大企業者の事業の開始又は拡大によって、中小企業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす事態が発生するおそれのある場合に、大企業者の事業活動を調整することにより、中小企業の事業活動の機会を適正に確保するものです。
トップページ
出版物
平成22年度版 中小企業施策総覧
第2部 個別中小企業施策/第1編 経営サポート
第9章 取引・官公需支援、事業分野の調整/第4節 事業分野の調整
第9章 取引・官公需支援、事業分野の調整 |
大企業者の事業の開始又は拡大によって、中小企業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす事態が発生するおそれのある場合に、大企業者の事業活動を調整することにより、中小企業の事業活動の機会を適正に確保するものです。
中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律(分野調整法)(昭和52年法律第74号)
大企業者の事業の開始又は拡大によって、相当数の中小企業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす事態が発生するおそれのある場合に一般消費者、関連事業者等の利益の保護に配慮しつつ、大企業者の事業活動を調整するとともに、中小企業団体に対し近代化・事業の共同化等を指導することにより中小企業の事業活動の機会が適正に確保されるようにするために、「分野調整法」があります。
分野調整に係る紛争問題を円滑に処理するため、分野調整に係る情報収集等の体制の整備を図り、紛争の実態を迅速かつ的確に把握した上、指導等を行う(中小企業調整官の活用)とともに、農林関連業種及び生活衛生関係営業に関する分野調整問題についても、農林水産省(地方農政局を含む)及び厚生労働省において処理体制が整備されています。
本法は、中小企業団体の申出により、中小企業者の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある大企業者の事業の開始又は拡大の計画に関し、主務大臣(すなわち大企業者の進出先事業を所管している大臣)が一般消費者等の利益の保護に配慮しつつ、中小企業政策審議会(中小企業分野等調整分科会)の意見を聴いて勧告すること(違反については、公表又は命令)により、大企業者の事業活動を調整するとともに、中小企業団体の近代化・事業の共同化等を指導し、中小企業の事業活動の機会を適正に確保しようとするものです。
a 当該企業の資本金の2分の1以上を大企業者が単独で所有している場合
b 大企業者の派遣する役員又は職員(兼任者のみ)が当該企業の役員のうち2分の1以上を占めている場合
c 総株主又は総社員の議決権の4分の1以上2分の1未満に相当する議決権を有し、かつ、その者が有するその会社の議決権がその者以外のいずれの一の者が有するその会社の議決権をも下回ってない場合であって、主務大臣が審査して「実質的支配が可能」と認めた場合
なお、前記の-a-、-b-及び-c-に準ずる孫会社もダミーとして扱うこととしています。(法第2条、施行規則第2条)
a 当該企業の資本金の2分の1以上を2以上の大企業が所有していて主務大臣が審査して「実質的支配が可能」と認めた場合
b 2以上の大企業の派遣する役員又は職員(兼任者のみ)が併せて当該企業の役員のうち2分の1以上を占めていて主務大臣が審査して「実質的支配が可能」と認めた場合
本法は、相当数の中小企業者の利益を代表し得る中小企業団体(法律及び政令により一定の要件を満たしているものに限られます。例えば商工組合、一定の要件を満たす事業協同組合及び社団法人等)から調査の申出、調整の申出が行われた場合にのみ適用されます。
本法によって申出資格を与えられている団体(法第5条)としては、
中小企業団体から調整の申出があった場合には、主務大臣は、本法第13条の報告徴収権限等を活用し、申出に係る大企業者の進出の実態把握やその申出中小企業団体についての資料の提供、説明、自発的に得られる立入調査等を行い、その結果、本法に基づく調整勧告が必要と認められる案件については、審議会に付議します。
審議会は、主務大臣により付議された案件について申出団体、進出大企業者、一般消費者、関連事業者その他利害関係者の意見を聴いて主務大臣が採るべき調整措置の内容に関し、主務大臣に答申します。
主務大臣は、審議会の答申を得たときは、これを尊重して大企業者に対し、<ア>事業の開始又は拡大の時期の繰下げ、<イ>事業規模の縮小を内容とする調整勧告を行うことができます。(法第7条)
主務大臣は、調整勧告を受けた大企業者が勧告に従わないときは、その旨を公表することができます。また、公表された後においてなお正当な理由なく、勧告に係る措置を採らず中小企業者の相当部分の事業の継続が著しく困難となるおそれが認められる場合には、審議会の意見を聴いて勧告事項の遵守を大企業者に命じることができます。(法第7条第3項及び法第11条)
主務大臣は、大企業者の進出が既成事実化してしまい、調整勧告に係る措置を採らせることが著しく困難となると見込まれる場合には審議会の意見を聴いて、調整勧告前の応急の措置として進出の一時停止(現状凍結)を勧告することができます。
この一時停止勧告は当初6ヵ月以内の期間内で行われ、延長する必要がある場合においても6ヵ月を超えない期間内で行うこととなっています。(法第9条)
本法による調査の申出制度は、調整の申出を行うための前提要件ではなく、前述の中小企業団体が、大企業者の進出計画について、的確な情報等を入手し難い場合が少なくないために、調整の申出の適切なタイミングを失し、進出の既成事実化が懸念される場合を念頭に置いて設けられたものです。
