中小企業庁は4月21日、「変革を迫られる中小企業と企業家精神の発揮」を副題とする「平成10年版中小企業白書」を発表した。
今回の中小企業白書では、以下の4点を分析の重点としている。
第1に、平成9年度における中小企業の景気動向について分析している。
特に、低迷する我が国中小企業の景気動向について、大企業との比較、業種別、地域別に概観するとともに、経営動向、設備投資状況等について分析し、中小企業の雇用動向についても概観している。また、中小企業の景気動向の特徴として、業種間、規模間格差とともに企業間格差の明確化を指摘し、この背景にある我が国経済構造の変化やグローバリゼーションの進展等の構造要因の影響を分析している。
第2に、最近の中小企業を巡る環境変化について分析している。
国境を越えて人、モノ、金等の経営資源が自由に移動する大競争時代となり、また経済構造改革が進展する今日、我が国中小企業を巡る環境変化には著しいものがある。ここでは特に、グローバリゼーションの進展等を背景とする企業間関係の変化や需要動向の変化、情報化・サービス産業化の進展、流通構造変化等、中小企業に大きな影響を与えている構造変化を概観している。一方、急激なモータリゼーションの進展、消費者ニーズ・行動の変化等の環境変化の中で変容をとげる中心市街地と小売商業の現状を分析するとともに、経済構造変化の中で停滞感を有する地域の産業集積について指摘している。更には、金融ビッグバンの進展等の制度環境変化やエネルギー・地球環境問題の高まりが中小企業に与える影響について検討している。
第3に、我が国及び欧米諸国等における中小企業と中小企業政策の変遷を検討している。
戦後における中小企業と中小企業政策の変遷を、中小企業政策の基礎が形成された「復興期」(1945年〜54年)、我が国経済が飛躍的に成長し、中小企業と大企業の諸格差が縮小の方向に向かった「高度成長期」(1955年〜72年)、第一次石油危機を景気として安定成長の時代となり、中小企業政策が多様な展開を見せた「安定成長期」(1973年〜84年)、プラザ合意以降の大きな環境変化の中で中小企業政策が一層多様化する「転換期」(1985年〜現在)の4時期に区分し、各々時代ごとの特徴を述べている。また、諸外国における中小企業と中小企業政策の変遷を、米国、EU、英国、ドイツ、フランス、イタリアについて概観している。そして、以上の観点を踏まえ、主として各国の中小企業政策の共通点等について指摘している。
第4に、中小企業にとって重要であると考えられる今後の課題と対応について検討している。
「創業と企業成長」の観点からは、企業が生まれ、成長することの基本的な重要性を認識し、中小企業の創業や新分野進出、事業転換等が求められること等を指摘している。「中小企業の創造的革新」の観点からは、中小企業の経営力の強化に焦点を当て、財務体質強化の必要性、ネットワークの活用、熟練技術・技能の維持強化、流通機能の革新等が求められること等を分析している。「独立した中小企業の育成」の観点からは、企業間関係が変化し、また中小企業間の格差が拡大する中で、中小企業にとって今後、市場での評価が一層重要になると考えられること等を指摘している。「地域経済活性化への貢献」の観点からは、中小企業にとって商業集積や産業集積が重要な意義を有すること、これらの活性化が望まれること等を指摘している。そして「我が国中小企業のグローバリゼーション」の観点からは、事業活動の国際化が進展する我が国中小企業の課題と対応等について検討している。
むすび「変革を迫られる中小企業と企業家精神の発揮」