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地域中小企業金融ヒアリング調査概要

平成16年2月
中小企業庁

(調査方法)
 本年1月中旬から2月中旬にかけて、中小企業庁の職員が道府県に出張し、地域の中小企業金融情勢について、中小企業者、地銀や信金等の地域金融機関等から聞き取り調査を実施した。

 
1.中小企業の景況と資金繰りの動向等

(1)中小企業の景況
・中小企業の感じる景況感は、地域によっては改善に向けた動きも見られるが、まだまだ景気回復の実感に乏しいとする声が多い。
・業種間でも大きな温度差が見られる。鉄鋼や自動車等の製造業や、DVDなどのデジタル家電、携帯電話等IT関連の業種については、生産の増加などにより、関連・下請中小企業にも回復の傾向。
・一方で、小売等については消費の低迷、競争の激化等により、また、建設業は、公共投資の減少傾向等もあり、総じて厳しい状況にあるとの声が多い。
・また、同一業種にあっても、企業間で二極化の傾向がはっきりしているとの見方が多い。
・今後の先行きについては、回復への期待感も強いものの、全体としては、国際競争の激化によるコストダウン要求の懸念や、内需が依然沈滞していることなどから、慎重な見方が大勢を占める。

(2)資金繰りの動向
・資金繰りについては、改善しているとの声もあるが、全体としては引き続き厳しい状況にある中小企業が多い。
・中小企業の資金需要については、一部に設備投資向けの資金需要もあるが、基本的には既存設備の更新や運転資金向けの資金需要が多く、投資意欲は依然慎重。
・金融機関の貸出態度については、優良中小企業に対しては、複数の金融機関から貸出攻勢が行われる一方、リスクの高い企業に対する貸出態度は引き続き厳しい。また、ファンドの活用や無担保・無保証型の金融商品の開発など、一部金融機関に新しい動きも見られる。
・このような中、政府系金融機関や信用保証協会によるセーフティネット保証・貸付や資金繰り円滑化借換保証制度は、中小企業の資金繰りの安定化に寄与しているとの声が多い。

(3)円高の影響
・中小企業も、かつての円高不況による経験等により、工場の海外移転やスワップ、円建取引などの為替リスク回避策を通じて抵抗力を強めてきており、影響は以前ほどは出にくくなっている。
・今後一層の円高傾向が続くと、コストダウン要請が強まる等の悪影響を懸念する声も相当ある。

(4)BSE等の影響
・目下のところは、パニック的な動きはないが、今後、外食産業や精肉流通業等において、仕入れ価格上昇、仕入れの困難化、収益低下への懸念がある。
・鶏インフルエンザと相まって、消費者の肉離れを懸念する声も聞かれる。
・引き続き消費者の反応等十分見極めることが必要との意見が多い。

2.金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕改訂案

・現在、金融庁より示されている金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕改訂案については、
1)貸出条件緩和債権の扱い等に関する事例の拡充
2)リレーションシップバンキングに基づく銀行の自主的な判断の尊重
3)中小企業再生支援協議会の関与した計画の取扱いの明確化
4)キャッシュフロー重視の明確化
等の点について、大きな改善であるとして評価する声が多い。
・今後は、実際の検査の現場において、マニュアルの趣旨に基づいた弾力的な対応がなされるよう検査官に徹底して欲しい、また検査官に中小企業の実態を良く理解してほしいとの声が多く聞かれた。

3.地方金融機関の今後の見通し

・地方金融機関においても、着実に不良債権の処理を進めているとするところが多かった。
・ リレーションシップバンキングへの取組の一環として、いくつかの金融機関において、財務諸表の精度の高い企業への優遇商品の開発や、目利き能力向上のため融資審査体制の強化等が行われており、今後も積極的な取組を進めるとの声が聞かれた。また、企業再生が重要な課題になっており、政府系金融機関等と連携し取組みを強化しているとする金融機関が大半を占めた。
・ 今後は、技術力の評価など金融機関の目利き能力の向上も不可欠であり、人材教育のため、政府系金融機関や中小企業総合事業団と連携した研修を行い、中小企業診断士の資格取得の奨励にも努めるとの声も多く聞かれた。

4.売掛債権担保融資保証制度

・利用者については、ソフトウェアの開発や建設業など、売掛金の回収までに時間がかかる業種を中心にニーズは高い。
・制度に一旦なじむと繰り返し利用する企業も多く、徐々に制度への理解が浸透しているが、依然として風評被害への懸念が見られるので、利用促進のためのPR活動等を積極的に行って欲しいとの声が多く、特に、市町村レベルでの公共事業における活用が遅れているとして今後の取り組みを期待する声が相当聞かれた。
・制度運用については、掛け目の見直しや手続きの簡素化、共通化を行うなど、より利用しやすいものに改善して欲しいとの希望があった。
・金融機関からは、過度な担保や保証に頼らない融資推進のために、今後も積極的に推進していきたいとの声が聞かれた。

5.証券化

・政府系金融機関の活用等により中小企業向け貸出債権の証券化に向けた取組みを強化することについては、利用者である中小企業や民間の金融機関から、中小企業の資金調達の幅が広がるとして評価する意見が多い。
・金融機関からは、メリットとして、債権のオフバランス化によるリスク軽減、自己資本比率の増加等が示された。
・ 一方で、いくつかの金融機関からは、政府系金融機関の活用も含めた証券化の推進に際しては、具体的なスキームの中身を良く検討していきたいとの反応もあった。

6.中小企業再生支援協議会

・ 再生支援協議会については、銀行等において高い評価を得ており、再生支援協議会を積極的に利用していこうとする動きが多い。
・ 今回、金融検査マニュアル別冊改訂案の中で、再生支援協議会が支援する再生計画に基づく資金について、貸出条件緩和債権に該当しない基準が明確化されたことにより、活用の幅が広がると期待。
・ 再生ファンドへの取組については、中小企業総合事業団出資によるファンド組成の検討を積極的に進めているところが多い。
・ 対応能力の向上や対処の迅速化を図るためにも人員増強などを期待する声が多かった。

(以上)