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第3回 中小企業の会計に関する研究会 議事要旨

日時:平成22年4月2日(金)16:00〜18:00
場所:経済産業省 別館10F 1028会議室


議事概要

清水委員(配付資料3)、椎名委員代理、吉田委員(配付資料4)、上原委員、武田委員がプレゼンテーションを行い、それに関して自由討議が行われた。自由討議の概要は以下のとおり。


  • 平成14年6月に中小企業庁の研究会報告書、同年12月に日本税理士会連合会の基準、平成15年6月に日本公認会計士協会の基準が出来たが、各基準の対象企業を見てみると、商法及び商法特例法の下で、大会社・中会社・小会社の区分を前提とするもの。他方、中小企業会計指針の対象は、公認会計士の監査対象外の企業でとくに会計参与設置会社。中小企業会計指針とは別に使い勝手のいい会計基準ができる場合には、対象会社の設定の仕方が重要。会計参与設置会社以外の会社を対象にすると、会計参与は任意であるため、結果的に、使い勝手の良い会計に利用者が集中し、中小企業会計指針及び会計参与設置会社が消失しかねない。それを防ぐには、かつての商法特例法のような大中小といった会社区分が必要。
  • プレゼンにおいて、現行の会計基準で十分であるという発言があったが、現行の会計基準とは何を指すのか。中小企業の実態を反映している基準だと思うが、どのレベルの中小企業を対象とするのかによって意味合いが変わってくる。前回、現行の会計基準の1つとして、税法基準を提案した。  また、決算書を金融機関サイドで査定するという発言があったが、他方、現在の中小企業会計指針では、評価は企業側の負担とする考え方を採っている。委員の考えでは、むしろ評価は金融機関つまり利用者側でできるため、中小企業にそこまでのことを強いる必要がないという理解でよいか。
  • 実務ではどの会計基準で決算書が作成されているかをあまり気にしていないのが実態だが、法人税申告書中心の資料をいただいて財務分析していることを考えると、現行の会計基準とは税法基準+α程度だと思う。
  • 会計基準の極にあるのが企業会計原則。会計基準には、時価会計がどんどん入ってきているが、中小企業の実態としてはそこまで追いつけていないのではないか。取得原価主義を基礎とした企業会計原則が実態であると思う。
  • 当方の評価基準で、顧客の決算書を時価にて修正している。提出された決算書の数字だけでは審査しない。決算書上の問題について、時価への修正を顧客にお願いしたいが、その企業の風評リスク、対外的信用に関わるものであり、実際には難しい。きちんと決算を修正した企業が大幅な債務超過となり、結果、金融機関や主力取引先が撤退し、倒産になったケースもある。我々は、もらった決算書を修正してみて、それを知った上で取引している。それを知って取引しているのと、知っていないで取引をするのとでは意味が違う。但し、実態BSが債務超過になったからといって、融資をお断りすることはない。
  • 決算書を入手して融資等の判断をされていると聞いたが、会計方針の注記を見て判断しているのか。つまり、会社毎に異なった判断をしているのか。 また、情報を積極的に取れる金融機関とは違う立場である場合、例えば、会計基準で一定の情報を示す必要があると考えるか。
  • 決算書を取れると言っても、何千社もあるので、調査票で売上と利益を5年間見ているだけ。その中に注記はない。会計基準を統一してもらえないと、そもそも詳細まで見ることが出来ない。
  • 会計基準で記載を統一してもらうのは理想的だが、現実にはそこまでは難しい感じがする。
  • 直接、顧客に質問はせずに登記簿謄本などで調べている。支払手形を切っているのに、当社への支払手形より少ない場合など、操作されている項目がある。そこを見ており、処理をしている。時価会計を入れるなど、会計基準の要求度合いを高めておいた方が良いとあるが、それは理想だが、中小企業にそこまでやる体力はない。我々としては、まずしっかりと業務に従事してもらい、できれば会計もやって欲しいという感じ。
