(1)債務の整理状況  事業活動をやめることが、そのまま事業の整理が全て終わったことを意味するわけではない。事業を行っている以上は、金融機関からの借入が無くても、取引先などとは何らかの債権債務関係が存在しているのが通常であり、その整理が必要になる。そこで、やめた事業の債務整理が調査時点で終了しているかどうかを見たのが第2-3-70図である。これによれば、回答者の大部分(89.6%)は債務の整理が「終了している」と答えているが、「終了していない」との回答も10.4%存在している。 第2-3-70図 廃業経営者の債務整理状況 〜債務の整理が終了していない廃業者が10.4%存在〜  債務の整理状況は事業の財務状況に大きく影響を受けると考えられることから、利益状態と資産状態を同時に考慮して債務の整理状況を見たのが第2-3-71図である。 第2-3-71図 廃業前の経営状態と債務の整理状況 〜廃業後の債務の整理は、利益状況よりも資産状態に大きな影響を受ける〜  これによれば、廃業後の債務整理状況は利益状態よりも資産状態に強く影響を受けることが分かる。つまり、廃業を決めた時の利益状態が2期連続経常赤字であっても、資産状態が資産超過であれば95.4%の回答者が債務の整理を終了していたのに対し、直前期経常黒字であっても債務超過であったグループは回答者の67.9%しか債務の整理が終了していなかったのである。このことから、債務の整理に対して直接的に影響を与えるのは、やはり資産状態であるということになる。つまり、財務状況、特に資産状態が悪化し債務超過状態になってからの廃業は、債務の整理に困難を伴うことが多いと言えるのである。  また、資産状態を考慮した後の債務の整理状況への年齢による影響を見ると、50歳代以下の比較的年齢の若い層で相対的に債務の整理が遅れている傾向が見られた(第2-3-72図)。 第2-3-72図 廃業前の資産状態と債務の整理状況(年齢別) 〜年齢が若い層ほど債務の整理が終了していない割合が高い〜