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第5回 中小企業の会計に関する研究会 議事要旨

日時:平成22年6月17日(火)10:00〜12:00
場所:経済産業省別館9F 944会議室


議事概要

事務局が報告書骨子案(配付資料3)、論点整理案(配布資料4)について説明を行った。
また、上記説明に関して自由討議が行われた。自由討議の概要は以下のとおり。


  • 中小企業の実態は、経理担当者が0人〜1人が70%である。それら中小企業が利用できる会計が必要であり、中小企業の会計に関する指針(以下「中小指針」という。)とは別に、中小企業の実態に即した会計基準を作るべき。トップダウン/ボトムアップの両方があるが、中小企業会計の利用者の圧倒的多数である小規模企業に焦点をあてるべきであり、会計参与設置会社は中小指針を適用すべき。中小企業(特に小規模企業)には、必要不可欠なミニマム会計基準が必要。中小指針を拡張すれば足りるという意見もあるが、中小指針は大企業の会計基準を簡略化したものであり、その視点は大企業指向的。 中小会計の設定主体については、中小企業の実態を熟知している中小企業庁を中心に中小企業の声を十分に反映する形で作るべき。 資料4に基本的な視点として4つあるが、中小企業といっても多種多様であるため、前回の平成14年の研究会報告書に記載されている弾力的視点、つまり弾力的運用を認めるといった選択の余地を持たせたもの、幅を持たせた視点も検討すべき。
  • 中小企業の実態に即した会計基準の策定に関する意見書を日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、中小企業家同友会全国協議会、社団法人中小企業診断協会、社団法人日本販売士協会の総意で作成。 中小企業は、今度の新成長戦略を動かしていく大原動力になっていくものであり、中小企業の実態に合わない会計基準を遵守することは、コストが増大し、円滑な事業推進、企業成長に悪影響を及ぼすことになる。また、中小企業は、確定決算主義を維持することが必要である。このため、中小企業の実態に即した会計基準を新たに設定すべきである。 中小企業の実態に即した会計とは、理解しやすい、経営状況の把握に役立つ、事務コスト負担最小化となるものであり、中小企業が自ら遵守しようとするものが必要。次に、実態、特性、属性といった中小企業の目線に立ったものが極めて重要。また、中小指針は一定水準を保つことが必要であるが、中小企業には難しく、中小企業の実務慣行と乖離しており、中小指針を使いたくても使えないため、新たに別の基準を作るべき。企業規模ではなく、中小企業一般に使えるものが必要。 次に、税法を考慮した会計が必要。中小企業は税務を中心としている実態がある。平成14年の研究会報告書の基本的考え方を踏まえることが必要。 設定主体については、中小企業、金融機関、学者など多くの中小企業関係者と会計専門家が集まって作るべきであり、普及やこれまでの中小企業への関わり方を考え、中小企業庁が中心になることが最適。
  • 中小指針とは別に、もう1つボトムアップ的な基準を作ることが適当である。企業会計基準の公表に際して、会社計算規則についてほとんど触れられておらず、今までおろそかにされてきたのではないか。別途作成する際には、会社計算規則に配慮してほしい。設定主体について、中小企業関係者等が中心となるのは当然であるが、関係官庁が行司役になる方法が良いのではないか。法律などの文書の書き慣れた官庁が入ることが良いのではないか。
  • 論点整理案については妥当であると考えている。中小指針とは別に、中小企業の実態や特性を活かした新たな会計基準が必要。設定主体は、中小企業を見ている中小企業庁を中心に中小企業関係者が広く参画して作るべき。中小企業憲章でも、中小企業の実態に則した会計は、経営に役立つとされている。
  • 論点整理案にある基本的視点については評価する。公開企業や大企業と中小企業の属性は違うため、4つの視点に立った会計は中小企業の属性に見合った会計であると考える。 中小指針は立派であるが、すべての中小企業には適用不可能であり、中小企業や零細企業にとってはハードルが高い。ユーザーである中小企業の声を重視すべきであり、中小企業の身の丈に合った会計を作るべき。税務を尊重した会計基準や取得原価主義を中心として企業会計原則を取り入れた会計基準はどうか。経営者に役立つ会計という視点が重要。 また、IFRS−SMEsは意思決定の有用性に焦点をあて、経営者に対する役立ちという視点を欠いている。そのため、EUでも、IFRS−SMEsに積極的な国はイギリスと数ヶ国のみ。 策定アプローチについて、IASB、ASBJは機能論的アプローチであり、会計情報の機能である意思決定の有用性を重視。一方、企業会計原則に代表される我が国の伝統的なアプローチは会計の事実を重視した機械論的アプローチ(ボトムアップアプローチ)であり、このアプローチの方が、中小企業の会計には最適。 設定主体は、中小企業庁が中心となるべき。中小企業庁は中小企業会計の問題を一番初めに議論している。また、中小指針の普及に関係者は努力する一方、中小指針の問題点も熟知している。中小企業の会計は、中小企業政策と一体となった国家戦略であるべき。
