第2部 経済社会を支える中小企業 

1 現在の状況

●企業数、従業者数、製造業付加価値額
 第2-1-1図は、我が国の企業数、従業者数及び製造業付加価値額を示したものである。中小企業の数は、2006年には、419.8万社で我が国の企業数の99.7%を占め、中小企業の従業者数は2,784万人で我が国の雇用の約7割を占めている。また、国民総生産の約2割を占める製造業においても、2008年には、中小企業は48.4兆円と製造業付加価値額の約5割を占めており、我が国経済を支える存在である。
 
第2-1-1図 中小企業の企業数、従業者数、製造業付加価値額
〜中小企業は、企業数の99.7%、従業者数の約7割、製造業付加価値額の約5割を占めている〜


第2-1-1図 中小企業の企業数、従業者数、製造業付加価値額
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 次に、中小企業の企業数、従業者数、製造業付加価値額を市区町村の人口規模別に見ていく。第2-1-2図によると、市区町村の人口規模が小さいほど、企業数、従業者数、製造業付加価値額に占める中小企業の割合が高くなる傾向がある。特に、人口規模が1万人未満の市区町村においては、中小企業が企業数の99.9%、従業者数の約9割、製造業付加価値額の約7割を占め、その存在感が増すことが見て取れる。
 
第2-1-2図 中小企業の企業数、従業者数、製造業付加価値額(市区町村人口規模別)
〜人口規模が1万人未満の市区町村では、中小企業が企業数の99.9%、従業者数の約9割、製造業付加価値額の約7割を占める〜


第2-1-2図 中小企業の企業数、従業者数、製造業付加価値額(市区町村人口規模別)
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●業種別の企業数、従業者数
 第2-1-3図は、業種別の中小企業の企業数の割合を示したものであるが、企業数では、建設業が12%、製造業が11%、小売業、飲食店、宿泊業、その他サービス業等が70%を占める。業種別には、建設業で小規模企業の割合が高く、飲食店、宿泊業で、個人企業の割合が高い特徴が見て取れる。
 
第2-1-3図 業種別の中小企業の企業数の割合
〜建設業が12%、製造業が11%、小売業、飲食店、宿泊業、その他サービス業等が70%を占める〜


第2-1-3図 業種別の中小企業の企業数の割合
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 第2-1-4図は、市区町村の人口規模別に、業種別の中小企業の企業数の割合を示したものであるが、人口規模が小さい市区町村では、建設業の割合が高い。
 
第2-1-4図 業種別の中小企業の企業数の割合(市区町村人口規模別)
〜人口規模が小さい市区町村では、建設業の割合が高い〜


第2-1-4図 業種別の中小企業の企業数の割合(市区町村人口規模別)
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 次に、従業者数について見ていく。第2-1-5図は、業種別の中小企業の従業者数の割合を示したものであるが、建設業が7%、製造業が15%、小売業、飲食店、宿泊業、その他サービス業等が37%を占める。業種別には、企業数と同じく、建設業で小規模企業の割合が高く、飲食店、宿泊業で、個人企業の割合が高い特徴が見て取れる。
 
第2-1-5図 業種別の中小企業の従業者数の割合
〜建設業が7%、製造業が15%、小売業、飲食店、宿泊業、その他サービス業等が37%を占める〜


第2-1-5図 業種別の中小企業の従業者数の割合
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 第2-1-6図は、市区町村の人口規模別に、業種別の中小企業の従業者数を示したものであるが、人口規模が小さい市区町村では、建設業、製造業の割合が高く、人口規模が1万人未満の市区町村では、約4割に上る。
 
第2-1-6図 業種別の中小企業の従業者数の割合(市区町村人口規模別)
〜人口規模が小さい市区町村では、建設業や製造業の割合が高い〜


第2-1-6図 業種別の中小企業の従業者数の割合(市区町村人口規模別)
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● 中小企業の労働生産性、資本装備率、売上高経常利益率、自己資本比率
 以上では、中小企業が企業数、従業者数、製造業付加価値額のうち、どの程度の割合を占めるのかについて、業種別、市区町村人口規模別に見てきた。以下では、中小企業の労働生産性、資本装備率、売上高経常利益率、自己資本比率といった各種指標の分布を見ていく。
 まず、中小企業の労働生産性は、平均で525万円/人であり、大企業の労働生産性の平均910万円/人を下回っている。次に、分布で見ると、労働生産性が0万円/人以上450万円/人未満では、中小企業の割合が高く、550万円/人以上では、大企業の割合が高い傾向にある。一方で、中小企業の中には、大企業の平均を上回る企業が11.4%存在する(第2-1-7図)。
 
