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地域中小企業金融ヒアリング調査結果

平成16年10月26日
経済産業省
中小企業庁

 本年9月上旬から下旬にかけて、中小企業庁の幹部が道府県に出張し、地域の中小企業金融情勢について、地域金融機関(地銀、信金、信組等)、中小企業団体等から聞き取り調査を実施した。

 
1.中小企業の景況と資金繰りの動向等

(1)中小企業の景況

○中小企業の景況感は、全体としては回復傾向にある。
○業種間の景況感の格差や企業間の二極化が引き続きはっきりしてきており、これが、地域間格差にも反映。

・中小企業の景況は、全体としては回復傾向にあるが、地域によっては依然として景気回復の実感に乏しいとする声もある。
・業種間でも格差が見られる。自動車、デジタル家電、携帯電話等IT関連、鉄鋼や造船の業種については、生産や設備投資の増加などにより、関連下請中小企業にも好影響が波及している。
・一方で、小売・卸売は競争の激化等により、また、建設業は公共投資の減少傾向等もあり、総じて厳しい状況にあるとの声が多い。繊維や地場産業も海外製品との競合から厳しい状況。観光業については、比較的堅調との声が多かったが、温泉偽装問題の影響を懸念する声もあった。
・また、引き続き、同一業種内にあっても、企業間で好不調の差がはっきりしてきているとの声が多い。

(2)原油高、猛暑等の影響

○当面、ガソリンスタンドや運送業への影響を心配する声が多い。
○長期的には、原材料価格の上昇から、関連する中小製造業の収益を圧迫するのではないかとの懸念が聞かれた。
○猛暑やオリンピックは大型TV、クーラーの需要拡大等の景気刺激と、小売業や飲食店の売上不振等の抑制効果の両面を指摘する声があった。

(3)資金繰りの動向

○全体としては中小企業の資金繰りは改善傾向。
○金融機関は総じて中小企業向け貸出を強化する意欲を示しているが、小規模企業・個人事業主にとっては引き続き厳しい状況。
○政府系金融機関や信用保証協会による貸付・保証は、中小企業の資金繰りの安定化に寄与している。

・資金繰りについては、全体としては改善しているとの声が増えているが、小規模企業等を中心に一部では引き続き厳しい状況。
・中小企業の資金需要については、好調な業種を中心に設備投資向けの資金需要もあるが、基本的には運転資金向けの資金需要が多く、投資意欲は依然慎重。
・中小企業からは、金融機関の貸出態度については、リレーションシップバンキングの機能強化の影響もあり、改善しているとの声があった。優良中小企業に関しては債務圧縮のため繰上げ償還を進める動きもあり、また、金融機関からも積極的な貸出攻勢が見られた。他方で、貸倒リスクの高い企業に対する貸出態度は引き続き厳しいとの声が一般的。金融機関からは、総じて中小企業向け融資の拡大が重要と認識しているとの声が聞かれた。
・政府系金融機関や信用保証協会による貸付・保証は、中小企業の資金繰りの安定化に寄与しているとの声が多かった。但し、セーフティネット関連は、16年2月の前回調査に比べると減少しており、需要がやや一巡したとの見方もあった。

2.金融機関の中小企業向け融資への取組み

(1)中小企業向け融資の方針

○中小企業向けの融資を拡大することが重要な課題であるとする金融機関が大半。
○新しい金融商品の開発や企業に対するサービスの強化、企業再生の支援等を強化。


(2)無担保・無保証融資等への取組み

○メガバンクや一部の地方銀行を中心に、財務情報等の定量的指標を用いたモデル(信用リスク審査モデル)を活用した無担保・無保証融資への積極的な取組みが拡大。
○一方で、企業の成長性や収益力、経営者の資質等を勘案した審査を行う姿勢も強まっている。
○第三者保証については、縮減するとの声もあったが、経営者の本人保証については、必須とする声が根強い。


・リレーションシップバンキングの機能強化等を背景に、メガバンクや一部の地方銀行を中心として、CRD(中小企業信用リスク情報データベース)など財務情報等の定量的指標を用いたモデル(信用リスク審査モデル)を活用した無担保・無保証融資への積極的な取組みが拡大している。
・融資審査においては、信用リスク審査モデルを活用した金融商品とは別に、地元信金を中心に、企業の成長性や収益力、経営者の資質、技術力、事業のキャッシュフロー等様々な要素を勘案し、審査を行う姿勢を強めている。
・保証人の徴求に関しては、経営者の本人保証については、経営責任の明確化のためにも必要との反応であった。一方、第三者保証人については、そもそも徴求自体が限定的であり、今後縮減していくとする金融機関もあったが、企業の信用力が乏しい場合は第三者保証人に頼らざるを得ない案件があるとする声もあった。
・包括根保証制度の見直しを受け、今後、金融機関においても、金額等に上限を設けたり借入残高や返済状況等について定期的に情報提供を行うなどの措置を講じる必要があることから、事務的負担の増加へ対応することが必要との声もあった。
・動産担保の活用については、公示制度の整備に関心を持っており、今後活用の可能性を検討したいとする声があった。ただし、動産を継続して管理していく必要があることや、動産を評価・売却することが困難なことから、公示制度の整備とあわせてこれらの環境整備が不可欠との声もあった。
・税理士会と連携し財務諸表の精度が高い先を対象にした金融商品の開発も進んでいる。