  • 今回の論点整理案の方向について基本的に賛成。多様な中小企業の実態に合わせてボトムアップアプローチとすべきであり、論理的に中小指針とは別のものを作ることが適切。設定主体は中小企業の実態を良く知っている中小企業庁が中心となるべき。 また、論点整理案の中小企業の実態の中で、「同族会社であること」とある。中小企業の大半は同族会社であるが、全てが同族会社ではないので、そう言い切ってしまうのは如何なものか。旧商法で経営者の友人や知人に無理を言って株を所有してもらったという中小企業もある。また、親族外の事業承継が議論されており、それに対応して幅のある表現にしてほしい。キーワードは「実態に則した」と「身の丈に合った」である。
  • 日本商工会議所の意見表明に同意。中小企業の経営に役立つ新たな会計が必要。 中小企業憲章にも「全国の中小企業の声を聴き」とあり、幅広く中小企業の声を聞くには中小企業庁が適当。
  • 中小指針の他に中小企業の身の丈に合った会計を作るべき。 約260万社の中小企業の大半は青色申告を選んでいる。会社法431条に「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」とあり、その慣行とは繰り返し行われているものを意味する。税法は慣行であり、慣行以上のものである。しかし、慣行でも会社法からみて公正妥当でないものは除くべき。一般に公正妥当な慣行の枠内で税法の規定を入れてほしい。 中小企業の会計はIFRSとは異なるため、中小企業庁が中心となって、中小企業が多く参加して作ることが筋論。 中小指針は立派なものであると海外に知らしめて、別途、中小企業に合った会計を作っていると海外に示すべき。アメリカ、ドイツ、オーストラリアの中小企業会計を調べたが、中小企業会計は日本が世界に中で一番レベルが高い。アメリカ、オーストラリアは税法ベースであり、ドイツは6ヶ月経たないと決算書が作成されないという状況。 日本の会計実務をJICAを通じてアジア諸国に広めている。中小企業庁がこういうことも実施してほしい。
  • 会計の国際化は将来の数値を表示し、税務は過去の数値で算定する。中小指針平成22年版では、資産除去債務が今後の検討事項として入り、ますます将来数値に向かっている。中小指針が毎年改正されているが、税務目的の決算を行っている非上場の中小企業では基本的相違が生じていて適用が難しい。そのため、もう1つ新しい中小ルールが必要。また、平成22年度の税制改正によりグループ法人税制が導入され、連結納税と違ってグループ法人には強制適用される。新税制は100%グループ会社の中小法人はグループ内の損益を認識しないこととなっているなど大きな変革がある。中小指針改訂版において対応が見られない。 現場の一番の関係者である中小企業庁が主体となって、現場を知っている税理士が一緒になって新しい中小会計基準を作るべき。
  • 商工会会員のほとんどは小規模であり、自計化できない事業者については、記帳代行や記帳指導などの支援を商工会が行っている。小規模企業は、人材が限られており、日々の営業活動で手一杯である。会計は税務申告のためという企業がほとんどであり、自社で決算書を作ることのできる企業は少ない。中小企業の実態を考えると、現行の中小指針を変更しても無理だと考える。小規模企業に光をあてた会計を作るべき。 策定にあたっては、中小企業の育成や指導を考えると中小企業庁が主導的役割を担ってほしい。そうすることで中小企業者に使われる会計基準になる。また、全員が納得いくものを作らないと普及しないし、定着するまでにはある程度長い期間が必要となると考えるべき。現行の中小指針は優良企業が使う立派なものであり、これを残した上で、小規模企業向けのものを新たに作ってほしい。
  • 中小企業の経営者自らが理解でき、対応可能であり、自らの経営に役立ち、事務コストが少ない会計を新しく作るべき。ユーザーサイドの中小企業の意見も取り入れたものにしてほしい。 中小企業の実情を知った中小企業庁が中心となって、中小企業ユーザーなど幅広く入れて作るべき。
  • 中小企業会計には、弾力的運用、幅があるものが必要という意見があったが、中小指針にも幅があると考える。中小指針のどの部分に幅がないのか教えて欲しい。また、中小指針が使われないとの意見があるが、使おうとして使えなかった項目、使いづらい項目は何なのか教えて欲しい。自分のクライアントの大半は従業員10人未満であり、経理担当者は0人〜1人が多い。退職金規定がないところもあるが、中小指針を利用している。実務慣行と一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行とは異なる部分があり、会計の中に公正妥当でないものは取り入れるべきではない。中小企業庁が一番中小企業の実態を知っているので、リーディング的な役割をしてほしい。しかし、民間が集まって知恵を出し合って会計基準や指針を作っているのが世界の大勢であると認識している。
  • 中小企業の利害関係者にとって正しい企業の実態が反映されたものが必要。日頃から自分の会社がどうなっているのか把握できるものが望ましい。理想的なものばかりを並べても、それに対応できない中小企業には、別途、正しい企業の実態を反映するものが必要。設定主体は、小規模企業はパワーの観点から言っても設定主体となることは難しいので、中小企業庁が中心となるべき。