第2-1-7図 労働生産性の分布(製造業)
〜中小企業の労働生産性は、平均で大企業を下回るが、大企業の平均を上回る中小企業も11.4%存在する〜


第2-1-7図 労働生産性の分布(製造業)
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 次に、資本装備率を見ると、中小企業の平均は699万円/人であり、大企業の平均1,729万円/人の約4割にとどまる。分布で見ると、資本装備率が500万円/人未満では、中小企業の割合が高く、500万円/人以上では、大企業の割合が高くなる傾向が見られる。また、資本装備率でも、大企業の平均を上回る中小企業が10.3%存在する(第2-1-8図)。
 
第2-1-8図 資本装備率の分布(製造業)
〜中小企業の資本装備率は、平均で大企業を下回るが、大企業の平均を上回る中小企業も10.3%存在する〜


第2-1-8図 資本装備率の分布(製造業)
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 続いて、中小企業の売上高経常利益率を見ていく。中小企業の売上高経常利益率の平均1.8%は、大企業の平均3.2%を下回っており、売上高経常利益率がマイナスでは、中小企業の割合が高く、プラスでは、大企業の割合が高くなる。ただし、最頻値で見ると、大企業、中小企業ともに0%以上2%未満であり、大企業の平均を上回る中小企業も24.8%存在する(第2-1-9図)。
 
第2-1-9図 売上高経常利益率の分布
〜中小企業の売上高経常利益率は、平均で大企業を下回るが、大企業の平均を上回る中小企業も24.8%存在する〜


第2-1-9図 売上高経常利益率の分布
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 最後に、中小企業の自己資本比率を見ていこう。中小企業の自己資本比率の平均27.8%は、大企業の平均40.9%を下回っており、自己資本比率が15%未満では、中小企業の割合の方が高いが、15%以上では、大企業の割合の方が高い傾向にある。ただし、大企業の平均を上回る中小企業が33.6%存在し、自己資本比率が95%以上100%以下では、中小企業の割合が高くなる(第2-1-10図)。
 
第2-1-10図 自己資本比率の分布
〜中小企業の自己資本比率は、平均で大企業を下回るが、大企業の平均を上回る中小企業も33.6%存在する〜


第2-1-10図 自己資本比率の分布
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●中小企業の特徴
 以上では、業種別や市区町村人口規模別に、中小企業の数と従業者数の割合を示すとともに、中小企業の労働生産性、資本装備率、売上高経常利益率、自己資本比率の分布を概観し、中小企業は、平均では大企業を下回るが、その中には大企業の平均を上回る企業が存在することなどを各種統計や指標を用いて見てきた。
 それでは、中小企業自身は、自らが中小企業であることについて、どのような意識を持っているのであろうか。また、大企業の意識とどのように異なるのであろうか。以下では、「産業、生活を支える企業に関するアンケート調査2」を用いて、中小企業が認識している自社の特徴を示していく。

2 中小企業庁の委託により(株)三菱総合研究所が実施。2010年11月に企業26,000社を対象に実施したアンケート調査。回収率13.3%。東日本大震災前の調査であることに留意が必要である。

 まず、中小企業は、自らの強みをどのように認識しているのであろうか。第2-1-11図は、自社の強みとする事業分野について示したものであるが、中小企業は、大企業に比べて、「企画・立案」、「試作」、「最終財製造」を自社の強みと認識している割合が高い。
 
第2-1-11図 自社の強みとする事業分野
〜中小企業は、大企業に比べて、「企画・立案」、「試作」、「最終財製造」を自社の強みと認識している割合が高い〜


第2-1-11図 自社の強みとする事業分野
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 次に、中小企業と大企業が認識している自社の特徴及び自社が主に事業活動を行う市場について見ていく(第2-1-12図)。まず、自社の性格については、中小企業では、大企業と比較して、「老舗企業」よりも「新興企業」、「独立企業」よりも「下請企業」に近いと回答する割合が高い。また、自社の経営については、「慎重な意志決定」よりも「迅速な意志決定」、「外部企業を活用」よりも「自社内で完結」に近いと回答する割合が高い。市場の性格については、中小企業では、大企業と比較して、「競争的」、「成長」と回答する割合が低い。
 
