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  ビジネスプランの作成
目次
はじめに
創業における経営課題と支援施策
支援人材の基本姿勢
ビジネスプランの作成
創業前後の資金調達
創業後の継続的な支援
マーケティングの支援
コーディネートによる支援
国際化対応への支援
ビジネスプランの作成
 ビジネスプランの必要性や書き方のノウハウについては、近年飛躍的に普及してきました。最近見かけるビジネスプランは、数年前と比較すると数段進歩してきています。しかし、事業を展開する際の道しるべとして、あるいは金融機関や投資家から資金調達をするためには、まだ不十分なものが少なくありません。ここでは、ビジネスプラン作成の支援をする際に、気をつけておくべきポイントについて、(株)ウイングリサーチアンドコンサルティング代表取締役長谷川智彦さんに、論じていただきます。
ビジネスプランを作る意義
   ビジネスプラン(事業計画)を持っている企業は、中小企業では約3割に過ぎません。確かに、ビジネスプランがなくても、行き当たりばったりの経営でも成功する人もいます。しかし、経営環境が不透明でかつ急速に変化する今の時代だからこそ、ビジネスプランが新しい事業の成功確率を高めてくれる最大の武器になります。また、ビジネスプランを作成することは、自分の進める事業の理解を深めることになり、社内外の関係者の理解と協力を集める上での強力なツールにもなります。資金調達という目先の目的だけでなく、まずビジネスプランを作る真の意義を、起業家、経営者に理解してもらうことが大前提になります。

◆事業計画書の項目例
1 プレビュー 1. 表紙
2. サマリー
3. 目次
2 事業の全体像 1. 経営理念
2. 事業の内容
3. ターゲットとする市場
4. 顧客ニーズ
3 事業の分析 1. 新規性・独自性
2. 市場規模と特性
3. 競合状況と優位性
4. マーケットポジション
5. リスク分析
4 事業展開 1. 商品開発計画
2. 製造・調達計画
3. 販売計画
4. 将来(3〜5年後)戦略
5 財務計画 1. 収支計画
2. 資金計画
3. 財務分析(損益分岐・財務指標分析等)
6 プロフィール 1. 会社概要
2. 経営陣プロフィール
3. 社外ネットワーク

