第2部 経済構造変化と中小企業の経営革新等 

第3節 中心市街地と商業の活性化

 第1章で述べたように、近年の流通業の構造変化は大きい。これまで人口の増大や都市化の進展とあいまって発展・成長してきた我が国の流通業は転換期を迎えており、消費支出が伸び悩む中で、小売業全体の生産性向上も頭打ち傾向がみられる。
 こうした厳しい競争環境下において、中小小売商業の太宗を占める商店街をはじめ、既存商業集積は衰退してきており、市町村の中心としての役割を果たしてきた中心市街地の商業集積も全体としては厳しい状況にある。中心市街地は商業機能だけでなく、業務、居住等の都市機能が集積し、長い歴史の中で文化、伝統を育み、各種の機能を培ってきた「街の顔」とも言うべき地域であり、その活性化は地域再生に向けた重要課題となっている。
 そこで本節では、まず、最近の中小商業の構造変化について分析した後、中心市街地と商業集積の関係及び両者の活性化に向けた総合的な取組のあり方などについて、国際比較や今後、進行する人口減少等の観点も含めて分析を行う。

1.中小商業の構造変化

(1)中小小売業

〔1〕総需要が伸びない厳しい競争下の小売業
 2002年の商業統計によると、小売業は、売場面積を除き、商店数、従業者数、販売額のすべてにおいて減少傾向にある(第2-3-24図)。

 
第2-3-24図 小売業を巡る変化

第2-3-24図 小売業を巡る変化
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 小売販売額の減少の背景には、近年の可処分所得の低迷などを背景とする消費支出全体の低迷とモノからサービスへの消費構造の変化があると考えられる(付注2-3-8図)。このような要因に加え、今後の我が国人口の減少傾向等を考えると、小売業全体の市場拡大は期待しにくい状況であり、一段と厳しい競争環境となることが予想される。

〔2〕小規模事業所の減少と中・大規模事業所の増加による大規模化の進展
 こうした競争環境の中で、我が国小売業の事業所数の推移を見ると、小売事業所の太宗を占める小規模事業所30は大きく減少し、中規模31・中堅規模32の事業所は若干減少している。他方、大規模事業所33は増加している(第2-3-25図)。


30 小売業小規模事業所(従業員数5人以下)以下同じ
31 小売業中規模事業所(6〜20人)〃
32 小売業中堅規模事業所(21〜50人)〃
33 小売業大規模事業所(51人以上)〃


 
第2-3-25図 小売業の従業者規模別事業所数の推移

第2-3-25図 小売業の従業者規模別事業所数の推移
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 次に従業者規模別に、従業者と販売額の推移を見ると、従業者数では全産業の中で小売業への従事割合は12.2%となっており、この割合は中長期的には増加傾向にあるものの、従業者数自体は最近3年間で6万人が減少している。1985年度を100とすると、小規模事業所においては従業者数の減少が継続しており、2002年調査時点で71.6に減少している。他方、中規模・中堅事業所では直近では横ばい・減少が見られるものの、1985年の水準からは大幅な増加となっており、大規模事業所では一貫して増加を続けている(第2-3-26図)。

 
第2-3-26図 小売業の従業者規模別従業者数の推移

第2-3-26図 小売業の従業者規模別従業者数の推移
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 販売額の推移で見ると、小規模事業所は1994年をピークに減少が継続しており、1985年を100とすると、2002年調査時点では73.4にまで落ち込んでいる。他方、中規模事業所では1997年を、中堅・大規模事業所では1999年を、それぞれピークとして減少に転じているが、1985年を100とすると2002年調査時点で、中規模事業所は157.6、中堅規模事業所は179.0、大規模事業所は180.0となっており、我が国の小売業の担い手の大規模化が進んでいることが分かる(第2-3-27図)。

 
第2-3-27図 小売業の従業者規模別年間販売額の推移

第2-3-27図 小売業の従業者規模別年間販売額の推移
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〔3〕大規模事業所の活発な参入と小規模事業所の退出
 こうした小売業の大規模化は、主に大規模事業所の活発な開業と、既存店の規模縮小ならびに小規模事業所の廃業の増加等によるものと考えられる。
 2002年に存在する130万事業所のうち、1999年(調査日時点)以前からの継続店は107万事業所(全体の82.3%)、1999年(調査日時点)以降に開業した事業所は23万事業所(同17.7%)となっている。この間に34万事業所の廃業があり、開業事業所を廃業事業所が11万事業所も上回ったことで、開業率と廃業率の差は▲6.3%となっている。
 次に事業所の増減における開廃業率及び規模移動による寄与度を見てみよう。
 開廃業率の寄与を見ると、6人以上の中規模事業所以上では、開業が廃業を上回っているものの、小規模事業所では廃業が開業を大きく上回っている。
 また、継続店の規模移動による寄与を見ると、5人以下を除くすべての規模でマイナス寄与度となっている。5人以下の規模では規模移動がわずかに増加に寄与しているが、これは上位規模の事業所の規模縮小が反映されたものと考えられる。小規模事業所の大幅な減少は、上位規模からの縮小移動を上回る廃業退出が進んだ結果であるといえる(第2-3-28図)。

