第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化 

第3節 情報化の進展

2. 情報技術の普及による中小企業・小規模事業者の経営環境の変化

ここからは、ITの普及による市場や経営環境の変化を見ていく。第2-1-28図は、ITの普及に伴う市場や経営環境の変化の内容を、規模別に見たものである。これを見ると、「業務スピードの要求拡大」、「個別の顧客ニーズへの対応の要求増大」などの顧客の要求の変化や「同業他社との競争激化」が起こる一方で、「販売機会・市場の拡大」などのビジネスチャンスも生じる。そのような変化への感度は、企業規模が小さくなるほど低くなる傾向にあり、小規模事業者の約3割は「特段の変化はない」と回答するなど、ITの普及による市場や経営環境の変化に十分に対応できていない可能性がある。

第2-1-28図 規模別のITの普及に伴う市場や経営環境の変化の内容(複数回答)
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また、第2-1-29図は、規模別・利用形態別のITの導入状況を2007年と2012年で比較したものである。これを見ると、2007年から2012年にかけて、ITは全規模で普及してきているのが分かる。しかしながら、小規模事業者の半数以上が自社のホームページを持っておらず、また、自社サイトでの製品販売・予約受付等は1割程度で、ネットショップやネットショッピングへの出店・出品は1割を切っている。第2-1-27図で見たとおり、対個人向けEC市場は拡大傾向にあり、ネットショッピング等の普及によって、企業規模の大小や地域を問わず、全国や世界を相手にビジネスができる可能性が広がっているにもかかわらず、ほとんどの小規模事業者はその機会を十分に活かせていないといえる。

第2-1-29図 規模別・利用形態別のITの導入の状況(2007年、2012年)
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以上のように、情報化の進展により、企業の経営環境は大きく変わっており、中小企業・小規模事業者にとっても、顧客ニーズの多様化や同業他社との競争激化などに果敢に挑戦していかなければならないが、その一方で、商品やサービス、技術次第では、全国や世界に市場は広がっている。他方で、大企業と、中小企業・小規模事業者の間の情報格差は未だに大きく、中小企業・小規模事業者は情報化の進展によるビジネスチャンスを十分に活かせてない状況にある。

情報技術は、利便性を向上させる方向でますます進歩し、流通構造の変化や情報技術の革新によって、経営環境は今後とも変わっていくことが予想される。中小企業・小規模事業者においては、このような情報技術の進展にも十分に目を向けつつ、中長期的な経営戦略を考えていく必要がある。

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