第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来 

2. クラウドソーシングの類型

クラウドソーシングサイトには、システムの開発など、一定のスキルを必要とする仕事から、データを決められたフォーマットに入力していく単純作業まで、実に幅広い仕事が発注されている。これらの仕事は、受注者の決定方法や仕事の進め方により、一般的に、「プロジェクト型」、「コンペティション型」、「マイクロタスク型」の三つに分類することができる(第3-5-8図)。

第3-5-8図 クラウドソーシングの類型

(1) プロジェクト型

〔1〕 概要

プロジェクト型のクラウドソーシングは、制作期間や成果物が決まっているプロジェクト単位で行われる仕事を対象としている。ウェブ開発、ホームページ制作がその代表例である。仕事に対する報酬は、固定報酬制と変動報酬制(時給制)の両方のタイプがある。受注者決定後、交渉により最終的な報酬額を決定することもある。報酬単価は、1件当たり数千円程度の仕事から、基幹システムの開発等、1件当たり数百万円程度の仕事まで幅広い。

〔2〕 「プロジェクト型」の仕事の発注

企業がプロジェクト型の仕事を発注するためには、プロジェクト型の仕事を受け付けているクラウドソーシングサイトに仕事を掲載する必要がある。この際注意したいのが、いかに仕事内容について正確な情報を提供できるかということである。プロジェクト型のクラウドソーシングにおいては、ワーカーの過去の実績やプロフィールにより受注者を決定するため、仕事内容について正確な情報が提供されないと、受注者決定後、ワーカーが提出する成果物が発注者の意図とかけ離れたものとなって提出される恐れがあり、後に発注者と受注者の間でトラブルに発展する可能性もある。企業は、仕事内容についての正確な情報を提供することにより、企業とワーカーとのミスマッチを防ぐ必要がある。企業は、掲載した仕事について受注の申込を受けると、申し込みがあった中からクラウドソーシングサイト上での評価、過去の実績、プロフィール等を参考にして、受注者を決定する。受注者の決定後は、そのワーカーと一緒に仕事を進めていく。

〔3〕 「プロジェクト型」の仕事の受注

ワーカーがプロジェクト型の仕事を受注するためには、プロジェクト型の仕事に申込む必要がある。企業は、ワーカーのクラウドソーシングサイト上での評価、過去の実績、プロフィール等を参考にして受注者を決定しているため、ワーカーはそれらの情報についてできるだけ正確に提供する必要がある。ワーカーが仕事を受注しやすくするためには、クラウドソーシングサイトでの実績を積み上げていくことが考えられる。しかし、新規にクラウドソーシングサイトに参加したワーカーに対しては評価が付いていないため、受注することが困難である場合もある。その場合、ある程度安価な仕事であっても受注し、クラウドソーシングサイト上での実績を積むということも、今後受注可能性を高める対策の一つとして考えられる。

仕事を受注した後は、発注企業と意思疎通をしっかり図ることが重要である。企業としては会ったこともない人物に仕事を発注するため、その仕事がしっかり進行しているかどうかなどについて、常に不安を抱えている。きっちりとした意思疎通はワーカーの信頼性を高め、次回以降、企業がそのワーカーを指名するリピート発注につながる可能性もある。高品質の成果物の提出、納期の厳守はもちろんではあるが、そのようなきめ細やかな意思疎通も、受注者として心得ておくべき重要な要素の一つである。

(2) コンペティション型

〔1〕 概要

コンペティション型のクラウドソーシングでは、ある決まった成果物を提出する仕事を対象としている。ロゴ作成、チラシ作成等がその代表例である。仕事に対する報酬はあらかじめ決まっているものが多く、その支払いは固定報酬制のタイプのものが多い。報酬単価は、1件当たり数千円から数十万円程度と、プロジェクト型の仕事よりも、低めの報酬額が設定されることが多い。

