FAQ「中小企業の定義について」
- Q1:中小企業基本法の中小企業の定義と小規模企業の定義を教えてください。
- Q2:中小企業基本法上の「会社」の定義を教えてください。
- Q3:中小企業基本法上の「常時使用する従業員」の定義を教えてください。また、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者並びに会社役員及び個人事業主は「常時使用する従業員」に該当するか教えてください。
- Q4:中小企業基本法上の「製造業、建設業、運輸業その他の業種」、「卸売業」、「サービス業」、「小売業」のうちどの業種に分類されるのかを判断する方法を教えてください。また、別業種に属する複数の事業を持つ場合は、どのように取り扱われますか。
- Q5:中小企業基本法上の中小企業に該当するためには、資本金と従業員の両方の基準を満たす必要がありますか。
- Q6:社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、農業法人(会社法の会社又は有限会社に限る。)、組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合等)又は有限責任事業組合(LLP)は、資本金(出資金)又は従業員の基準を満たせば中小企業基本法上の中小企業に該当しますか。
- Q7:大企業である親会社から一定の割合で出資を受けているなど大企業の支配下にある会社いわゆる「みなし大企業」は、中小企業基本法上の資本金又は従業員の基準を満たせば中小企業に該当しますか。また、大企業の定義を教えてください。
- Q8:「小規模企業者」と「小規模事業者」の違いを教えてください。
Q1:中小企業基本法の中小企業の定義と小規模企業の定義を教えてください。
中小企業基本法では中小企業者の範囲と小規模企業者の定義を次の表のように規定しています。
また、中小企業基本法の中小企業者の範囲は、個別の中小企業施策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、各法律や支援制度における「中小企業者」の定義と異なることがあります(下記の例をご覧ください)ので、法律の所管担当や補助金等の各窓口にご確認ください。
※中小企業基本法上においては「中小企業の定義」ではなく「中小企業者の範囲」、「小規模企業」ではなく「小規模企業者」と規定しています。
※中小企業基本法第2条第5項に規定する「商業」とは、卸売業・小売業を指します。
※中小企業基本法上の「製造業、建設業、運輸業その他の業種」、「卸売業」、「サービス業」、「小売業」のうちどの業種に分類されるのかを判断する方法は、Q4をご参照ください。
(参考)中小企業基本法第2条第1項 (中小企業者の範囲及び用語の定義) | |||||
第2条 | この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。 | ||||
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資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの | |||||
二 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの | ||||
三 | 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの | ||||
四 | 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの | ||||
5 | この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人)以下の事業者をいう。 |
法律の所管担当や補助金等の各窓口一覧はこちら
(例1)中小企業者等の法人税率の特例における中小企業者(等)の定義 (出典:財務省HP) 中小企業者等の各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率を15%(本則税率:19%)とする。(適用期限:平成29年3月31日) (注)中小企業者等とは、次の法人をいう。 | ||
(1) | 普通法人(資本金の額等が5億円以上である法人等との間にその法人等による完全支配関係があるもの等を除く。)のうち各事業年度終了の時において資本金の額等が1億円以下であるもの又は資本等を有しないもの | |
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(2) | 人格のない社団等 | |
(3) | 公益法人等 | |
(4) | 協同組合等 |
(例2)平成26年度 消費者志向型地域産業資源活用新商品開発等支援事業 公募要項における中小企業者の定義 本事業の補助対象者は、次の(1)及び(2)に掲げる要件をいずれも満たす事業者であることとします。 | |
(1) | 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律(平成19年法律第39号。以下「中小企業地域資源活用促進法」という。)第6条第1項に基づく地域産業資源活用事業計画の認定を受けた同法第2条第1項に規定する中小企業者であって、平成24年度以前に認定を受けた者であること。 |
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(略) | |
(2) | (略) |
(参考) 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律(平成19年法律第39号) (定義) | ||||
第2条 | この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。 | |||
一 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種及び第5号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
二 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であって、卸売業(第5号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
三 | 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であって、サービス業(第5号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
四 | 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
五 | 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
六 | 企業組合 | |||
七 | 協業組合 | |||
八 | 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの |
Q2:中小企業基本法上の「会社」の定義を教えてください。
会社法上の会社を指すものと解しています。
また、下記の士業法人は、会社法の合名会社の規定を準用して実質的に会社形態をとっていると認められることから、中小企業基本法に規定する「会社」の範囲に含むものとして解しています。具体的には、以下の通りです。
会社法上の会社等 |
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士業法人 |
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Q3:中小企業基本法上の「常時使用する従業員」の定義を教えてください。また、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者並びに会社役員及び個人事業主は「常時使用する従業員」に該当するか教えてください。
中小企業基本法上の「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員と解しています。具体的には参考をご参照ください。
よって、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者については、当該条文をもとに個別に判断されると解されます。
また、会社役員及び個人事業主は予め解雇の予告を必要とする者に該当しないので、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」には該当しないと解されます。
(参考)労働基準法(昭和22年法律第49号) (解雇の予告) | ||||||
