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商工組合中央金庫と中小企業再生支援協議会の連携による
デット・デット・スワップ(DDS)第1号案件について

平成16年3月11日
    経済産業省
    中小企業庁


1.先月26日に改訂された金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕では、過剰債務を抱えた中小企業の再生を図るために資本的劣後ローン(返済順位が通常ローンに比べて劣後するローン)によるデット・デット・スワップ(DDS)を行った場合の取扱いが定められた。

2.具体的には、金融機関が中小企業者の経営改善計画の一環として資本的劣後ローンに転換した場合、金融検査において、当該資本的劣後ローンを資本とみなすことができることとされた。

3.今般、商工中金は、東京都中小企業再生支援協議会と連携して、上記のDDSの第1号案件を実施。

<第1号案件の具体的内容>
 この案件は、東京都中小企業再生支援協議会が再生計画の策定を支援し、計画策定が完了した案件(第69号案件)である。(詳細は別紙参照)

(1)企業の概要
東京都で金属製品製造業を営む中小企業者
(資本金3,000万円、売上高約8億円、従業員33名)

(2)経緯
?)バブル期に工場設備を新設したが、予定通りの業容の拡大を図ることができず、主力販売先の破綻により業績も悪化。このため、自力で収支改善に着手し、黒字転換に目途がついてきたものの、過剰債務の削減にまでは至っていない。

?)商工中金がDDSを含む再生支援策を同社と協議会に提案。
  協議会は他の取引金融機関の支援を取り付け、早期再生を行うための枠組みを構築。

?)DDSの実行により、同社の自己資本がDDS実行分だけ実質的に増加し、債務者区分も上位に遷移。

(3)効果
 商工組合中央金庫によるDDSへの積極的な取組が、地域金融機関のDDSへの取組の「呼び水」となり、今後、幅広くDDSが活用されるようになることにより、多くの中小企業の再生が進展することが期待される。

(問い合わせ先)
経済産業省中小企業庁
金融課 担当者:井上、西村
 電話:03−3501−1511(内線 5271)
経営支援課 担当者:田中(邦)、細川
 電話:03−3501−1511(内線 5331)


<別紙>

DDS第1号案件の詳細(中小企業再生支援協議会の第69号案件)

1.企業の現状等
 A社(金属製品製造業、資本金3,000万円、売上高約8億円、従業員33名)は、当初、機械の部品製造を目的に設立、その後技術力が評価され、大手機械メーカーの専属下請けとして、当社売上の50%を占めるに至った。
 バブル期に受注拡大を意図して工場を新設したが、以降不況の影響による受注の伸び悩みと投資負担から収支低迷状態が続き、加えて主力販売先の倒産が重なったこともあり過剰債務を抱えたまま実質債務超過の状況に陥っていた。
 このような状況下、メインバンクである商工組合中央金庫及び地銀から金融支援を受け、自力で収支改善に着手し黒字を計上するまでに改善していたが、早期正常化の為には更なる具体的な再生計画の策定と実行が不可欠とのメインバンクの指導により、協議会への相談に至った。
 協議会としては、A社における金属加工の高い技術力と経営者の再生への意欲、主要取引行の支援表明を勘案し、事業面の見直しにより早期再生の可能性は十分あると判断、平成15年12月に常駐専門家、弁護士、公認会計士、中小企業診断士及びメインバンクである商工組合中央金庫からなる個別支援チームを立ち上げ、再生計画策定支援を行った。

2.再生計画の概要
(1)営業体制の確立
 社長によるトップセールス実施と専業営業マンの配置による営業体制を確立し重点販売先の販売強化を推進し安定受注の確保を図る。

(2)利益体質の確立
 不採算部門から撤退し収益部門に経営資源を集中するとともに、生産管理の徹底による適正な人材配置の推進及び生産効率の向上により、労務費、外注費等の原価経費の削減を実現し、役員報酬のカットを含め収益性の向上を図る。

(3)財務体質の強化(DDSの実施)
 早期再生を図るために、上記によるキャッシュフローの改善に加え、メインバンクである商工組合中央金庫から提案のあったDDSを地銀と協調で実施することにより、4年目で債務超過の解消を図られ、借入金についても手元余剰資金を勘案すれば実質10年以内の完済ができる見通しがついた。

3.協議会が果たした役割
(1)事業面では、中小企業診断士が現場実査を含め事業面に深く関与し、社長と一体となって事業を見直し、利益体質確立のための抜本的な改善を行った。

(2)財務面では、早期再生を図るために必要な商工組合中央金庫からの提案によるDDSを実現するため、その要件となるDDS実行額の算定基礎となるA社の企業価値の客観的な評価を行うとともに、それに基づき、実現可能性の高い抜本的な再生計画の策定支援を行い、最終的にDDSによる金融支援の相当性、妥当性を評価した調査報告書を策定することで、準メインである地銀の協調支援を取り付けて、第一号のDDS成立を可能ならしめた。

4.効果
 直接的効果として、A社の雇用確保が図られるとともに、間接的効果として、業界に対する高い技術力の継続的な提供が確保される。また、中小企業再生のツールとして期待されるDDS(資本的劣後ローン)の第一号案件が実施されたことにより、今後幅広くDDSが活用され、多くの中小企業の再生が進むことが期待される。