【日時】 | 平成22年2月23日(火)18:00~19:50 |
【場所】 | 経済産業省 本館17階 西3 国際会議室 |
【出席委員】 | 村松島委員(東京理科大学専門職大学院教授)、三井委員(横浜国立大学大学院環境情報研究院教授)、安田委員(東洋大学経済学部教授)、山口委員(立教大学経済学部教授) (※五十音順) |
【出席中小企業経営者】 | 西村貞一株式会社サクラクレパス代表取締役社長、浜田敦夫株式会社にしとさコーポレーション代表取締役社長、坂戸誠一株式会社坂戸工作所代表取締役社長、鯉江盈株式会社白牡丹代表取締役社長、大橋 正義株式会社大橋製作所代表取締役社長、橋本ひろみ日本フイルター株式会社代表取締役社長 (※発言順) |
【議題】 | 中小企業憲章の制定に向けての中小企業経営者の方々との意見交換 |
【議事概要】 |
(中小企業を取り巻く現状・認識)
- 中小企業の課題は、?「経営力の強化」、?「人材の育成・活用」、?「イノベーション」、?「グローバル化」。
- 多様な形態の事業が存在する商店街は、雇用を作り出す場であると同時に、創業と廃業が逆転している現状において、創業の場としても役割を果たす必要がある。
- 強い中小企業が強さを維持し、国内で製造し続けることが、中小企業全体の仕事を守ることにつながる。そのためには、強い中小企業に「極めて具体的な」チャンスを与えることが必要。
- 技能育成については、社内での新卒者教育の方が望ましいが、中小企業で育成できない専門技能については、学校で教育してもらえると助かる。また、大企業出身者に中小企業に就職してもらい、中小企業がやりたくても実現できないことを指導してもらえることが望ましい。
- 少子高齢化、過疎化が進む地域の中には、基幹産業が建設業という地域が多いが、ここ10年間で公共事業予算は減少し、厳しい状況。さらに大規模店舗の進出により、地域の小規模商店は大きな打撃を受けている。
- 一時のように新卒採用によりじっくり人材育成を行うというより、現在は即戦力人材の採用を重視。
- 借入条件の変更については、貸し手・借り手の関係があるため、金融機関に対して申し出にくいのが実情。
- 縦割行政の問題は、様々な行政手続が一度に済まないこと。
- 現在の厳しい経済情勢の中での対応として、ニッチな業界で得た技術をよりニッチな業界に活かすべく展開することを方針としている。
- 新卒者でも中途採用者でも、10年程度は頑張らないと技術が身につかないので、根気よく育てている。
- 人づくりは簡単にはできない。長く働いている人の背中を見て育つもの。まちづくりは仲間づくり、社会活動から始まる。
(中小企業政策に関する考え方・政府への要望)
- 政府は、中小企業支援のため、金融・税制支援、人材確保を含む中小企業のものづくり、IT活用、国際化の促進、地域経済の再生に取り組むべき。
- 今後の中小企業政策として、組合等の中小企業連携組織に対する支援の強化、技術革新支援、下請取引の適正化・官公需支援、機動的な金融支援等に取り組むべき。
- 官主導、政治主導といった議論ではなく、民が先導し、政官が知恵を貸すという形が必要。
- 中小企業が良くならない理由として、EUのように年度ごとに政策を評価し、中小企業の声を反映する仕組みがないこと、中小企業の役割は経済的側面だけでなく、社会的・文化的側面もあることを認識されていないことが挙げられる。
- 中小企業に必要なのは、お金ではなく仕事。そのために、政府が川下製造業者のニーズをより具体的に中小企業へ提供するなど、一歩進んだ施策が必要。
- 政府は、企業の開発に対し助成するのではなく、企業同士の「お見合いの場」を設定すべき。結果として、資金力と技術力を兼ね備えた企業を支援することになるが、強い中小企業をより強くすることが、その他の中小企業に仕事の機会を与えることになり、中小企業全体が強くなることにつながる。
- 補助金等によるものづくり支援施策は、技術開発にかかるリスクを取って挑戦しようという中小企業の意欲の後押しになる。
- 文部科学省は、中小企業への就職を称揚するようなキャリア教育を推進してほしい。
- 新しい産業を興そうというときには、ポテンシャルを有する中小企業に焦点を当てるべきであり、そのような観点での価値観の転換が必要。
- 地方自治体の中には、中小企業憲章の理念を体現した中小企業振興基本条例等を制定し、中小企業経営者や地域住民、学校、大企業等を交えた、地域の振興会議を開催し、条例の実効性を高めたり、政策策定のためのワーキング作業をゼロベースで行っているところもあるが、このような取組を国でも行うべき。
- 今の日本の製造業にとって、スピード感が重要であり、自助努力を後押しするものとして、国の支援が必要。
- 各省横断的施策が必要。政官民がきちんと連携しないといけない。
(中小企業憲章について)
- 憲章の制定に当たり、「小規模企業」の位置づけを明確にするとともに、下請いじめへの厳正な対処をはじめ、小規模企業に配慮した支援策を盛りこむべき。また、地域コミュニティの維持に貢献する小規模企業の役割を再認識すべき。
- 中小企業組合の活動は、中小企業の発展に必要な自助努力を後押しする有効な取組。憲章においては、組合等の連携活動の推進について盛りこむべき。
- 憲章は、元気な商業・商店街を応援するような内容にしてほしい。
- 努力によって解決できない課題の解決のために政策のあり方や国民の中小企業に対する見方を根本的に転換する憲章の制定が必要。
- 「中小企業憲章推進国民会議」のようなものを設置し、憲章を具体化する政策に中小企業が関われる仕組みが必要。また、現在検討されている新成長戦略の中にも中小企業を位置づけた政策展開をお願いしたい。
- 中小企業憲章には理念が必要だが、そのためには現状をよく分析して的確な課題を指摘していくべき。その上で、この現状を打破し、理念を実現するための具体的な政策や手段を提示しながら、中小企業の事業活動をスピードアップするために激励するものであるべき。
- 国をあげて憲章を実現するという決意が重要。憲章が単なる「文章」では意味がなく、実現可能な実施計画が示されることが重要。
以上