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中小企業庁長官 平成27年 年頭所感

中小企業庁長官 平成27年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

 日本経済は、安倍政権によって放たれたアベノミクス「三本の矢」によって、長く続いたデフレ経済からの脱却に向けて着実に前進しています。政権交代後、就業者数は約100万人増加し、有効求人倍率は1.09倍と22年ぶりの高水準となる等、雇用情勢は大きく改善しています。さらに、賃上げ率も過去15年で最高であり、昨年は全国の2/3の中小企業・小規模事業者で賃上げが行われました。このように、景気回復の流れは着実に現れています。
他方で、円安による原材料・エネルギーコストの高騰に苦しむ中小企業・小規模事業者の方々の声も多く聞くところであります。全国津々浦々までアベノミクスの風をしっかりと届けていくことが今後の課題であります。中小企業庁といたしましては、被災地の中小企業・小規模事業者対策、地域の中小企業・小規模事業者の活性化、小規模事業者支援策の強化、イノベーションの推進、新陳代謝の促進、消費税転嫁対策や円安による原材料・エネルギーコストの高騰対策、以上6つの政策課題を中心に、中小企業・小規模事業者の活性化を図ってまいります。

 第一に、本年も、東日本大震災からの一日も早い復興・再生を最優先課題として、被災中小企業・小規模事業者への支援を通じ、震災復興の更なる加速に努めます。中小企業等グループ補助金により、これまで累計591グループ、国費で2,970億円の支援を実施し、被災した施設等の復旧・整備を支援しております。また、産業復興相談センターにおける事業再生支援や、政府系金融機関及び信用保証協会における資金繰り支援により、引き続き、被災事業者の円滑な事業再生と資金調達に万全を期してまいります。こうした取組を通じて、被災地の中小企業・小規模事業者の一日も早い復旧・復興を全力で支援してまいります。

 第二に、地域の経済・雇用を支える中小企業・小規模事業者の活力を引き出す政策展開を図ってまいります。そのため、創業間もない中小企業の官公需への参入を促進するとともに、地域をあげて「ふるさと名物」を売り出す企業を応援することにより、地域の需要を創生する「中小企業需要創生法案」の次期通常国会での早期成立を目指してまいります。また、地域コミュニティにおいて重要な役割を担う商店街への支援に注力します。さらに、地域における事業活動の継続や発展のため、地域内外の多様な人材と地域の人材不足に悩む事業者との間で、マッチングから定着までの一貫した支援を実施してまいります。中小企業・小規模事業者からの様々な経営相談にワンストップで対応するため、昨年から「よろず支援拠点」による支援を開始しておりますが、更に強力に地域の中小企業・小規模事業者の活性化を推進してまいります。なお、地域の課題の解決や雇用の場として、事業を行うNPOの活躍もみられるようになっています。その支援の在り方も検討してまいります。

 第三に、全国の中小企業の約9割を占め、地域経済の担い手である小規模企業に焦点を当てた支援策の強化を図ってまいります。
昨年は「小規模企業振興基本法」が成立いたしました。昭和38年に制定されました中小企業基本法以来、約半世紀ぶりの基本法であります。基本法に基づく「小規模企業振興基本計画」に沿って、小規模企業のビジネスプランに基づく経営の推進や需要開拓に向けた支援をはじめ、事業の持続的発展を支援する様々な小規模事業者の振興策をきめ細かく実施してまいります。

 第四に、中小企業・小規模事業者のイノベーションを支援してまいります。中小企業・小規模事業者が、世界市場も視野に入れた競争を勝ち抜いていくためには、これまでのビジネスの殻を破り、創意工夫を活かしたイノベーションを起こしていくことが極めて重要です。このため、「ものづくり補助金」により、試作品や新サービス開発を行う約2万5千社もの全国の中小企業・小規模事業者の挑戦を支援してきたところです。引き続き、産学官連携での高度な課題への取組み、海外展開、サービス産業の高付加価値化など、多方面にわたりイノベーションに挑戦する中小企業・小規模事業者を支援してまいります。

 第五に、企業の新陳代謝の促進です。「日本再興戦略」では「開・廃業率を米国・英国レベルの10%台に引き上げる」という目標を掲げております。経済の活性化のためには企業の新陳代謝が期待されるところであります。まず、創業を促進するため、創業を希望する方々に対し、基本的知識の取得からビジネスプランの作成まで一貫した支援を行う「創業スクール」を全国各地で開催しております。また、創業促進補助金により、創業に要する費用を一部支援し、創業しやすい環境を整えることに努めております。さらに、経営者の代替わり等に際して新しい分野に進出する第二創業も重視しているところです。
事業の承継や引継ぎそして廃業の円滑化も重要な課題です。「次世代へのバトンタッチ」を促し、さらに後継者不在といった悩みに応えるよう、「事業引継ぎ支援センター」の拡充等により、後継者への円滑な事業承継を支援してまいります。また、「経営者保証に関するガイドライン」の普及・利用促進、小規模企業の経営者の退職金となる小規模企業共済制度の機能強化などにより、廃業の円滑化も支援してまいりたいと考えております。

 第六に、消費税転嫁対策や円安による原材料・エネルギーコストの高騰対策に万全を期してまいります。昨年4月の消費税率の引上げにより、立場の弱い中小企業・小規模事業者にしわ寄せがいかないよう、全国に転嫁対策調査官(転嫁Gメン)を474名配置いたしました。消費税転嫁対策特別措置法に基づき、転嫁拒否行為等の監視・取締りに引き続き厳正に取り組んでまいります。
また、「原材料・エネルギーコストの上昇を価格に転嫁できず、収益を圧迫している」という中小企業・小規模事業者の方々の切実な声があります。政府系金融機関における資金繰り支援を実施するとともに、政府として原材料・エネルギーコストの増加分の転嫁対策パッケージを取りまとめ、昨年10月3日に公表しました。円安による原材料・エネルギーコストの高騰によって、中小企業・小規模事業者の収益が圧迫されることのないよう、引き続き万全の対応をとってまいります。

 中小企業庁といたしましては、あらゆる施策を総動員して、景気回復の実感が、全国津々浦々の中小企業・小規模事業者の皆様に届くよう全力で取り組んでまいります。もとより、危機時の事業活動の安全に向けた環境整備にも全力を期してまいります。皆様の御指導・御協力をお願い申し上げます。

 最後に、本年が中小企業・小規模事業者の皆様にとって大きな飛躍の年となるよう祈念し、私からの新年の御挨拶とさせていただきます。

平成27年元旦
中小企業庁長官
北川 慎介