第3部<テーマ分析[2]>少子高齢化・人口減少社会における中小企業 

第1節 人口減少の概況

1.総人口と出生率の状況
 総務省「国勢調査」によると、2005年10月1日現在の我が国の総人口は1億2776万人であり、1年前の推計人口(遡及補正後1)と比較して約2万人の減少となった。

1 遡及補正とは、国勢調査結果より過去の推計人口を遡り補正することを言う。国勢調査は5年ごとに実施するため、調査年以外の人口については遡及補正を行っている。


 2005年から始まった我が国の人口減少は、世界的にも例のないスピードで進むことになるであろう。これは、他の先進国と比較しても、合計特殊出生率の低下が急速に進行しているためである。我が国の合計特殊出生率は、1975年に2.00を下回って以来低下を続けており、現在の合計特殊出生率は1.29(2004年)である。また、出生数は2005年に106.7万人2、2020年に91.4万人、2040年に75.3万人、2060年には63.2万人と、今後急激に減少することが予測されている3(第3-1-1図)。

2 厚生労働省「2005年人口動態統計の年間推計」の公表値。
3 020年・2040年・2060年の数値は2002年に発表された国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位推計)による。


 
第3-1-1図 我が国の人口構造の推移
〜ついに我が国も本格的な人口減少社会に突入した〜

第3-1-1図 我が国の人口構造の推移
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 他の先進国の出生動向はどうであろうか。アメリカでは1960年代初めから1970年代前半にかけて合計特殊出生率が大きく低下したが、1990年以降はおおむね2.00前後で推移している。欧州でもイギリスやフランスでは、1980年以降、1.70〜1.90程度の高い合計特殊出生率を維持している。ドイツやイタリアは合計特殊出生率が日本と同様の1.3程度の水準であるが、近年回復傾向に転じている4(第3-1-2図、第3-1-3図)。

4 主要国の合計特殊出生率の推移は付注3-1-1を、総人口の推移は付注3-1-2を参照。


 
第3-1-2図 主要国の合計特殊出生率の推移
〜我が国は他の先進国と比較して合計特殊出生率が低く、かつ減少傾向が続いている〜

第3-1-2図 主要国の合計特殊出生率の推移
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第3-1-3図 主要国の総人口の推移
〜我が国は他の先進国に先駆けて人口減少社会に突入した〜

第3-1-3図 主要国の総人口の推移
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2.労働力の状況
 総人口の減少が始まったのは2005年からであるが、人口減少状況を年齢別に見ると、15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口は、既に1996年から減少に転じている。少子高齢化社会とは、総人口の減少もさることながら、高齢化率の上昇を反映し、全人口に占める生産年齢人口5の比率が低下していく社会である。

5 厳密に言えば、「生産年齢人口」と「就労可能人口」はイコールでない。65歳以上の「高齢者」でも就労できる人・している人は存在するし、逆に10代後半〜20代前半の相当数は学生であり、現実に就労することは困難だろう。ここでの分析では、生産年齢人口を就労可能人口の「近似値」として扱っている。


 雇用政策研究会の報告によると、女性や高齢者等の労働市場への参入が進まず、性・年齢別の労働力率が2004年の実績と同じ水準で推移した場合、全体の労働力率は2004年(60.4%)と比較して、2015年においては3.7%の低下、2030年においては6.8%低下すると見込まれる。また、厚生労働省「職業安定局推計」によると、労働力人口は2004年(6642万人)と比較して、2015年においては約42万人減少、2025年においては約342万人減少することが見込まれる(第3-1-4図)。労働力人口の減少に伴い、就業者数も減少の一途をたどることとなる6。

6 労働力人口=就業者+完全失業者


 
第3-1-4図 労働力人口の推移
〜労働力人口は減少の一途〜

第3-1-4図 労働力人口の推移
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 では、総務省「就業構造基本調査」を用いて我が国の就業者数7の変化を人口の変化に因るものと就業率の変化に因るものに分けてみよう8

7 「就業構造基本調査」では、「就業者」、「就業率」という用語は「労働力調査」との違いを明確化するため使用せず、「有業者」、「有業率」という用語を用いている。本文で「就業構造基本調査」の結果を引用する際に「就業者」「就業率」とあるのは、この「有業者」「有業率」を指している。
8 具体的な計算方法は付注3-1-3参照。


 第3-1-5図によると、これまでは総人口の増加が続いたため、生産年齢人口に占める就業率の変化にかかわらず就業者数を成長させる要因となっていた。しかしながら、今後、総人口が急激に減少していくと予想されることから、就業者数の年平均成長率を維持するためには、生産年齢人口に対する就業率の増加を図っていくことが重要になってくる。

 
第3-1-5図 就業者数の年平均成長率に対する寄与度
〜これまで我が国の就業者数の成長の要因は人口増加〜

第3-1-5図 就業者数の年平均成長率に対する寄与度
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 第1節 人口減少の概況

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