刊行に寄せて
日本経済に、ようやく好循環が生まれ始めました。
有効求人倍率は22年ぶりの高水準、昨年の賃上げ率は過去15年間で最高、企業の経常利益は過去最高水準であります。こうした動きを本格的な成長に結びつけ、また景気回復の実感を全国津々浦々にお届けすることが経済産業省に課された大きな使命です。
この使命を実現するためには、日本経済を駆動するエンジンを載せ替える必要があります。かつての高度経済成長期には馬力が大きなエンジンが推進力となっていましたが、これから求められるエンジンは、コンパクトで扱いやすく、低燃費で環境に優しいエンジンです。
すなわち、富士山のような存在感のある大企業だけではなく、付加価値が高くニーズに応じた少量生産・サービス提供が可能な中小企業が全国各地で美しい山々を形成する、我が国の国土のような魅力的で変化に富んだ経済のかたちを築いていくことが重要だと考えています。
中小企業・小規模事業者・商店街が、成長戦略の主役として、新しい分野にも挑戦していくことが、大きなカギになります。今回、革新的な製品開発、新しいサービスの創出、積極的な海外展開など、様々な分野で活躍している「がんばる中小企業・小規模事業者300社」と、地域の特性を活かしながら商店街の活性化の取組を進めている「がんばる商店街30選」を選定しました。この選定には、皆様が大志を抱き挑戦される「志高清遠」の思いが込められております。
受賞者の皆様には、大きな理想の実現に向けて志高く邁進し、我が国経済の新しいエンジンとなって頂くことを期待しています。皆様の取組に触発された多くの中小企業・小規模事業者・商店街をも巻き込んで、大きな機運が沸き起こることを祈念いたします。
平成27年3月
経済産業大臣 宮沢 洋一