  • 金融機関などの利害関係者と繋がる会計は、経営状況を正しく反映することが必要。IFRSのような詳細な情報は求めていない。取得原価主義で良く、正確に計上されていることが重要。それ以上の情報は、金融機関がヒアリングなどにより補う。身の丈に合った実行可能な会計が必要。経営者に役立つことが重要であり、リレーションシップバンキングに資する会計であるべき。審査を行うにあたり、経営者と向き合って経営方針を作成する。こういう会計が金融機関と繋がる会計ではないか。経営者が会計情報をしっかり理解すべき。今の中小指針が経営者にとって理解できないものであれば、別途、経営者にとって理解できるものを中小企業庁が作るべき。
  • この研究会と「非上場会社の会計基準に関する懇談会」とでは雰囲気が違いすぎる。設定主体について、それぞれの国の実態に応じればよく、ルール作りで世界の大勢は民間であるべきという意見があるが、民とか官とか拘るべきではない。私自身、中小企業の会計は1つあればいいと考えているが、今の流れだと2つになる感じがする。その場合、名称など現行の中小指針との調整がASBJの懇談会等と必要。 税法と合わせるという意見があるが、平成10年以降の会計と税制の乖離によって確定決算主義が蔑ろにされた。会計ルールをきちんとして、税法が会計に合わせたものとするべき。かつての6つの引当金が平成10年以降2つになったがこれを元に戻すべき。会計ルールでは減価償却や引当金は重要であるので、税法にものが言えるだけの会計が作られるべき。そうすることで、中小企業の会計が良くなる。報告書の中で、安直に税法基準とするのではなく、税法と調整を図るとすべき。税法側に建設的な意見を言えるだけの会計の基盤作りが必要。
  • 経営者に役立つとあるが、中小企業の経営の実態は規模や能力などの点で千差万別であるから、抽象度の高いメッセージでは意図が伝わらないであろう。例えば、経営者に役立つとは、経営の実態をきちんと経営者が把握できるものであること、経営の実態を数値で説明できるものであること、利益がどこから生み出されているのか(=利益の源泉)を把握できるものであること、などという視点も加える必要があるのでは。 管理会計は、本来は経営に役立つ会計であるはずだが、各種の技法を並列的に紹介するだけでこれを管理会計だとする向きもある。それでは中小企業では使えない。中小企業の経営に役立つ中小企業版の「管理会計」について、報告書に是非とも入れてほしい。利害関係者と繋がる会計とあるが、零細企業は節税問題が最大の関心であるのが実態であるから、利害関係者の保護などを旨とする会社法と矛盾する場合がまま生じる。この点の解決が必要。
  • 第1回非上場会社の会計基準に関する懇談会では、近藤政務官から、この研究会と連携し、シンクロして検討を進めていただきたいという発言があった。経営者が理解できるもの、幅広く利用されるものにしていくという視点が必要。 その場合に、例えば、取引が複雑かどうかという、取引の内容によって切り分けることも考えられるのではないか。同じ属性、同じ規模の企業でも会計参与設置会社か否かで分配可能利益や会計上の利益が異なるのはどうか。 資産除去債務は、法的な債務又はこれに準じるものであり、会社法上、負債の部に計上しなければならないとしている。中小指針では、日本の会計慣行の成熟を踏まえて対応することとし、今後の検討事項としている。
  • 基準をどう守るのかということも併せてセットすべき。金融機関からも信用されるものが必要。税理士法33条には、税務のみに対してであるが、税理士が内容を保証しなければならないとされている。信金や地銀などは、税理士の内容保証とセットした融資商品がある。新しい会計にもこういうものをセットしたスキームが必要。
  • 論点整理案の中で、「新しく中小企業の会計処理の在り方を示すものを作成した場合、中小指針が使われなくなってしまう懸念がある」と記載されているが、これは以前私も発言しているはずだが、会社の区分をどうするかという前提があっての発言であり、会計参与の有無で会社区分した場合のことである。 論点整理案では、「同族会社であること」という分け方は、会計参与設置会社で区分していないということで理解。われわれが議論しているのは会社法会計の話なので、同族会社は株式譲渡制限会社と同等なのかどうか、会社法上の概念で位置付けた方が良いのではないか。 また、会計参与設置会社の実数はどうなっているのか。
  • 中小企業は、我が国経済の基盤であり、地域経済の柱であって、多くの雇用を担う存在であることから、論点整理案の1つ目の○が全ての基本であり、中小企業が成長することが大前提。中小企業の実態に則した会計が一番のポイント。中小指針は質が高く、世界の中でもレベルが高いものとされており、こういうものは存続させるべき。設定主体について、会計は国家戦略に匹敵するものであり、税制、金融など様々な観点から把握している中小企業庁が設定主体となるのが良い。
  • 中小指針は分かりにくいとあるが、これはあくまで現状のものであり、読み方や書きぶりなどの変更で対応ができるのではないかと考える。また、どの項目が難しいのか検討願いたい。論点整理では、これまでの意見を反映したものをまとめてもらいたい。

以上