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第2回 中小企業の会計に関する研究会 議事要旨

日時:平成22年3月12日(金)10:00〜12:05
場所:経済産業省 別館11F 1120会議室


議事概要

品川委員、上村委員、河崎委員が配布資料2〜4に基づいてプレゼンテーションを行い、それに関して自由討議が行われた。末尾に経済産業局企業行動課が資料5に基づいて説明。自由討議の概要は以下のとおり。

◆中小企業の実態について

  • 取引先の中小零細企業の経理担当者は1名いるかどうかで、中小企業会計指針のレベルまで達していないのが現実。会計参与設置会社は取引先では見たことがない。高い次元での財務諸表を求めても、中小企業はそれに対応する能力、体力がないため、負担の掛からない形でお願いしたい。
  • 決算書が実態と掛け離れている場合もあり、金融機関は顧客からもらった数字をそのまま見ない。理想はすべて時価会計かもしれないが、実態バランスでみると、かなりの企業が債務超過に陥るのが現実であり、金融機関や取引先からの信用が低下してしまう恐れあり。
  • 健全な中小企業をどう育てるのかという視点が必要。高い技術を持っていても、法令や基準を守る知識、意識が低い企業が多い。
  • 中小企業は規模によってその経営実態はかなり異なっており、会計に対するニーズも大きく異なる。中堅企業など一定の規模になると、投資が重要になるが、内部留保(自己資本)が薄いままだと、金融機関に依存せざるを得なくなる。そうした企業は外部に公表するためのデータを重視するが、自己資本比率や回転率などを駆使して経営判断のニーズにどう応えるかという観点が重要。一方、同族企業のように節税のために見た目は赤字でもよいという企業もあり、会計の問題として中堅企業と全く異なるが、これにどう対応するかが課題。
  • プレゼンテーションで指摘された書面添付制度は「計算事項・審査事項を記載する書面(税理士法33の2??)」であるため、使い方が実態と異なっていると思う。決算書類において大企業は定量的な要因説明が重要だが、中小企業は定性的な要因が重要。指針注記では記載個所がないので、添付書面とは別途営業報告書に近い定性要因に関する注記的なものも実務上作っているという実情がある。

◆現行の中小企業の会計に関する指針について

  • 中小企業会計指針は、トップダウン・アプローチで設定したつもりは全くなく、中小企業に適正な会計という観点から考えている。例えば、税効果会計は、課税所得が予測できない中小企業は適用しなくていいというより、してはいけないため除外するものと考えている。税法基準であっても適切なものの適用を認めている。上から目線、トップダウンなどという考えは毛頭無い。なお、退職給付引当金を計上すると赤字になるのであれば、それは実態として赤字であり、現実を見据えることが必要。
  • 中小企業会計指針の普及実態は、中小企業庁アンケート(21年9月)では認知度が42.2%、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの20年8月調査では準拠率が33.6%となっており、中小企業庁の中小企業政策審議会のおける平成17年からの3年間で5割までという推進計画目標を踏まえると、一定の普及が図られていると思料。
  • 中小企業会計指針は税法基準に配慮しているというが、まず会計基準を優先しており、コストベネフィットを勘案していると言いながら、会計基準を熟知したうえで税法基準を容認するものであり、中小企業にはむしろ過重負担である。
  • 中小企業会計指針は、外部から見るとトップダウン・アプローチのよう。企業会計基準が改定される都度、それに合わせて中小企業会計指針が改定されている。企業会計基準では棚卸資産の評価方法は低価法が強制であるが、会社計算規則及び税法では選択制を認めている。中小企業会計指針では重要性がなければ時価評価をしなくてよいとなっているが、重要性の判断は中小企業が行わなければならず、企業会計基準より過重な負担であり、これを押し付けていいのか。

◆中小企業会計の策定アプローチについて

  • 幅広い議論から、今後は絞り込んだ実態的な議論を始めることが必要。中小企業相当の実態に詳しい商工会議所の記帳指導担当者(約18,000人)の意見などを活用して欲しい。
  • 今まで日本は、国際的な潮流に流されてきた。日本独自のものを改めて考える必要性がある。先進諸国は経済社会における中小企業の果たす役割を積極的に評価して中小企業重視へと政策転換を行っている。国際会計基準に流されず、中小企業の役割・経済活動に沿って中小企業の会計の在り方を検討すべき。
  • 当事者である中小企業や中小企業団体が、中小企業の抱える課題とその原因を 分析し、対応する施策・モデルを検討。現状で克服すべき問題があるとすれば自主的な目標とすべきものを設定し、3年から5年計画で実行検証する。
  • 同時に、中小企業の経済活動にそった会計基準の是非について、省庁横断的な 政策課題を抱える中小企業と中小企業庁・関係政策当局と検討したらどうか。
  • 会計参与がいてもいなくても、企業会計は会社法に則る必要があるため、会計参与の有無で会計基準の線を引く必要はないと考えている。
  • 殆どの中小企業で、会社法に照らした場合の意図せざる粉飾という問題がある。基本的に税法基準に従って会計処理すると、税法は損金算入要件が厳格なので、損金に算入できない貸倒引当金、棚卸資産の評価などが問題になる。会社法との整合性に関する整理が必要。
  • 平成14年の中小企業の会計に関する研究会報告書は、中小企業の身の丈に合ったものであり、これを原点として考える必要あり。ボトムアップ・アプローチで、かつ、記帳から始まるレベル感の会計が中小企業の身の丈に合っている。
  • 会計基準の内容も大事だが、会計基準を中小企業に浸透させることが必要であり、策定プロセスの透明性確保が重要。現行の中小企業会計指針の策定時は、ユーザー側としては商工会議所しか入っていなかった。多くの中小企業の関係者を集めて作成することが重要。260万の中小企業にとって、記帳レベルから始まるような会計が適している。
  • 中小企業会計指針の策定の現場では、アプローチ手法は意識していなかったが、どちらかといえばボトムアップ・アプローチが多かったのではないか。これらのアプローチ以外にも現行の指針を改定するアプローチもあると思う。
  • 中小企業庁アンケートでは、中小企業会計指針の認知度は確かに上がっているが、準拠率は平成20年度15%、平成21年度14%となっており、この程度がアッパーリミットの可能性がある。また、同アンケートをみると、中小企業会計基準に期待することは、極力簡便な会計処理が36%となっている。よって、中小企業はレベルの高い基準を望んでおらず、ミニマム基準でよいと考えており、その意味で税法基準と税理士の書面添付制度の併用を提案している。
  • 税法は平成10年以降、負債性引当金の損金算入を否定している。会計理論から行くと債務性の高い引当金を計上しなかったり、減価償却を全額処理しないのはアウトである。単純に税法基準を採用するというのではなく、税法基準の性格や税法と会計理論の乖離を十分認識した上で検討する必要がある。

◆会計基準の国際化について

  • IFRSへのコンバージェンス又は適用によって、金融機関が培ってきた中小企業の実態バランスの分析に関する独自のノウハウ、情報システムが崩れてしまうのが懸念。
  • IFRSをそのまま中小企業会計指針に取り込む必要はない。包括利益等を採用する必要はなく、損益計算はそのままでいいと考えている。

以上