【区分】総論
【類型】総論
下請かけこみ寺の相談業務について 下請かけこみ寺があると聞き、相談しようと思いますが、どのような相談に応じてもらえるのでしょうか。また、相談すると問題を解決してくれるのでしょうか。 |
1 相談内容 中小企業者(個人事業者も含みます。)からの取引に関する相談(取引あっせん、経営、金融、雇用に関する相談は除きます。)であれば、業種を問わず相談に応じます。 下請代金の代理回収を行うことはできませんが、回収のための各種アドバイス(無料弁護士相談もあります。)をさせていただくことで、債権回収ができた事例もあります。 2 問題の解決 下請かけこみ寺に相談しただけで、直ちに問題が、自動的に解決するというものではありません。 しかし、相談者が下請かけこみ寺の相談員に解決したい問題を相談することにより、解決の糸口を見つけられる場合があります。 下請かけこみ寺では問題解決に必要な方法等について助言します。 下請代金法違反の場合、行政処分が行われる例や、特に悪質な場合には、公取委から勧告された例もあります。 |
《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請事業者にとっての下請代金法を学ぶ意義 下請代金法は、「下請いじめ」を行った親事業者にやめさせるために取り締まる法律であると聞きましたが、下請事業者も知っておいた方が良いのでしょうか。 |
下請代金法第1条は、「親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と定めています。 下請代金法においては、親事業者と下請事業者との関係は、最初から親事業者が優越した立場にあるという特殊な関係であることを踏まえ、親事業者に対してする4つの義務(書面の交付等)と11の禁止事項(支払遅延、減額、買いたたき等)を定めています。 下請代金法により規制を受けるのは親事業者ですが、例えば、商慣行という名の下に長年にわたり継続してきた取引方法が、実は、下請代金法に違反していた、といった事例もあることから、下請事業者も下請代金法の仕組みを十分理解した上で、親事業者と取引してください。 従来から下請事業者が取引先の親事業者の下請代金法違反を発見しても、それを直接親事業者に指摘すれば、取引において不利益を受ける場合があり、下請事業者は中小企業庁や公取委に対してなかなか申告することができず、取り締りが困難であるという実情があるようです。 だからと言って、下請代金法違反を放置していては、ますます下請代金法違反が増加してしまいます。そこで、下請事業者も、親事業者は、本来どのような義務を負っているのか、どのような行為を行えば、下請代金法に違反するかしっかり監視を行う必要があります。 そのために、下請事業者も下請代金法を理解する必要があります。 |
《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法が適用される取引 下請代金法が適用される取引とはどのようなものですか。 |
規模の大きな会社が小さな会社等と行う取引について下請代金法では、適用されるための要件の1つとして、「親事業者と下請事業者との資本金区分」を決めています。さらに、「取引内容」も定めています。
「親事業者と下請事業者との資本金区分」と「取引内容」を両方満足している取引が下請代金法の適用対象となります。
1 資本金区分
親事業者、下請事業者の定義(第2条第7項、第8項)
(1)物品の製造・修理、プログラムの作成、運送・物品の倉庫における保管等

(2)情報成果物作成・役務提供委託((1)を除く。)

2 取引内容
下請代金法が適用される取引は、以下の4種類の取引があります。
・製造委託
製造委託は、仕様を決めて製造や加工を外注することです。(詳しくはQ4参照)。
・修理委託
修理委託は、修理業者が他の事業者に修理を外注する場合です。(詳しくはQ5参照)
・情報成果物作成委託
情報成果物作成委託は、情報成果物(プログラム、映像等、文字、図形等)の作成を外注する場合です(詳しくはQ6参照)。
・役務提供委託
役務提供委託は、受託した役務提供(サービス)を外注する場合です(詳しくはQ7参照)。
《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法が適用される製造委託 下請代金法が適用される製造委託とはどのような取引ですか。 |
製造委託とは、物品(製品、半製品、部品、附属品及び原材料を含む)の規格、品質、性能、形状、デザイン、ブランドなどを指定して製造(加工を含む)を依頼する場合をいいます。 規格品・標準品を購入することは、原則として製造委託の対象とはならないが、本法の規定では、親事業者が下請事業者に委託する取引を対象としているので、規格品・標準品であっても、その一部でも自社向けの加工などをさせた場合には対象となり、さらにカタログ品でも汎用性が低く、下請事業者が親事業者の委託を受けてから製造することが前提となっているような場合には、「製造委託」に該当する。 下請代金法が適用される製造委託には、以下の4つの類型があります。
下請代金法の適用は、取引先ごとに、取引内容ごとにみる必要があります。 |
《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法が適用される修理委託 下請代金法が適用される修理委託とはどのような取引ですか。 |
下請代金法が適用される修理委託には、以下の2つの類型があります。
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法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法が適用される情報成果物作成委託 下請代金法が適用される情報成果物作成委託とはどのような取引ですか。 |
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《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法が適用される役務提供委託 下請代金法が適用される役務提供委託とはどのような取引ですか。 |
役務提供取引の対象は役務です。「役務」という言葉は、一般にはあまり聞き慣れない用語です。「サービス」は、下請代金法の適用対象になり得ますと言った方がわかりやすいでしょう。サービスというと、例えば、運送、清掃、コンサルティング、製品のメンテナンス、倉庫の保管業務、等世の中には、たくさんのサービスが事業として行われています。 役務提供委託は、役務の提供を業として行っている事業者が、その提供の行為の全部又は一部を他の事業者に依頼する場合に該当します。 次に下請代金法が適用されない取引について述べます。 例えば、『荷主と運送業者』や『ビルオーナーと清掃業者』の関係は、自己目的の実現(「荷物を移動したい。」、「ビルを掃除したい。」)のための取引であり、下請関係(『運送業者と下請運送業者』、『清掃業者と下請清掃業者』)が成立していないことが分かります。こうした取引関係は、「自ら用いる役務委託」と呼ばれ、下請代金法の適用から外れます。 |
