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  支援人材の基本姿勢
目次
はじめに
創業における経営課題と支援施策
支援人材の基本姿勢
ビジネスプランの作成
創業前後の資金調達
創業後の継続的な支援
マーケティングの支援
コーディネートによる支援
国際化対応への支援
支援人材の基本姿勢
 創業者は自身の夢の実現のために起業した挑戦者ですが、十分な会社経営の経験がないケースが殆どです。また、新規事業へのチャレンジである場合には、事業そのものについても経験の浅い方が少なくありません。このため、多くの創業者は大きな不安を抱えています。創業を支援する人材としては、不安を抱えた創業者の心の支えとなることが求められます。ここでは、挑戦者の支援のためのメンタリングの第一人者である国際メンタリング&コーチングセンターの石川洋所長に、創業の支援人材に求められるメンターとしての基本姿勢について、お聴きしましょう。
創業支援で求められる支援人材とは?
   大多数の創業者やスタートアップ企業の経営者は、相談にきた当初、支援人材に対し「相談には来たものの、本当に自分のことをわかってくれるのだろうか?」、「自分の立場に立った支援をしてくれるのだろうか?」、「役に立つ支援をしてくれるのだろうか?」などと、半信半疑で不安な気持ちを抱えています。一方で、創業者は、支援人材が創業者を自分自身のことのように思い、運命共同体になって行動してくれることを期待しています。支援人材としては、このような創業者の期待と不安を理解し、「自分は、創業者のメンターであり、創業者の力を伸ばすことで夢の実現を支援する。」と意識することが支援の第一歩です。
従来の支援人材の問題点は?
   これまでの創業支援を見ると、資金調達、会社設立などについて定型的に支援をしていることが多く見かけられます。定型的な支援とは、過去の経験や知識を現在支援している企業に型どおりに当てはめ、助言・指導するもので、過去の成功例や自説の押し付け、自慢や自己満足的な支援となりがちです。これでは、先述した創業者が求める支援人材像とは、かけ離れたものとなってしまいます。
 確かに、創業の過程においては、会社設立、資金調達申請など、過去の知識やノウハウが有効なものもあります。しかし、新しい事業を起こそうとする、未来志向型の創業者にとっては必ずしも満足をえられる支援にはならないことも多いのです。

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創業者の信頼を勝ち取るには?
   創業者に対して価値のある支援をするためには、支援人材が創業者やスタートアップ企業の強み・弱みを的確に把握することが前提となります。それには、創業者から本音を引き出すことが必要です。さて、冒頭に述べた創業者の支援人材への不安から、創業者は、相談開始当初は支援人材に本音を漏らそうとはしないでしょう。創業者の本音を引き出すためには、支援人材が創業者からの信頼を得、その不安を除去することが必要です。
 創業者から信頼を勝ち得るための第一歩は、「顔の見える支援」をすることです。支援機関のホームページなどで、支援内容や支援人材を紹介する際に、もう一段階進めて、支援人材の顔や人となり、専門性をより詳細に伝えてみましょう。これにより、創業者が自分のニーズや性格に合致した専門家を安心して選ぶことが可能になります。さらに、支援人材の情報を十分に公開することで、創業者からは「この先生は言っていることに自信があり、逃げないだろう」と思い、信頼感を感じることにつながります。
 創業者を支援するためには、支援人材は、対応策や事業の方向性を一緒に考えることが必要で、「一緒に行動する」という気持ちが必要です。事業への共同責任者としての責任感を強く持ち、これを創業者に示すことです。創業者の成功があって初めて支援人材の存在価値があります。支援企業が失敗
した時、支援人材に経済的・法的な責任はありませんが、「創業者とともに行動する」という姿勢を持つことは支援の根本です。
 また、相手の存在を認め、相手のやり方でやらせることも重要なポイントです。創業者を尊重し、相手のことを否定しない、過去の成功談に基づいた型にはめないように気をつけなくてはなりません。もし、頭ごなしに否定し、支援人材の自説を強要すると、創業者からの本音は引き出せず、信頼は勝ち取れないでしょう。
 その一方で、創業者のプランについてリスクを低減するためのチェックは必要です。ただし、夢や挑戦を支援するということが、前提になくてはなりません。つまり、「止めた方が良い」という指摘(マイナス・ストローク)ではなく、改善の方向を示し、成功のイメージを湧かせること(プラス・ストローク)が必要です。最終的には支援により、今まで出来なかったことが達成され、価値創造、自己実現につながることが必要です。

