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第1章 下請代金法関係 3 発注

【区分】下請代金法
【違反類型】3条

発注書面の不交付
A社は、運送会社であるB社から運送を請け負っていますが、B社からは品物を積み込まないと数量、重量等が判明せず、配送ルートもわからないため、発注内容が決まらないということで、発注書面を渡してもらえません。配送し、積荷を下ろした後に、金額等の明細が記載された書面を渡されていますが、このような取り扱いでよいのでしょうか。


本事例が下請代金法の適用を受けるためには、資本金基準と取引内容の要件を両方とも満たすことが必要です。

下請代金法の適用を受ける場合は、B社は、発注時に下請代金法第3条に定められた事項を記載した書面を下請事業者に交付する義務があります。
発注時に発注内容が定まらない正当な事由がある場合は、決まっている事項だけを記載した当初書面を交付し、内容が定まった後に追加して補充書面を交付すれば良いことになっていますが、品物を積み込むまで数量等が判明せず、配送ルートもわからないという状況は「発注内容が定まらない正当な事由がある場合」とは認められません。いずれにせよ、発注時に何も交付しないことは、下請代金法第3条違反に該当するおそれがあります。
「内容が定められないことにつき正当な理由がある場合」とは、取引の性質上、当初の委託時点では具体的な内容を定めることができないと客観的に認められることが必要である点に注意する必要があります。

法令の根拠
  • 下請代金法第3条第1項、同条同項但書


【区分】下請代金法
【違反類型】3条

仮単価による発注
発注時に正式な単価が決められない場合は、仮単価等正式な単価でないことを明示した上で、仮単価による発注をしても差し支えないでしょうか。


発注時に発注内容が定まらない正当な事由がある場合は、決まっている事項だけを記載した当初書面を交付し、後に内容が定まった時点において補充書面を交付することは可能です。
ただし、その場合においても、当初書面には単価を決められない理由や単価が決定する予定期日等を記載する必要があります。
なお、当初書面に仮単価を記載し(仮単価であることを明示した上で)、後に補充書面により正式単価を示すことも可能です。

単価が決定できるにもかかわらず決定しない場合や、下請代金の額として「算定方法」を記載できる場合には、下請代金の額が決められないことにつき「正当な事由がある」とはいえない点注意して下さい。

法令の根拠
  • 下請代金法第3条第1項、同条同項但書


【区分】下請代金法
【違反類型】3条

電子発注の要請
A社(資本金1千万円)は、B社(資本金2億円)から機械部品の製造を受注しています。従来、B社は、書面による発注を行っていましたが、発注の合理化を理由にパソコンによる電子受発注に切り替えると通知してきました。
A社には、パソコンを扱える者がいないことから、従来どおり書面による方法をお願いしたいと伝えましたが、パソコンによる方法でないと取引をしないといってきました。どのように対処したらよいでしょうか。


本事例は親事業者・下請事業者の両者が資本金基準を満たしており、下請代金法が適用される「製造委託」と考えられます。
下請代金法では、親事業者は、発注時に発注書面を交付しなければならないということを定めていますが、書面に代えて電子発注を行うこともできます。ただし、下請事業者の承諾が必要であり、無理に強制したり、従わないことを理由に不利益を課すことは問題があります。使用する電磁的方法の種類(電子メール等〕と内容(ワード等)を下請事業者に示した上で、書面又は電磁的方法による承諾を得ることが必要とされています。
また、承諾後であっても使い勝手が悪い等の理由から、下請事業者から書面に戻すよう要望があった場合は、親事業者は、もとの方法に戻さなければいけません。

法令の根拠
  • 下請代金法第3条第2項


【区分】下請代金法
【違反類型】受領拒否

ソフトウェアの受領拒否
A社(資本金1億円)はソフトウェアの開発会社ですが、自動車をデザインするためのソフト開発の一部をB社(資本金1千億円の自動車メーカー)から受託しています。2年前にB社から受託したソフトを本年4月に完成させ、B社に納品したところ、内容は満たしているが、社内方針が変わったとの理由で採用をしないと通知がきました。どうしたらよいのでしょうか。


このソフトウェアは、自動車に内蔵されるものではないので、B社はソフトウェアの提供を業としているとはいえません。
しかし、B社は自ら同種のソフトウェアの開発を業として行っているのであれば、下請代金法の資本金基準を満たしているので、自家使用する情報成果物作成委託に該当する取引と考えられます。
契約どおりに成果物が完成しているにかかわらず、B社の社内方針変更というA社の都合によらない理由で採用しないことは、「不当な受領拒否」に該当するおそれがあります。

また、下請代金法の適用を受けない取引であっても、一方的な契約解除に対して、債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことができる可能性があります。

下請110番 目次
項目設問
第1章.下請代金法関係下請かけこみ寺の相談業務について
1.総論下請事業者にとって下請代金法を学ぶ意義
 下請代金法が適用される取引
下請代金法が適用される製造委託
下請代金法が適用される修理委託
下請代金法が適用される情報成果物作成委託
下請代金法が適用される役務提供委託
下請代金法違反の疑いがある場合の対応
下請代金法の適用除外の行為
下請取引適正化のためのガイドライン
下請取引適正化の取り組み
商社介在の時の親事業者
システム開発の人材派遣
トンネル会社の利用
2.見積り一定率の値下要請
 大幅な値下要請
原材料の高騰による単価値上
単価値上要請
運送業者の役務提供委託
大幅な数量の減少
3.発注発注書面の不交付
 仮単価による発注
電子発注の要請
ソフトウェアの受領拒否
4.受領・返品・やり直し一方的な納期設定による受領拒否
 カタログからの抹消による損害
不当なやり直し
変更指示による部品の不具合の発生
受入検査
不当な給付内容の変更
発注取消
不当な設計変更
見積にない追加作業
瑕疵担保期間を越えるやり直し
瑕疵担保
5.支払い:減額・支払遅延・割引困難手形・有償支給材の早期決済 検査後の支払
 不当な値引要求
代金回収
代金未払
継続役務の支払
設計料の支払遅延
金型代の支払
瑕疵による支払い留保
やり直しと同時の変更依頼
支払日の繰り延べ
値引要請
手数料名目による減額
代金の減額
情報成果物の値引
修理代からの手数料の控除
手形払から現金払への変更
ソフトウェアの開発代金
一定割合の損害負担
5ヶ月手形の交付
160日手形の交付
6.下請け事業者への要請ユニホーム着用の強制
 機械リースの強制
大量の無償支給材料
金型の長期保管
実験費用の負担
試作品の費用負担
金型の修理費の負担
派遣社員の人件費
従業員の派遣要請
秘密漏洩
第2章.独占禁止法関係特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法の適用
 不当な値引き分の返還要求
単価引下の遡及適用
購入強制
木型代の立替金
梱包材の回収費用
不当な契約条項
検品作業の負担
共同研究開発
第3章.民法・商法関係履行遅滞による損害賠償
 運送契約の不履行に基づく損害賠償
金型破損の損害賠償
クレームの責任と損害の負担
部品の瑕疵による製品の損害
図面に指示の無い箇所に対するクレームと損害賠償
契約成立前の費用の負担
発注の停止
入札による発注停止
契約の終了
一方的な取引終了
契約の取り消し
開発費の負担

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