第2-1-12図 自社の特徴及び自社が主に事業活動を行う市場
〜中小企業では、大企業と比較して、自社の性格は「老舗企業」よりも「新興企業」、「独立企業」よりも「下請企業」、自社の経営は、「慎重な意志決定」よりも「迅速な意志決定」、「外部企業を活用」よりも「自社内で完結」に近いと回答する割合が高く、市場の性格については、「競争的」、「成長」と回答する割合が低い〜


第2-1-12図 自社の特徴及び自社が主に事業活動を行う市場
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 続いて、中小企業は、こうした市場内でどのような位置付けにあると認識しているのであろうか。第2-1-13図は、中小企業と大企業が認識する自社の市場内の位置付けを示したものである。製造業、非製造業ともに、第1〜10位、第10位には入らないが、上位と回答するのは、大企業が多い。一方、製造業で6.2%、非製造業で7.6%の中小企業が、自社が主に事業活動を行う市場において第1位に位置していると回答している。
 
第2-1-13図 自社の市場内の位置付け
〜製造業で6.2%、非製造業で7.6%の中小企業が自社が主に事業活動を行う市場において第1位に位置していると回答している〜


第2-1-13図 自社の市場内の位置付け
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 第2-1-14図は、自社がどのように経済、社会に貢献しているかを示したものであるが、大企業では、「生活に不可欠な製品、サービスの提供」の割合が最も高いが、中小企業では、「産業に不可欠な製品、サービスの提供」の割合が最も高い。この理由としては、第2-1-36図で見ていくとおり、大企業の多くは、消費者向けの財・サービスを販売・提供していることから消費者を意識した回答の割合が高いのに対して、中小企業の多くは企業向けの財・サービスを販売・提供していることから企業を意識した回答の割合が高くなっていると考えられる。
 
第2-1-14図 自社の経済、社会への貢献
〜中小企業では、「産業に不可欠な製品、サービスの提供」の割合が最も高い〜


第2-1-14図 自社の経済、社会への貢献
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 次に、中小企業、大企業は、それぞれ中小企業であることのメリット及びデメリットをどのように感じているのであろうか。まず、第2-1-15図は、中小企業であることのメリットを示したものであるが、大企業、中小企業ともに、「意志決定が迅速」、「小回りが利く」、「きめ細やかな対応が可能」と回答する割合が高い。また、中小企業の認識は、大企業と比較して「小回りが利く」、「きめ細やかな対応が可能」と回答する割合が高く、中小企業はこうした点で、大企業が認識している以上に、中小企業であることのメリットを感じていることがうかがえる。
 
第2-1-15図 中小企業であることのメリット
〜大企業、中小企業ともに、「意志決定が迅速」、「小回りが利く」、「きめ細やかな対応が可能」と回答する割合が高い〜


第2-1-15図 中小企業であることのメリット
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 次に、第2-1-16図は、中小企業であることのデメリットを示したものであるが、大企業、中小企業ともに、「大規模な事業に対応困難」、「大規模な販売や営業が困難」、「特定の人材への負荷が集中しやすい」と回答する割合が高い。また、中小企業の認識は、大企業と比較して「大規模な事業に対応困難」、「大規模な販売や営業が困難」と回答する割合が高く、中小企業はこうした点で、大企業が認識している以上に、中小企業であることのデメリットを感じていることがうかがえる。
 
第2-1-16図 中小企業であることのデメリット
〜大企業、中小企業ともに、「大規模な事業に対応困難」、「大規模な販売や営業が困難」、「特定の人材への負荷が集中しやすい」と回答する割合が高い〜


第2-1-16図 中小企業であることのデメリット
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 中小企業と一言に言っても、その実態は、業種や規模等により、大きく異なることは言うまでもないが、総じて中小企業は、自らの規模が小さいことを、意志決定が迅速、小回りが利くとメリットに感じている一方、大規模な事業に対応困難、大規模な販売や営業が困難とデメリットに感じていることを示してきた。



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