(3)金融検査マニュアル等について

○金融検査マニュアル別冊改訂後に検査を受けた金融機関からは、概ね改訂の趣旨が反映されていたとの声があった。
○リレーションシップバンキングの機能強化の観点から、各金融機関において、創業及び企業再生への取組み強化、政府系金融機関との連携強化などが進められている。

・金融検査マニュアル別冊改訂後に検査を受けた金融機関はまだ一部にとどまるが、改訂版の内容に則した検査であり、債務者区分の査定や経営改善計画の取扱について、概ね別冊の趣旨が反映されていたとの声が多かった。
・リレーションシップバンキングの機能強化に向け、各金融機関において、職員の目利き能力向上のための各種研修の実施や、創業及び企業再生への取組み強化、政府系金融機関との連携強化など、様々な取組が進められている。
・多くの金融機関が不良債権の処理について概ね目処はついたとしているが、小規模な金融機関においては、まだ課題が残っているとする声もあった。処理の手法については、企業再生と一体的に進めていくとする機関が多かった。
・来年度からのペイオフ解禁拡大については、金融機関からは特段の影響を懸念する声は聞かれなかった。また、決済用預金の導入準備を進めている金融機関が多かった。

3.民間金融機関と公的金融機関との関係

○競合する場合があるとする一方で、ベンチャー向けや再生支援等リスクのある融資に関して、協調融資や金融ノウハウ・情報面での協力を通じて政府系金融機関と連携したいとする声が多かった。
○信用保証に関し、金融機関がリスクを分担することについては必要性を理解するものの、中小企業融資への影響や金融機関の事務負担等を考慮すべきとの声が聞かれた。

・政府系金融機関との関係については、ベンチャー向けや再生支援等、リスクの高い融資に関し協調融資等を通じて連携したいとする声や、金融ノウハウや情報面での協力を求めたいとする声が聞かれた。一方で、個別の融資案件では競合するケースもあるとの声もあった。
・中小企業金融公庫の証券化支援業務については、説明会には関心を持って参加した金融機関が多かった。具体的な参加に当たっては、ある程度貸倒リスクのある企業が対象になるのかどうかや、金融機関側のリスク負担、収益性等についてよく検討した上で判断したいとする声が多かった。
・信用保証協会の保証については、金融機関と適切なリスク分担を図っていくことについては殆どの金融機関で異論はなかった。但し、信用力の乏しい中小企業の資金繰りに与える影響や金融機関の事務管理負担等を考慮しつつ行うべきとの声が多かった。
・また、金融機関からは、リスクに応じた保証料の設定や電算システムの統一化に関する要望が多かった。

4.売掛債権担保融資保証制度

○引き続き風評被害への懸念も見られるものの、利用は増加している。
○今後の利用促進に向けて、手続きの簡素化や市町村等における譲渡禁止特約の解除の推進を求める声が多かった。

・利用状況については、引き続き風評被害への懸念も見られるものの、無担保融資への取組みを進める観点から、これまで以上に積極的に利用している金融機関が多かった。
・今後のさらなる利用促進に向けては、書類を減らし煩雑さを軽減することや、掛け目の引き上げが必要との声があった。また、引き続き、地方公共団体、特に市町村における譲渡禁止特約の解除の推進や、大手企業からの認知向上を求める声が多かった。

 

5.中小企業再生支援協議会

○中小企業再生支援協議会はメリットがあるとの認識が広まっており、今後持ち込み案件はさらに増加するとの見方が多かった。
○今後、協議会の調整能力の強化を望む声もあった。

・中小企業再生支援協議会については、その調整機能から金融機関の間に利用のメリットがあるとの認識が広まっている。今後、持ち込み案件はさらに増加するとの見方が多かった。
・今後期待する点としては、各債権者間の調整をより迅速に行うため金融機関や保証協会等との連携をさらに強化することや、協議会の調整能力を高めること等があった。
・再生ファンドを既に設立している地域からは、再生ファンドが企業再生に大変有効であるとの声があった。

6.中小企業の連携支援

○中小企業庁で検討を進めている、中小企業の新連携支援のための総合支援法の策定については、必ずしも十分具体的イメージが理解されていないものの、企業間の連携を支援する支援法の整備については期待する声が多かった。

(以 上)

(お問い合わせ先)
  中小企業庁金融課
   担当者:西村、坂本、木村
   電 話:03−3501−1511(内線5271〜5)