 
第2-3-28図 小売業の従業者規模別事業所数変化への寄与度

第2-3-28図 小売業の従業者規模別事業所数変化への寄与度
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 さらに、こうした結果が売上高の変化にどのような寄与をしているのかを見てみると、すべての規模で開業事業所の増加分を、継続事業所、規模移動事業所および廃業事業所の売上高の減少が上回っている。この結果は、大規模事業所の活発な参入による厳しい競争下で、大規模事業所を含む既存事業所(継続店)の売上が減少し、これを背景として継続店の規模の縮小や小規模な継続店を中心とした廃業退出が進んだことを示している(第2-3-29図)。

 
第2-3-29図 小売業の従業者規模別売上高変化への寄与度

第2-3-29図 小売業の従業者規模別売上高変化への寄与度
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〔4〕すべての規模階層における厳しい競争
 小売業においては、大規模事業所の構成比が拡大してきているが、大規模事業所間においても厳しい競争が展開されている。
 1997年と比較した2002年における事業所当たりの販売額の減少幅は、小規模事業所が約▲17.1%、中規模・中堅事業所が▲16.1%、大規模事業所が▲22.1%の減少となっており、事業所規模を問わず全ての規模階層において、厳しい競争下にあるといえよう(第2-3-30図)。

 
第2-3-30図 小売業の従業者規模別事業所当たり販売額の変化

第2-3-30図 小売業の従業者規模別事業所当たり販売額の変化
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〔5〕既存集積地区の停滞とロードサイド等の集積拡大
 次に立地、業態の視点から小売業をみると、従来の商業集積地区のうち中心市街地型や駅周辺型、住宅地背景型が減少する中で、ロードサイドと商業集積地区以外の地域での集積が高まりつつあり、また、総合スーパーと専門スーパーの増加が顕著となってきている(第2-3-31図)。

 
第2-3-31図 立地環境特性別業態別事業所数の推移

第2-3-31図 立地環境特性別業態別事業所数の推移
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 立地環境特性地区別に成長度合いを見ると、従来、小売業が主に集積立地していた「商業集積地区」は、事業所数(▲11.2%)、従業者数(▲4.8%)販売額(▲11.4%)、売場面積(▲0.6%)の全てにおいて減少している(付注2-3-9)。
 しかし、そうした「商業集積地区」の中にあっても、「ロードサイド型」では、1事業所当たりの売場面積が増加し、ロードサイド型以外の商業集積地区である「駅周辺・市街地・住宅地背景型」に比して約2.5倍となっており、広い売場面積を持つ店舗の出店が多く行われ、新たな拠点機能を担いつつあることがうかがわれる(第2-3-32図)。

 
第2-3-32図 小売業の集積地区別1事業所当たり売場面積

第2-3-32図 小売業の集積地区別1事業所当たり売場面積
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 また、業態別の事業所数においては、ドラッグストア、衣料品スーパー、コンビニエンスストア等の新業態が大きく伸張し、小売業全体の約90%を占める専門店・中心店が減少している中で、百貨店とその他のスーパーは大幅に減少しており、伸びている業態及び商業地区などに変化が起こっていることが分かる(付注2-3-10)。
 そこで、1,000m2を超える大規模小売店舗の立地状況の変化を見ると、ロードサイド型が2002年には1997年と比較して1.5倍と大きく拡大し、郊外に急速に立地が進んだことがうかがえる(第2-3-33図)。

 
第2-3-33図 小売業の大規模小売店(1,000m2以上)の立地場所の変化

第2-3-33図 小売業の大規模小売店(1,000m<sup>2</sup>以上)の立地場所の変化
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 また、売場面積別の事業所数を見ると、500〜1,000m2規模が大きく伸びている。その背景として、ドラッグストアや衣料品スーパーなどが当該規模に多かったことが要因ではないかと考えられる(第2-3-34図)。

 
第2-3-34図 小売業の売場面積別事業所数の増加率

第2-3-34図 小売業の売場面積別事業所数の増加率
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 こうした現象は、第3部で述べるような、都市化と郊外開発の進展、道路の整備を背景とした車社会の進展などの、社会構造の変化と一体のものと考えられる。

 第3節 中心市街地と商業の活性化

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