日時:平成28年9月21日(月)
10:00~12:00
場所:経済産業省別館1111共用会議室
出席者
品川委員、荒井委員、飯野委員、後委員、榎本委員、及川委員、大山委員代理種山氏、河原委員、神林委員、渋谷委員、清水委員、瀬上委員、瀬戸委員、髙井委員、田中委員、玉越委員、内藤委員、長島委員、山本委員、幸村委員、綿貫委員、吉田委員
中小企業庁側:吉村財務課長
議題
- 事業承継ガイドライン(案)について
- 事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会 中間報告(案)について
議事概要
- 冒頭、事務局から、第5回事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会及び第2回事業承継ガイドライン改訂小委員会を合同開催することを説明し、了承を得た。
- まず、事務局から事業承継ガイドライン(案)を説明。委員による討議の内容等を踏まえ、事務局にて必要な修正を加えた後、事業承継ガイドライン改訂小委員会委員長に一任の上で取りまとめることについて、各委員により了承された。
- 次に、事務局から事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会 中間報告(案)を説明。委員による討議の内容等を踏まえ、事務局にて必要な修正を加えた後、事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会座長に一任の上で取りまとめることについて、各委員により了承された。
1.事業承継ガイドラインについて
- 事業承継に向けたステップを示した図は、このガイドラインの最も重要な内容のひとつ。プレ承継を明確に流れの中に位置づけたことは評価できる。また、事業引継ぎガイドラインとの整合性への配慮や、他の中小企業支援施策との連携への言及もあることで、多数の支援機関・金融機関がこのガイドラインを活用していくものと考える。
- 事業承継診断は重要。健康診断と同様の位置づけで、たとえば60歳以上になったら経営者は事業承継診断を受けるべきといったことを、メディアの活用も含めさまざまな広報手段を活用しながら確実に経営者に普及していくことが重要ではないか。
- 経営者が事業承継を検討するにあたり、経営者の個人保証は非常に重要な課題である。本ガイドラインや普及広報資料でも「経営者保証ガイドライン」の普及と活用促進について触れておくべき。
- 資産の評価は事業承継の出発点とも言えるが、株式の評価については平成21年度に策定された「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」が参考になるので、活用が進むようアピールすべき。
- 納税猶予制度については、要件が満たされなくなった場合には納税しなければならなくなるといったリスクにも言及すべきではないか。
- M&Aの手法については、株式譲渡と事業譲渡の2つにフォーカスするという方針は適切である。
- 今回のガイドラインは内容が多岐にわたり分量も多いことから、できるだけ読み手を意識した普及策を講ずる必要がある。たとえば、経営者に対してはより端的に必要事項を示せるような冊子を用意するなど、広報を工夫すべき。
- 実際の取組の現場でガイドラインが活用されるよう、地域での連携体制の構築が重要。ガイドラインには都道府県のリーダーシップの下で市区町村単位での取り組みを推進するという体制も示されており、国がこうした動きを後押しする取り組みを強化するものと期待している。
2.事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会 中間報告について(支援体制等について)
- 既存の取組だけではない新たな取り組みに期待する。国が旗を振って各都道府県における事業承継支援のネットワークを構築することで、都道府県の取組を後押しすべき。
- 都道府県のリーダーシップは重要だが、現状の支援体制では優れた技術や知的資産を持つ企業にアプローチしきれない可能性がある。同業種組合等を積極的に組み込むなどしていくべき。
- 経営承継円滑化法に係る認定業務のうち事業承継税制と金融支援が来年度から都道府県に移譲される。これを一つの契機として、地域における中小企業の事業承継・事業継続支援の取組の中で都道府県もしっかりと役割を果たしていくべきだということをメッセージとして強く入れていくべき。
- 事業引継ぎ支援センターでは民間で採算が合わないM&A案件を中心に支援が行われており非常に有意義。また、M&Aにとどまらず親族内承継も支援実績があることも評価している。事業承継の円滑化は中小企業支援の一丁目一番地なのであるから、センターの予算・人員措置の充実を検討すべき。
- 具体的な支援策・支援体制については実際に事業承継をする人の立場に立って、どうしたら事業を継ぎやすくなるか、そのためにはどのような支援をすべきか、という観点に立ち、議論を深めていく必要がある。今後も税制を含む事業承継支援のあり方について、継続的な議論を期待している。
(事業承継税制・株式の評価について)
- 事業承継税制について、徐々に要件が緩和され利用件数も増加傾向にあるが、潜在的ニーズに対し、まだ桁が一つ足りない。既存の取組の延長線上にとどまらない取組を積極的に実施していくべき。
- 事業承継税制の改正について、「早期かつ計画的な取組の促進」は正しい方向性である。その際、累次の要件緩和、特に事前確認の任意要件化との整合性を保てるように留意すべき。
- 優遇の度合いに応じた公益性の存在や、確認のための要件のあり方について整合的な説明が必要だが、通常の納税猶予と、より優遇される納税猶予の2段階の制度の構築は評価できる。また、雇用要件の緩和については、過去に税制上の優遇の根拠として、雇用の確保という公益性を強調してきた経緯があるので、緩和の必要性や公益性をしっかりと説明すべき。
- 日本の贈与税率は高く、認定を受けている経営者の中には、贈与税が課されるのであればそもそも贈与を選択しなかった者も多いと考えられる。制度の普及促進に向けて、事業承継税制の認定を取り消された場合に、贈与税ではなく相続税を課税するという方法も選択肢としてあり得る。
- 累次の改正により制度は使いやすくなってきているが、創設時のイメージで「使いづらい」というイメージを持たれている部分もある。経営者だけではなく、経営者の事業承継をサポートする専門家も制度に関する理解を更に深めていく必要がある。
- 株式の評価方法について、評価の客観性や、現金や土地等の株式以外の財産との公平性を確保した評価方法を検討すべき。あまりに低い評価が出てくるようだと、中小企業の事業承継を支援するという制度趣旨自体の正当性の説明が難しくなるのではないか。
- 事業承継税制は経営者・税理士等にとって未だにリスクが高い制度であり、その懸念が利用を躊躇させている。今回の中間報告が最終的な結論ではなく、経営者の有力な選択肢となるような制度を作り上げるために議論を重ねていく必要がある。
<お問い合わせ>
中小企業庁事業環境部財務課 電話:03-3501-5803 |