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相談対応におけるプラス・ストロークとマイナス・ストロークの例
プラス・ストロークの例 マイナス・ストロークの例
大丈夫。最初から完璧な経営者はいないんだよ。
もう一歩チャレンジしてみよう。
一緒に頑張っていこう。
経験者(専門家、参考書)を紹介しよう。
やっても無駄だよ。
それなら以前失敗した企業があったね。
以前支援した経営者は良かったな。
私が○○なら、△△したものだ
  (価値観を押し付けるように)

継続的な支援をしていくためには?
   創業支援は、継続的に支援をしていくことが必要です。
継続的な支援をしていくためには、ベンチャー企業との間にコラボレーション関係を築いていくことが条件となります。それには、地位に基づく権威(Position Power)に依拠するのではなく、人間としての信頼性、つまり人間力にもとづく信頼関係が必要です。創業者と支援人材とがお互いに協力し合い、Win-Winの関係を構築し、責任を共有し、成功サイクルを共に進む気持ちが求められます。経済財政諮問会議が掲げる経済活性化戦略の第1は、人間力戦略であり、構造改革の最大の意義はここにあると言えます。
CHECK POINT
  相談者とともに進む支援人材となっているか?
1 創業者の立場に立ち、支援の心を伝えていますか?
2 権威や地位による発言ではなく、人間の信頼性、つまり人間力に基づき支援していますか?
3 自信を無くしている時は、勇気づけながら、新たな可能性を示唆していますか?
4 あら捜しではなく、改善の方向性を伝えていますか?
5 共同責任の意識で協働環境を構築しながら、本心を引き出していますか?
6 自分の考えを押し付けるのではなく、相手の潜在的考えや能力を引き出していますか?
7 問題点を気づかせていますか?

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事例 地域産業の総合的な支援体制の構築
(イメージ図)
 創業支援に当たって注意していることは、センターのお客さんは「相談者」であるということです。相談者があって始めてセンターの仕事があるため、相談者に感謝しながら、顧客満足をつくり上げ、リピーターになってもらうよう注意しています。また、経営者に必要な知力、気力、体力、胆力、専門能力のうち、アドバイスの際の支援担当者は、知力以外は総て経営者にかなわないことを、支援の大前提としています。創業者の能力を尊重した上で、不足している能力(分析能力、情報収集能力、表現力等)の補完に視点を置き、支援をしています。
 相談対応に当たっては、「相手の思いをかなえてあげたい」という気持ちで、相手の話を聞くことから始めます。そして、相談者の考えを自分の言葉に置き換えて反復し、相談者のことを理解していきます。更に、相手の漠とした考えを、一緒になって、ビジネスモデルのフローチャートや損益計算書、資金繰り表のような形にします。その一方で、相談者との会話の中で、問題点を具体化していきます。また、誠心誠意の対応、相手の思いを頭ごなしに否定しないこと、問題点が見つかった場合に「○○だからダメだ」とは言わず、「成功するためには○○の問題を解決していくことが必要」と言った表現などに注意し、相談者の信頼を勝ち得、相談者から本音を引き出そうとしているのです。
くまもとプラットフォームのHP

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筆者紹介 石川 洋(いしかわひろし)
【国際メンタリング&コーチングセンター所長、(株)スマートビジョン代表取締役】
筆者、石川洋
東京工業大学卒、慶応ビジネススクールMBA取得。(株)日立製作所、ソニー(株)を経て、(株)スマートビジョン代表取締役。法政大学エクステンションカレッジ、(社)日本能率協会、ADO全国デパートメントストアーズ開発機構、中央職業能力開発協会などで、コーチングとメンタリング講座講師を勤める他、多くの企業・商工会などで、エグゼクティブ/中間管理職/指導員用コーチングとメンタリング研修やケーススタディの企業研修を行っている。中小企業総合事業団新事業開拓支援専門員としても活躍中。主著には、「勝ち組みへの新流通戦略−21世紀へのスマートビジョン」文芸社、「よくわかるビジネス・コーチング入門」日本能率協会マネジメントセンター等がある。
(E-mail:info@smartvision.co.jp

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  創業支援のエッセンス