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地域中小企業金融ヒアリング調査結果

平成18年11月15日
経済産業省
中小企業庁

 (調査方法)
 本年9月上旬から下旬にかけて、中小企業庁の職員が道府県に出張し、地域の中小企業金融情勢について、地銀や信金等の地域金融機関や政府系金融機関の地方支店、各信用保証協会、中小企業者等から聞き取り調査を実施した。
  1. 目下の金融環境について
    (1)中小企業の景況
    • 中小企業の景況感は、全体としては底止まり感が見られる一方、好景気との実感は十分には広がっていない。
    • 業種間の景況感の格差や企業間の二極化がより鮮明になってきており、これが、地域間格差にも反映。
    • 「改善した」とする地域もあれば、「浮上のきっかけがつかめない」とする地域もある。全体としては底止まり感が見えるものの、地域間格差が存在している。
    • 「改善した」地域は、自動車業、機械製造業等の製造業が他産業を牽引しているケースが目立つ。一方で「決していいとは言えない」地域では、建設業及び関連産業が主な産業となっている。特に、公共事業依存型の地域では疲弊感が色濃く感じられている。
    • 同一地域内でも業種間で格差が見られる。自動車、デジタル家電、携帯電話等IT関連、鉄鋼や造船の業種については、生産や設備投資の増加などにより、景気は上向きとなっている。一方で、建設業、農業関連、一部の観光業等は、受注、売上減少が続いている。
    • 景況がよいとする地域でも、好景気が大企業の周辺のみで感じられており中小企業には実感がないとする声、大企業のコストダウン圧力のため中小企業にしわ寄せが来ているとする声があった。
    (2)原油高・ゼロ金利解除の影響
    • 原油価格の高騰は運送業を中心として、幅広い産業に直接的・間接的に影響を及ぼしている。また、個人の日常生活への影響も懸念される。
    • ゼロ金利解除に伴う金利高騰の影響は、まだ顕在化していない。しかし、今後の動向次第では金融リスクとなりうる。
    • 大半の地域において、原油価格の高騰は、運輸、製紙、印刷など幅広い業種の中小企業に影響を及ぼしており、価格転嫁も進んでいないため収益圧迫原因となっている。
    • 灯油等の価格上昇により、特に寒冷地においては、個人消費の圧迫要因としての懸念が強まっている。
    • 地域差はあるものの、ゼロ金利解除に伴う影響は現在のところ顕在化していない。しかし、今後の利上げ動向は潜在的なリスクとして認識されており、負債率の高い企業ほど注意が必要という意見が多かった。
    (3)資金需要の動向
    • 民間金融機関を中心として全国的に融資残高は増加。
    • 資金需要が旺盛な分野としては、製造業を中心とした設備投資やサービス業等が挙げられる。
    • 全国的に民間金融機関の融資残高は増加基調にあり、優良中小企業に対しては積極的な融資攻勢を展開している。
    • 製造業や情報通信業、サービス業(特に、大規模小売業や医療・介護系等)での資金需要が設備投資について活発化しているが、中小企業への波及効果は大きくない。

  2. 新政策関係について
    (1)流動資産担保保証について
    • 売掛債権担保融資保証制度の利用は地域差があるものの、全体的な傾向としては伸び悩みが見られており、手続きの簡素化等の必要性が指摘されている。
    • 動産担保融資制度は、商工中金や一部地銀で導入事例が見られ、興味・関心が高まってきている。
    • 売掛債権担保融資保証制度の利用が伸び悩んでいるが、その理由としては、手続きの煩雑性(必要な書類が多い、登記が東京でしかできない等)、風評リスク、譲渡禁止特約の存在等の内在的な問題の他、金融環境の改善という外在的な要因も挙げられた。
    • 流動資産の範囲、在庫評価者、モニタリング、適格担保の問題等、実施に当たっての課題は指摘されているが、流動資産担保への興味・関心は高い。
    (2)再生支援協議会・再生金融について
    • 再生支援協議会を高く評価する声、制度の継続を望む声が多く聞かれた。
    • 同協議会には、中立的な立場から複数債権者間の調整を図る役割が期待されている。
    • 再生の側面においては、プレDIPファイナンスの充実が期待されている。
    • 再生支援協議会の活動及び実績は全国的に好評を得ており、活動継続・拡充を望む声が多かった。
    • 協議会に期待する最も大きな役割として、中立公正な立場での調整が多く挙げられていた。
    • 協議会の課題としては、人員規模が少なく案件も類型化が困難な個別なものが多いため、案件の処理にどうしても時間がかかってしまうことが多く指摘された。
    • 今後、協議会にさらに期待される役割としては、経営者の立場での踏み込んだコンサルティングや実現可能性の高い経営改善計画の策定等が挙げられた。また、それに伴う予算措置の拡充や専門家の充実等の要望も聞かれた。
    • 再生金融としては、協議会の機能をフルに活かすためにも経営再建計画策定時における資金調達(プレDIPファイナンス)の重要性が挙げられていた。
    (3)地域資源を活用した新たな事業展開について
    • 地域の特性を活かした事業展開支援について、広く賛同が得られている。
    • 成功のための重要なファクターとして、開発から販売までの各段階及び全体に対してアドバイスのできる人材が求められている。
    • 「地域資源活用企業化プログラム」の趣旨は広く受け入れられている。独自の支援策が行われている地域もあり、そういった取り組みをうまく活かすことが重要との指摘がなされた。その一方、地域ブランドの乱立を懸念する声もあった。
    • 商品開発、生産体制の構築、販路獲得のそれぞれの段階と全体を通して的確にアドバイスができる人材が求められている。そのような専門家を全国的にどれだけプールできるかが課題との意見があった。
    • きめ細やかなハンズオン(育成型)支援を期待する声が多かった。
    • また、人材面のみならず資金面での措置(融資だけでなく補助金等)の充実についての要望もあった。

  3. (その他)「中小企業の会計」について
    • 「中小企業の会計に関する指針」の浸透度合いには地域間格差があり、高く評価している地域もあれば、ほとんど認識されていない地域もある。
    • 同指針に沿った保証協会の割引制度の利用実績は全国レベルでは拡大途上にある。
    • 会計参与を設置している企業はほとんど見られない。
    • 中小企業の会計の質を高めることに異論は少ないものの、「中小企業の会計に関する指針」の浸透度合いには地域間格差が見られる。中小企業は会計を税理士等に任せていることが多いため、税理士等へのPRが不可欠との意見が多く見られた。
    • 保証協会の割引制度の利用実績にも地域間格差が見られるが、チェックシートの活用法については改善を求める声も見られた。また、中小企業への導入のインセンティブとなるよう制度の充実を期待する声があった。
    • 会計参与制度は導入後間もないこともあって、活用事例は少ない。また、会計参与導入企業に対する優遇措置もまだ十分に整備されているとはいえない、と指摘されている。

(以上)

(本発表資料のお問い合わせ先)
 中小企業庁事業環境部 金融課
  担当者:斎藤、日?
  電話:03−3501−1766(直通)