第20条 | 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。 | |||||
2 | 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。 | |||||
3 | 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。 | |||||
第21条 | 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。 但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。 | |||||
一 | 日日雇い入れられる者 | |||||
二 | 2箇月以内の期間を定めて使用される者 | |||||
三 | 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者 | |||||
四 | 試の使用期間中の者 |
Q4:中小企業基本法上の「製造業、建設業、運輸業その他の業種」、「卸売業」、「サービス業」、「小売業」のうちどの業種に分類されるのかを判断する方法を教えてください。また、別業種に属する複数の事業を持つ場合は、どのように取り扱われますか。
- まず、下記URLの総務省が所管する日本標準産業分類(最新版は第13回)をご覧いただき、分類項目名、説明及び内容例示からどの分類にあてはまるのかご確認ください。
http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/02toukatsu01_03000023.html - 次に、下記URLの対応表からどの業種に該当するのかご確認ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/kaitei_13.pdf
なお、問い合わせの多いものにつきましては以下にまとめましたのでご確認ください。
- <農林漁業>
その他の業種に該当します。(日本産業分類上大分類A(農業、林業)もしくはB(漁業)に該当するため) - <製造小売業>
製造した商品をその場で販売する場合、例えばパン屋であれば小売業に該当します。
(日本産業分類上大分類Iの中分類58パン小売業(製造小売)に該当するため)
製造した商品を製造場所以外で販売する場合は、工場は製造業、店舗は小売業になり、複数の業種に該当します。 - <電気・ガス事業>
その他の業種に該当します。(日本産業分類上大分類F(電気・ガス・熱供給・水道業)に該当するため。)
また、別業種に属する複数の事業を持つ場合は「主たる事業」に該当する業種で判断されます。
Q5:中小企業基本法上の中小企業に該当するためには、資本金と従業員の両方の基準を満たす必要がありますか。
両方の基準を満たす必要はありません。「資本金の額又は出資の総額」、「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たせば、中小企業者に該当します。
なお、中小企業基本法に書かれている「並びに」「及び」は「法令用語」で表記したものであり、上記の解釈で問題ありません。
Q6:社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、農業法人(会社法の会社又は有限会社に限る。)、組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合等)又は有限責任事業組合(LLP)は、資本金(出資金)又は従業員の基準を満たせば中小企業基本法上の中小企業に該当しますか。
農業法人(会社法の会社又は有限会社に限る。)を除き、中小企業基本法上の「会社」に該当しないと解されることから中小企業基本法上の中小企業者に該当しないものと解されます。(Q2をご参照ください)
ただし、下記のように個別の法律や補助金等により中小企業の定義が異なる場合がありますので、法律の所管担当や補助金等の各窓口にご確認ください。
(参考)中小企業者の範囲が異なる事例(医者、農家の例)
法律名 | 中小企業 基本法 | 小規模事業者 支援法(※1) | 小規模企業 共済法 | 中小企業 信用保険法 |
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中小企業庁の 所管課 | 企画課 | 小規模企業振興課 | 小規模企業振興課 | 金融課 |
医者 (医療法人) | × | × | × | ○ |
医者 (個人開業医) | ○ | × | ○ | ○ |
農家 (農業法人※2) | ○ | ○ | ○ | × |
農家 (個人農家) | ○ | × (一部例外あり) | ○ | × |
※1商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律
※2会社法の会社又は有限会社に限る
Q7:大企業である親会社から一定の割合で出資を受けているなど大企業の支配下にある会社いわゆる「みなし大企業」は、中小企業基本法上の資本金又は従業員の基準を満たせば中小企業に該当しますか。また、大企業の定義を教えてください。
中小企業基本法上にはいわゆる「みなし大企業」の規定はありませんので、同法第2条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当する限り中小企業者に該当すると解します。ただし、その他の法律や補助金では支援対象から除外している場合があります(下記例1をご覧ください)ので、法律の所管担当や補助金等の各窓口にご確認ください。
また、大企業の定義につきましては、中小企業基本法上には規定はありませんが、他の法律や補助金等において規定されている場合があります(下記例2をご覧ください)ので、法律の所管担当や補助金等の各窓口にご確認ください。
(例1)平成26年度 消費者志向型地域産業資源活用新商品開発等支援事業 公募要項における「みなし大企業」の定義
(略)
※ ただし、次のいずれかに該当する中小企業(以下、「みなし大企業」)は除きます。
- 発行済株式の総数又は出資金額の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業
- 発行済株式の総数又は出資金額の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業
(例2)中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律(昭和52年法律第74号) (定義) | ||||
第2条 | この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者(次項第2号に掲げる者を除く。)をいう。 | |||
一 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
二 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
三 | 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
四 | 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの | |||
2 この法律において「大企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。 | ||||
一 | 前項各号のいずれかに該当する者以外の者(会社及び個人に限る。)であつて事業を営むもの | |||
二 | (略) |
Q8:「小規模企業者」と「小規模事業者」の違いを教えてください。
「小規模企業者」とは、中小企業基本法第2条第5項に規定する従業員20人以下(商業(卸売業・小売業)・サービス業は5人以下)の事業者等を指します。
一方「小規模事業者」とは、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律第2条に規定する商工会・商工会議所の支援対象となる小規模の商工業者や、所得税法施行令第195条に規定する青色申告を行う不動産所得の金額及び事業所得の金額の合計額が300万円以下の事業者等を指します。各法律や支援制度において定義が異なる場合がありますので、各法律の所管担当や補助金等の窓口にご確認ください。また、中小企業庁の施策の説明上「小規模企業者」を「小規模事業者」と表記している場合もあります。
※中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者に含まれる農林漁業者、医師は、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律第2条に規定する小規模事業者に含まれません。