《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法違反の疑いがある場合の対応 A社は、取引先(親事業者)のB社から「下請いじめ」を受けています。下請代金法違反の疑いがあるときは、どうすれば良いのでしょうか。 |
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《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請代金法の適用対象外の行為 下請代金法の適用を受けない取引というのは、他に何の規制も受けないのでしょうか。 |
下請代金法の適用を受けない取引であっても、以下の規制を受ける場合があります。
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《ポイント》法令の根拠
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【区分】総論
【類型】総論
下請取引適正化等の推進のためのガイドライン 経済産業省、国土交通省や総務省などが作成した「下請取引適正化のためのガイドライン」について教えて下さい。業種によってガイドラインが有ったり無かったりする理由も教えて下さい。公取委の下請代金法に関する運用基準とはどのように違うのですか。 |
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《ポイント》
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【区分】総論
【類型】総論
下請適正化の取組み A社は親事業者であるB社から下請いじめを受けていて下請代金法に違反している疑いがあるが、それをB社に指摘した途端、取引を切られてしまう心配があります。どのように対応したらよいのですか。 |
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《ポイント》
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【区分】下請代金法
【違反類型】減額
商社介在の時の親事業者 A社(資本金300万円)は、1億円の包装機械の製作を商社B(資本金2,000万円)から外注を受け、B社に納品しましたが、消費税分を払ってくれない上に、手数料を引かれました。そもそもの発注元のC社は大手メーカーですが、今回の取引には、間に商社Bが入っており、B社からA社に発注されています。 |
下請代金法では、商社が下請取引の間に入る場合は、実質的に委託を行っているのか(製品仕様、下請代金の決定等)、単に事務手続の代行を行っているにすぎないのか(注文書の取次、請負代金の請求等)、商社の取引の実質により取扱いが異なります。 本事例では、商社B社が実質的に発注を行っている場合は、B社が親事業者に該当し、事務代行のみであるのならば、C社が親事業者となります。 次に、事業者の資本金をみます。 A社は資本金300万円ですから、親事業者の資本金が1千万円を超える場合に下請代金法が適用されることとなります。 B社が親事業者と認められた場合、B社は、資本金が2,000万円ですので、下請代金法の適用を受けることとなります。 その場合、発注書に記載された代金から、消費税や手数料が差引かれているのであれば、下請代金法の「減額」に該当するおそれがあります。 なお、C社が親事業者に該当するのであれば、C社の資本金を調べることになります。 |
法令の根拠
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【区分】下請代金法・労働者派遣法
【違反類型】適用の有無
システム開発の人材派遣 A社は、B社が行っているシステム開発に5人を出して、B社内においてシステム開発を行っていますが、これは労働者派遣なのか、あるいは、請負として下請代金法の適用を受けるのか、どちらでしょうか。 |
労働者派遣か、請負かを区別するためには、システム開発の態様が問題となります。 すなわち、労働者派遣とは、派遣元に雇用されていながら、派遣先の直接指揮命令を受ける関係がある場合をいいます。本事例では、5人のシステムエンジニアは、A社に雇用され、B社の現場でシステム開発作業に従事しているわけですが、B社の従業員から直接指揮命令を受けていれば、それは労働者派遣ということになり、A社は、労働者派遣登録をして、派遣元としての義務を負うことになります。 一方、A社の責任者から作業を指示され、5人が自分の担当するシステム開発を行っている場合は、まさにプログラムの請負であると考えられます。この場合は、それぞれが区分されたシステムを分担して、担当していることを示す帳票があると明確です。この場合は、資本金区分と取引内容の要件を満たしていれば、下請代金法が適用されます。 労働者派遣法に基づく労働者派遣に対しては下請代金法は適用されない扱いとなっています。 |
法令の根拠
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【区分】下請代金法
【違反類型】トンネル会社・減額
トンネル会社の利用 A社(資本金5,000万円)は、B社(資本金4億円)から部品の製造を受託してきましたが、B社の指示により、B社の子会社C社(資本金1億円)から受注することになった途端、検査が厳しくなり、不合格品は10%引きで引き取るという運用が行われるようになりました。 |
A社の資本金が5,000万円でありC社が1億円であることから、資本金基準を満たしておらず一見すると、下請代金法の適用から外れる取引の様に見えますしかし、C社は、B社の子会社であることから、「トンネル会社」の適用が問題となります。 トンネル会社規制とは、親事業者が直接下請事業者に委託をすれば下請代金法の対象となる場合に、当該親事業者が下請代金法の適用を逃れるために、故意に資本金の小さい会社を取引の間に入れることを防止するものです。 トンネル会社に該当する要件は、(1)親会社から役員の任免、業務の執行又は存立について支配を受けている場合(議決権が過半数を超える場合、実質的に役員の任免が親会社に支配されている場合等)、(2)C社がA社に全量または相当部分を再委託すること(額又は量の50%以上)であり、この2つの要件に合致した場合は、C社は親事業者とみなされ、下請代金法の適用を受けます。 C社が親事業者となった場合、検査を恣意的に厳しくして、不合格品を10%引きで引き取るという行為は、「減額」に該当するおそれがあります。 近年、グループ経営が増えていることから、トンネル会社規制に留意する必要があります。 |
法令の根拠
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- 第1章.下請代金法関係
- 第2章.独占禁止法関係
- 第3章.民法・商法関係