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地域中小企業金融ヒアリング調査結果

平成17年10月28日
経済産業省
中小企業庁

 中小企業庁は、本年9月上旬から下旬にかけて、中小企業庁の職員を道府県に派遣し、地域の中小企業金融情勢について、地銀や信金等の地域金融機関や中小企業者等から聞き取り調査を実施。今回は、その調査結果を公表するものである。

1.中小企業の景況と資金繰りの動向等

  (1)中小企業の景況

  • 中小企業の景況感は、全体としては改善の兆しが見られる。
  • 業種間の景況感の格差や企業間の二極化が鮮明になってきており、これが、地域間格差にも反映。
  • 「踊り場を脱した」とする地域もあれば、「景気が後退した」とする地域もある。全体としては改善の兆しが見えるものの、地域格差が存在している。
  • 「踊り場を脱した」地域は、紙パルプ、造船等の製造業が他産業を牽引しているケースが目立つ。一方で「景気が後退した」地域では、建設業や農業が主な産業となっている。
  • 同一地域内でも業種間で格差が見られる。自動車、デジタル家電、携帯電話等IT関連、鉄鋼や造船の業種については、生産や設備投資の増加などにより、関連中小企業を牽引している。一方で、建設業、卸・小売業は、受注、売上減少が続いている。
  • 設備投資を行い受注を拡大している企業と、受注が少ない、または受注しても収益が得られない企業の格差が拡大しているという声もあった。

(2)原油高の影響

  • 運輸、紙、印刷、クリーニングなど、幅広い業種に対して、原油価格高騰の影響が現れている。
  • このまま原油価格の高騰が続けば、電力、ガスの値上げにつながり、日常生活にも影響を及ぼすことを懸念。
  • 大半の地域で、原油価格の高騰は、運輸、紙、印刷、クリーニングなど、幅広い業種の中小企業に影響を及ぼしており、転嫁が進まないようだと収益への圧迫要因と予想。
  • 寒冷地では、灯油価格の影響が個人消費に与える影響を懸念。ガソリン価格が高騰すれば、日常生活への大きな影響を与えることを懸念。

(3)資金繰りの動向

  • 全体としては、中小企業の資金繰りは緩やかに改善傾向。
  • 金融機関は総じて中小企業向け貸出を強化する意向を示しているが、企業選別は強まっており、同地域・同業種内でも貸付条件格差は拡大傾向。
  • 中小企業側には、景気の先行き不透明感もあり、なるべく借入に頼らずに対応とする姿勢が見られる
  • 資金繰りについては、全体としては緩やかに改善傾向にあるとの声が増えているが、小規模企業等を中心に一部では引き続き厳しい状況。地域では、東北地方は厳しいとの声が多い。建設・土木は全国的に厳しいとの声が多い。
  • 金融機関は、債務者区分に基づく選別志向を強めており、業績が順調な業種は、無担保や低利な融資を受けることが可能だが、そうでないところは、借り入れがより困難になっているとの声が聞かれる。
  • 景気の先行き不安から、経営者は借入を抑制しようとする姿勢が見られる。
  • 製造業関連の強い地域においては、新規設備投資や増産投資の意欲が見られる。

2.金融機関の中小企業向け融資への取組み

  (1)中小企業向け融資の方針

  • 金融機関の大半が中小企業向けの融資を拡大することが重要な課題と考えている。
  • ただし、収益性の観点から、審査の効率化、低コスト化を指向している。
  • 今後取り組むべき分野として、創業支援や経営相談機能の強化等を挙げている。

  (2)無担保・無保証融資等への取組み

  • 無担保無保証融資については、優良顧客を対象に、取り組みを強化している金融機関が増加している。
  • 財務情報等の定量的指標を用いたスコアリングモデルを利用した商品が増加。
  • 企業の成長性や収益力、経営者の資質等を勘案した目利き審査を強化する姿勢も強まっているが、目利き能力向上や融資実績増は容易でないとする声が多い。
  • 無担保・無保証人融資は、積極的に取り組んでいるとする金融機関が多い。信用格付けやスコアリングを利用した、相対的に優良な顧客向けの商品が中心。
  • コベナンツに応じた融資条件を導入する動きもある。
  • 経営者の資質や技術力等定性的な評価も重要であり、目利き能力強化のため、行員研修や経営者との面談を強化するとする声も聞かれた。
  • 経営者の本人保証については、経営責任の明確化のためにも必要との声も聞かれた。
  • 包括根保証契約については、法施行の際に、説明書を作成、必要に応じ契約書を改訂するなど、概ね適切に対応しているとの声が多い。

3.中小企業の連携支援について

  • 実績は少ないが、今後とも積極的に取り組んで行きたいとする声が大半。
  • 事業連携を成功させるためには、中心となる企業の発掘が重要。
  • 事業連携を成功させるためには、中心となるコア企業の発掘だけでなく、販路の開拓まで支援することが必要であるとの声があった。
  • しかしながら、コア企業を発掘することが困難な地場製造業の弱い地域は、案件の発掘自体に苦慮している状況。

4.基盤技術を有する中小企業支援について

  • 技術評価のために、金融機関の大半がベンチャーキャピタル・大学等の外部機関との連携を図っている。
  • 今後、技術のデータベース化、目利きのできる人材の育成が必要。
  • 大半の金融機関が、技術評価に関してノウハウを持ち合わせていないため、ベンチャーキャピタル・大学・県の「産業技術センター」等と連携。

5.再生支援協議会について

  • 今後、企業再生支援のための重要なツールとして、再生支援協議会を活用していきたいとする意見が幅広く聞かれた。
  • 一部に小規模・零細企業者に対する配慮等更なる改善を期待する意見があった。
  • 中小企業再生支援協議会については、その調整機能から金融機関の 間の利用メリットがあるとの認識が広まっている。今後、持込案件は 更に増加するとの見方が多かった。このため、迅速な対応を図るべく、協議会の人員増等体制強化が期待されている。
  • 今後期待する点としては、各債権者間の調整をより迅速に行うため金融機関との連携をさらに強化することや、協議会の調整能力を高めること等があった。

6.売掛債権担保融資保証制度について

  • 引き続き風評被害への懸念も見られるものの、利用は増加している。
  • 今後の利用促進に向けて、手続きの簡素化や市町村等における譲渡禁止特約の解除の推進を求める声が多かった。
  • 利用状況については、引き続き風評被害への懸念も見られるものの、無担保融資への取組みを進める観点から、これまで以上に積極的に利用している金融機関が多かった。
  • 今後のさらなる利用促進に向けては、書類を減らし煩雑さを軽減することが必要との声があった。また、引き続き、地方公共団体、特に市町村における譲渡禁止特約の解除の推進を求める声が多かった。

7.中小企業の会計等について

  • 「中小企業の会計」導入に対応する優遇措置に取り組む動きが増加。
  • 会計参与が会計の透明性を担保するか不明なため、制度導入企業に対する優遇措置を検討する動きはあまり見られない。
  • 全体として、まだ認知度は十分ではなく、今後も引き続き広報が必要。
  • 中小企業の透明性が担保されれば、融資判断が容易になることから、金利の優遇等の措置を決定、または審査の際に勘案する動きが増加。
  • 商工会や税理士から指導を受けている企業については、浸透している。しかし、それ以外の企業には、認知度が低くあまり活用されていないため、引き続き広報が必要。
【お問い合わせ先】
 中小企業庁金融課
  担当者:斎藤、相川
  電話:03−3501−2876(直通)