  • 中小企業にIFRSは一切関係ないと考える。出荷基準でOKだし、耐用年数の見積もりなどを中小企業に押しつけることはないであろう。本日のプレゼンにもあったように、在庫はいくらなのか、キャッシュインはいくらあるのかという見方が必要。リースまがいのオフバランスの話は、債務認識の重要性を物語っている。 中小企業にとって必要なのは、経営者の意識である。社長が答えられずに経理担当者に任せるのは如何なものか。税理士や会計士等の会計プロフェッションが支えていくことが必要。 また、金融機関が時価評価し、修正していると聞いたが、債権者が有効な情報は会社自身にも有効な情報なはず。
  • 会社法374条で、会計参与は計算書類を作成するとある。外部報告用に計算書類を作成するのは重要であるが、会社法329条で会計参与は役員と定義づけられた。長い視点で経営に参加し、もう少し会社に入っていくことが必要。 経営者が、会社の経営実態をきちんとつかめる会計が重要。金融機関の審査は企業の経営者にとっては外部分析ということである。決算書は外向けの顔と内向けの顔があると言うと経営者は理解しやすい。外向けだけでなく、経営の実態がつかめ、経営で使えるものが必要。
  • 会計の本質は、どういう企業経営をしているのかを表すところにあると思う。委員のプレゼンで報告があったが、企業経営をどうやっていくかを考える必要がある。経営理念、戦略、方針をブラッシュアップして中身が良くなってくる。 金融機関と一緒に勉強会をやるなど、金融機関から信頼されるような関係が必要。金融機関と連携することで、企業の道筋が開く。審査から見た中小企業の会計のお話の中に、本質的なところは全て整理されていると思う。
  • 会社計算規則第3条の「その他の会計慣行」に該当する会計慣行が、中小企業会計指針を含めて複数あると思う。金融機関が審査で財務諸表を修正していることは、それだけ会計基準が揺れているということ。平成14年の商法改正による附帯決議で、国際会計が入ると中小企業に負担がかかるので、負担を軽減される必要がある、ということで三つの会計指針(基準)ができた。これを統一するために、平成16年の中小企業政策審議会で3つの会計の実態報告を契機に現行の中小指針にまとめられることになった。 しかし、会社法施行との関係から、中小企業会計指針は、いつの間にか会計参与のための会計指針に変わってしまった。中小企業会計指針は、中小企業にハードルが高いという、不信感が本研究会、ASBJ、日本商工会議所、日本租税研究会の中小企業会計研究会開催に繋がっていると思う。 上場企業以外の企業の会計にどういったものが必要かは、平成14年の商法改正の原点に戻って検討すべき。会計基準を分けると、安易な会計に流れるのかどうかも今後検討すべき。
  • 大企業が決算書の評価を見直し、時価会計で大きな損失を出したら評価されて株価がアップしたが、中小企業がやると赤字決算として評価されず、融資を打ち切られるなどして、たちまち潰れてしまう。上場企業では同じことをやってほめられて、中小企業では痛い目にあう。会計基準を検討するに当たっては、単に会計を議論するだけでなく、企業運営の実態、動きを念頭に置く必要がある。
  • 身の丈に合った基準作りが大きなテーマ。中小企業は、経理担当者の人数が0人〜1人がほとんどであり、50%くらいは仕訳伝票を作るのみであり、総勘定元帳の作成までを入れると70%くらいになる。これら中小企業の実態を踏まえるべき。
  • 「会計をきっちりした」と「赤字決算になった」を天秤にかけた場合、「赤字決算になった」の方が影響が大きい。金融機関も審査において実態財務への修正を行っているのであれば、表面上ではなく、実体上の数字で判断してほしい。 また、会計をきっちりやっている中小企業に、もう少し恩典があっても良いのではないか。きっちりやることのモチベーションが必要であり、もう少し後押しすることが必要。 なお、信用保証協会の土俵で考えると、多くの税理士がチェックリストを作っていると感じる。

以上