第2部 小規模事業者の未来 

第2章 小規模事業者の多様な側面

本章では、「小規模事業者の多様な側面」と題し、2015年版小規模企業白書に引き続き、ソフトウェアの設計・開発(SE)、ウェブデザイン、ライティング等、自らの持つ技術や技能を拠り所に、組織に属さず個人で活動する「フリーランス」について見ていく。

第1節 フリーランスの属性

小規模事業者の新しい働き方としてのフリーランスについては、2015年版小規模企業白書においてアンケート調査を実施し、フリーランスが事業を営む業界や職種、事業を営む上での課題等について分析を行った。今回の白書では、前回のアンケート調査では対象としていなかった、収入別に見たフリーランスの実態、フリーランスの事業活動への取組と売上や商圏の拡大との関係、フリーランスが仕事を得るために活用している事業上のネットワーク等を明らかにするためアンケート調査1を実施し、分析を行った。

はじめに、本調査におけるフリーランスの属性を概観する。本節の分析はアンケート調査によるものであるため、フリーランスの全体像を直接把握することはできないが、フリーランスが事業を営む職種の傾向を把握することは可能であると考えられる。

第2-2-1図は、今回のアンケート調査の回答者となったフリーランスの性別と年齢構成を見たものである。性別では男性が75.8%、女性が24.2%となっている。また、年齢構成は、50代のフリーランスが最も多く(41.5%)、以下、40代(32.3%)、60代(15.6%)となっている。若年層(30代以下)のフリーランスは10.6%と少数であった。

1 「小規模事業者の事業活動の実態把握調査〜フリーランス事業者調査編」 中小企業庁の委託により、(株)クロスマーケティングが、2016年1月に、同社に登録しているWebモニターのうち、「SOHO」という属性の者(母集団約1万6千者)を対象に実施したWeb アンケート調査。有効回答数1,300者。なお、有効回答数の抽出にあたり、次の条件を全て満たす回答者を「フリーランス」と設定した。〔1〕本調査の事前問において職業を「SOHO(Small Office Home Office)」と回答した者又は本調査の問において「個人事業者として何らかの事業を行っている」と回答した者、〔2〕本調査の問において「常時雇用している従業員はいない」と回答した者、〔3〕本調査の問において「自分が営んでいる事業がフリーランスに該当すると認識している」と回答した者である。

第2-2-1図 フリーランスの性別と年齢構成
Excel形式のファイルはこちら

第2-2-2図は、フリーランスが事業を営んでいる職種について聞いたものである。なお、本図は、アンケートの設問において「その他」と回答した者を除き、職種が判明している者のみを集計している。これを見ると、回答数の多い順に、「デザイナー」(20.7%)、「システムコンサルタント、ソフトウェア作成者」(17.7%)、「著述家」(12.1%)、「翻訳家」(8.1%)、「建築技術者、土木・測量技術者」(7.1%)となっている。これらの職種は、自身の専門性や経験に裏打ちされた技能を活用することにより、仕事の成果が求められる業務であり、定型的な仕事の進め方とは異なる働き方が馴染むものと思われる。

第2-2-2図 フリーランスが事業を営んでいる職種
Excel形式のファイルはこちら

今回のアンケート調査で得られた回答者の職種別内訳(第2-2-2図)を、男女別に見てみる(第2-2-3図)。すると、全職種に占める割合が高い職種の上位3位は、男性では、「システムコンサルタント、ソフトウェア作成者」(22.2%)、「デザイナー」(18.3%)、「著述家」(10.6%)となっている。女性では、「デザイナー」(27.4%)、「翻訳家」(18.4%)、「著述家」(16.0%)となっている。

第2-2-3図 フリーランスが事業を営んでいる職種(男女別)
Excel形式のファイルはこちら

フリーランスにより得られる収入の位置付けについて、家計を主として支える主業か、それとも家計収入を補助する副業かを聞いたものが、第2-2-4図である。全体の85.2%が、主業であると回答している。主業であると回答した比率を男女別に見ると、男性(89.0%)が女性(72.9%)を上回っているが、女性も多くの者が主業として事業を営んでいることがうかがえる。

第2-2-4図 フリーランスにより得られる収入の位置付け(全体、男女別)
Excel形式のファイルはこちら

フリーランスが主に仕事をしている場所について聞いたものが、第2-2-5図である。全体で最も多い回答は「自宅の居住空間の一室」であり、73.6%を占める。この回答を男女別に見ると、男性(69.7%)よりも女性(86.0%)の方が多くなっており、女性の方が自宅の居住空間を活用して仕事を行う傾向が強いことが分かる。

第2-2-5図 フリーランスが主に仕事をしている場所(全体、男女別)
Excel形式のファイルはこちら

フリーランスが居住する自治体の人口規模を聞いたものが、第2-2-6図である。これを見ると、多い順に「20万人以上、50万人未満」(22.5%)、「100万人以上」(19.8%)、「10万人以上、20万人未満」(16.8%)、「50万人以上、100万人未満」(13.6%)となっており、これらを合わせると全体の約7割を占める。このように、フリーランスの多くは人口が集中する自治体に居住し、事業を営んでいるといえる。他方で、人口規模が小さい「1万人未満」の自治体に居住するフリーランスも5.9%いることが分かる。

第2-2-6図 フリーランスが居住する地域の人口規模
Excel形式のファイルはこちら
前の項目に戻る     次の項目に進む