〔2〕 「コンペティション型」の仕事の発注

企業がコンペティション型の仕事を発注するためするには、まずコンペティション型の仕事を受け付けているクラウドソーシングサイトに仕事を掲載する必要がある。この際、プロジェクト型と同様に、仕事内容について正確な情報を提供することにより、企業の理想とする成果物が提供される可能性が高くなる。提出された成果物が、企業の理想とする成果物とかけ離れていたとしても、企業が集まってきた成果物に対してコメントを加えることにより、徐々に企業とワーカーとの認識のズレを埋めていくことができる。企業は、応募された成果物の中から理想とする成果物を一つ選び、その成果物を提示してきたワーカーを受注者として決定する。

〔3〕 「コンペティション型」の仕事の受注

ワーカーがコンペティション型の仕事を受注するためには、コンペティション型の仕事に申し込む必要がある。ワーカーがコンペティション型の受注を受けやすくするためには、企業が掲載している仕事内容から、企業が理想とする成果物を読み取り、その理想とする成果物を作り上げ、成果物を提出することである。コンペティション型の仕事では、基本的にワーカーの応募に対して1件しか採用されないため、申込が多い仕事の場合、競争率が高くなるという傾向がある。しかし、コンペティション型の仕事では、企業は応募されてきた成果物を確認して受注者を決定するため、企業が理想とする成果物を提供することさえできれば、たとえ実績がないとしても受注を獲得できる可能性はある。プロジェクト型と同様に、発注企業と意思疎通をしっかり図ることにより、企業の求める理想の成果物を作り上げていくことが重要である。

(3) マイクロタスク型

〔1〕 概要

マイクロタスク型のクラウドソーシングでは、誰でもできるような非常に簡単な作業による成果物を提出する仕事を対象としている。一つの仕事単位が、数秒から数分で完結するような、簡単なデータ入力等が代表例である。仕事に対する報酬はあらかじめ決まっているものが多く、その支払は、固定報酬制と変動報酬制(時給制)の両方のタイプがある。報酬単価は、1件当たり数円から数百円とプロジェクト型やコンペティション型と比べると極端に低くなる。

〔2〕 「マイクロタスク型」の仕事の発注(受注)

企業がマイクロタスク型の仕事を発注するためには、マイクロタスクの仕事を受け付けているクラウドソーシングサイトに仕事を掲載する必要がある。この際、プロジェクト型、コンペティション型と同様に、仕事内容について正確な情報を提供する必要がある。企業がワーカーに対して仕事を発注する際に、二つのパターンが考えられる。一つは、一つ一つの小さな仕事をある程度の大きさにした上で、個人に対して発注するパターンである。もう一つは、仕事を、クラウドソーシングサイト運営者自体に発注した上で、クラウドソーシングサイト運営事業者がその仕事を小さな仕事に分割し、それらを多数のワーカーが実行するパターンである。前者の場合、ワーカーの過去の実績やプロフィール等から受注者を決定し仕事が進められるのに対し、後者の場合、ワーカーが自由にクラウドソーシングサイト上の仕事に応募することにより仕事が進められる。

マイクタスク型の仕事においては、特別なスキルを必要としない仕事が中心であるため、学生、主婦、シニアなど幅広い個人が受注できる可能性がある。仕事を受注できる人が多い分、仕事の単価は極端に低くなっており、マイクロタスク型で一定の収入を上げるためには、相当の分量の仕事を受注する必要がある。

コラム3-5-1.

クラウドソーシングサービス利用に係る手数料

クラウドソーシングを利用する際に、手数料が無料である場合と各クラウドソーシングサイトで定められた手数料を支払わなければならない場合がある。また、受注者のみに手数料が発生する場合もあれば、発注者のみに手数料が発生する場合もあり、各クラウドソーシングサイトによってその取扱いは異なる。手数料は5%〜20%程度が一般的である(コラム3-5-1図)。

コラム3-5-1図 クラウドソーシングサイト利用手数料
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