるようにしてはどうか。


3. 証券化について
・ 証券化の手法は、現下の中小企業金融の課題を解決する万能なものではないが、複数の債権をプールし大数の法則を活用することで個々の財務データの信頼性等を補い、中小企業の資本市場へのアクセスを促進させ、従来の間接金融を補完し資金供給チャネルを複線化するものとして発展させていく必要性は高い。
・ 証券化等は、リスクの分解・移転を行う有効な手法であるが、その組成においてはリスクに見合ったプレミアムが徴求されていることが大前提となる。
・ 中小企業関連資産(中小企業向け貸付債権、中小企業が保有する売掛債権等)は、個別に見ると分散は大きいが、それを束ねプール全体で見ると分散は小さくなる。必ず一定のデフォルトが発生する中小企業金融においては、個別債権毎に厳格な審査を行いそれを積み重ねると合成の誤謬を招く。
・ 組成した証券を発行してから償還するまでの管理も重要である。
・ オリジネーターが証券化を行う目的は大きく分けて、資金調達とリスク移転。このうち、現時点では、銀行は預貸率が低下しているくらいであり、証券化を行うメリットとしては、資金の調達ではなくリスク移転である。
・ 現在、リスクを引き受ける投資家が不在。政府系金融機関等の公的部門がプレーヤーとしてリスクを引き受けることが求められる。

4. ファイナンス会社等について
・ Jローン等の新たなビークルの創設等、資金供給主体の多様化を進めることは、中小企業金融の多様化を図る観点から必要である。
・ 自由に業務を行うことができる点がファイナンス会社の良さ。規制を強化するのではなく、真面目に貸金業を行っているファイナンス会社に対する社会的認知を上げることが必要である。
・ 現状、未整備であるミドルリスク市場を担う主体には、銀行等よりもむしろファイナンス会社の役割が期待される。

5. 中小企業金融のインフラ整備
・ 電子ファイナンス市場の整備等、中小企業の資金調達におけるインフラ整備を進めることが重要である。
・ CRDに加えて、中小企業向け貸付条件のデータベースを整備することが全国的なCLOを組成するために有益ではないか。

 

【問い合わせ先】
中小企業庁事業環境部金融課
電話:03-3501-1511(代表)(内線5271)