この申出(団体の地区が都道府県区域内のものは、知事を経由)を受けた主務大臣は、対象となった大企業者に対し、次の事項について調査を行い、その調査結果の内容を申出中小企業団体に通知します。(法第5条)
主務大臣は、調整勧告を行ったときは、審議会の意見を聴いて、申出をした中小企業団体に対し、中小企業者の競争力の強化及び一般消費者の利益の増進のために、中小企業者が講ずべき設備の近代化、技術の向上、事業の共同化その他のその事業活動の改善のための方策を示して必要な指導を行います。(法第10条)
本法において、適用除外業種となっているのは、小売業(ただし、飲食店業を除く)と次に掲げる業種です。(法第14条、施行令第2条)
小売商とその他の事業者との事業活動の調整(小売商業調整特別措置法〈昭和34年法律第155号〉)
本法では、小売商の事業活動の機会を適正に確保するとともに、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去して国民経済の健全な発展を図るため、購買会事業に対する規制、小売市場の許可、中小小売商とそれ以外の者との紛争についてのあっせん又は調停・勧告、中小小売商団体と大企業者との間の紛争についての調査・調整勧告・調整命令等について定めています。
この規制は、事業者がその従業員(従業員と同一世帯に属する者を含む)に生活必需品等を販売する購買会事業を営むに当たり、従業員以外の者に同様の購買を行わせることによって、中小小売商の事業活動に対して影響を与え、その利益を著しく阻害するとき、これを禁止することにより、中小小売商業の事業活動の機会の適正な確保を図ろうというものです。
小売市場相互間又は小売市場と周辺の小売商との間における過度な競争を防止するとともに、小売市場内のテナントの保護を図るため、政令指定地域では小売市場を許可制としています。
現在、政令で指定されている市は、図表1-9-13のとおりです。
なお、小売市場とは、<a>一つの建物であって、<b>10以上の小売商が入居し、<c> そのうち政令指定物品(現在、野菜と生鮮魚介類)を販売するものが含まれ、かつ、<d> 建物内の店舗面積の大部分が、50u未満に区分されているものと定義されています。

| 都 道 府 県 |
指 定 市 | 都 道 府 県 |
指 定 市 | |
|
北 海 道 神 奈 川 石 川 愛 知 京 都 大 阪 |
札幌市、旭川市 横浜市 金沢市 名古屋市 京都市 大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市 |
大 阪 兵 庫 和 歌 山 福 岡 熊 本 |
河内長野市、松原市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市 神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市 和歌山市 福岡市、北九州市 熊本市 |
大企業者が特定物品販売事業(一般消費者に対する特定の物品の販売事業)について新たに事業を開始し、又は拡大しようとする場合において、一定の中小小売商団体の申出により、大企業者の事業について必要な調査、調整を行うことができます
大企業者の進出計画により、構成員たる相当数の中小小売商の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれがあるときには、一定の中小小売商団体は、知事に対し、その計画の内容を調査するよう申し出ることができます。知事は、申出に相当の理由があると認めるときには調査を行い、結果を申出団体に通知します。
一定の中小小売商団体は大企業者の進出により構成員たる相当数の中小小売商の経営の安定に著しい悪影響を与えるおそれがあると認めるときは、知事に勧告するよう申し出ることができます。
(ア)及び(イ)の申出をすることができる中小小売商団体とは、(a)中小小売商で組織されている業種別組合、(b)商店街振興組合及び同連合会、事業協同組合又は協同組合連合会であって、政令で定める一定の要件(加入率、地区等)を満たすものです。
知事は、[2](イ)の申出があったときで、当該事態の発生を回避することが困難で、かつ、当該事態の発生を回避することにより中小小売商の事業活動の機会を適正に確保する必要があると認められるときは、事業の開始若しくは拡大の時期の繰下げ又は事業規模の縮小を勧告することができます。また、勧告違反は公表することができます。
知事は、事態が急を要するときは6ヵ月(さらに6ヵ月まで延長できます)以内の期間を定め計画実施の一時停止を勧告することができます。
知事は、(ア)の勧告に従わなかった旨の公表後も大企業者が措置を執らない場合で、団体の構成員たる中小小売商の相当部分の事業の継続が著しく困難となるおそれがあるときは、勧告に従うよう命令することができます。違反は300万円以下の罰金です
主務大臣は、知事から申出があった場合で、必要と認められるときは、(ア)〜(ウ)の措置を自ら採ることもできます。
消費生活協同組合、農業協同組合(以下「生協・農協」という)は、その組合員の生活に必要な物資の供給を第一義目的としており、本来営利を目的としたものではないので、小売商業調整特別措置法による調整対象には原則としてなっていませんが、生協・農協の行う生活物資供給事業については、厚生労働省、農林水産省において各協同組合法の趣旨に則り、従来の通達の徹底を図るとともに、店舗の設置及び運営の適正化の指導、法の許容する範囲を超えた員外利用の防止等の措置が講じられています。