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本気のビジネスプランか。
   起業は、「夢」への第一歩です。同時に多くは苦難の道でもあります。そこを歩み始めるに当たって十分な覚悟があるか、情熱が込められているかが重要な鍵です。起業家の情熱の感じられないビジネスプランでは、一緒にチャレンジする人を惹きつけたり、投資家を唸らせることはできません。思い付きや軽いノリで始めようとしても、ビジネスプランの中でそれは露呈してしまいます。アイディアだけで起業しようと相談に来る人もいるでしょう。しかし、思いつきだけで成功する人はいません。思いつき=アイディアをいかに実行可能なビジネスプランに昇華させるか、そのステップ無しには成功は望めません。本気のビジネスプランからは、周到な準備と細心の計画が汲み取れるはずです。その上で、成功に向かっての強い信念が読み取れる、そんなビジネスプランでなくてはいけません。
独りよがりのビジネスプランでないこと
   ビジネスプランは、起業家が独力で一気に書き上げるものというのは、むしろ間違った部類の考え方です。起業家一人の能力、情報は限界があります。弱みを補強してくれるパートナーとビジネスプランを練り上げるべきです。しかし、なかなか最初から適切なパートナーがいない場合もあります。その場合も、必ず起業家のことを理解する人、目指すビジネスに造詣の深い先輩などを探し出して、ビジネスプランに対するアドバイスをもらって、欠点を発見し修正するべきです。支援人材がビジネスプランの作成を支援する際には、単に書き方の指導や過去の成功例の押し付けになったり、チャレンジングなプランに、リスクを論して冷や水をかぶせることになったりしてはいけません。一緒になってこのビジネスを成功させるんだという、起業家と同じ視点と若さに立ったアドバイスが求められます。
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わかりやすく、成功を予感させるものであること。
   投資家や金融機関に理解してもらうためにはたくさん記述した方がよいと考える人もいます。プレゼンテーションでも長々と事業内容を説明する人がいます。しかし、ぶ厚いビジネスプランは変化に対応して適宜見直しを図るには不向きですし、それを読むベンチャーキャピタル等の忙しい人の目にも止まりにくいのです。メリハリがあって、かつポイントをはずしていない、洗練され、簡潔にまとめあげられたビジネスプランこそ、望ましいのです。米国には『エレベータ・ピッチ』という言葉があって、エレベータに乗っている間にビジネスを説明して、投資家を虜にするくらいのものでないといけないと言われます。A3版見開き一枚のサマリーを使って、3分以内に事業の骨格を説明できるような訓練が必要です。
 わかりやすいことも重要です。専門的な説明のみに終始しても、読み手の理解度を下げ、興味を失わせます。「大切なのは普通の言葉で非凡なことを言うこと」(ショーペンハウウェル)です。データも重要です。市場や財務のデータは、不慣れな人には面倒かも知れませんが、ビジネスプランを作成する上では不可避なものです。「数字」がビジネスの世界の共通語ですし、ごまかしの効かないものだからです。また市場データはビジネスプランを構築する上で根幹をなすものです。「全く新しい商品だから予測がつかない」「爆発的に売れる」という人も少なくありませんが、これはまだ検討が不十分なアイデア段階に留まっているのに過ぎません。顧客は必ず何らかの代替品・サービスを利用しているはずです。仮にまとまった統計データがなくても、代替品等の販売実績から、また想定顧客層の数や支払可能金額などからも市場規模を規定することはできるはずです。
顧客の視点で考えること。
   ビジネスプランは、顧客の視点で考えられていることが必要です。提供する商品・サービスが何で、何故、顧客は対価を払ってそれを購入するか、それが実現する顧客価値は何かを突き詰めて考え、立証することが必要です。その商品はどこが新しいのか、そして顧客が待ち望んでいたものなのか、安いから買うのか。または同じレベルの性能のものだから、同程度売れると考えるのか。いづれにしても信用と市場シェアのある大企業と異なる訳ですから、提供者の論理でなく顧客の視点で考え述べられていることが必要です。それを端的に立証できる実際のテストデータや顧客の声は読み手のポイントを高くします。少なくとも、お客様20人から意見を聞いてみましょう。
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リスク分析−最悪に備えること。
   経営環境は目まぐるしく変化しています。したがって、あらゆるリスクに対応して、常に成功することは難しくなっています。現実的には傷口が大きくならないうちに、業容を転換して経営革新を図る、また場合によっては事業そのものを畳むことも考えなくてはいけません。予めどういうリスクが予見されるか、それに対する対策は何があるかなど、リスクを十分に分析しておくことが有効です。まずどういうリスクがあるかを把握することから始めるべきでしょう。一般には顧客ニーズの読み違え、売り先の倒産、競争相手の参入、法律改正などが考えられます。業界特有の問題、例えば食品業界であれば無認可原料の混入や食中毒などもあるでしょう。少なくともリスク要因が十分上げられるだけの、自分が参入を図る業界知識がないと成功は覚束ないし、泥沼の失敗に陥りかねません。最悪に備えること、これもビジネスをスタートさせる上で、十分に考えなければいけない事項です。
  以上の点に留意しつつ、成功への処方箋としてのビジネスプランを創業者とともにブラッシュアップしていくことが支援人材に求められています。

CHECK POINT
  成功への処方箋になっているか。
1 本気のビジネスプランか?起業家の情熱と覚悟が伝わってくるか?
2 起業に必要な人材、ノウハウはあるか。周囲の理解と支援はあるか。
3 事業は十分に検討され、洗練されていて、簡潔に示されているか。
4 顧客の視点で考えられているか。思い込みでないか。
5 論理的、定量的に事業の成功シナリオが述べられているか。

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事例 あきない・えーど
 あきない・えーどの支援の特徴は、「顧客志向」と「プロフェッショナリズム」の徹底です。そのために重視している点が、顧客がサービスを選択できるようにすることです。ウェブサイト上には専門家の顔写真、経歴、専門分野を掲載するだけでなく、過去の相談・回答例をFAQの形で掲載するなど、相談者自らが相談したいと思う専門家を選べるようにしています。一方で、プロの支援を徹底するために、登録の際に書類だけでなく擬似相談により審査し、登録後は相談件数ランキングを専門家間で共有しています。
 ビジネスプランのブラッシュアップは、あら捜しだけでなく、相談者のアイディアを膨らます(例:3億円のプランを10億円のプランに)ことに重点を当てています。
(URL:http://www.akinai-aid.ne.jp/

筆者紹介 長谷川智彦(はせがわともひこ)
【(株)ウイングリサーチアンドコンサルティング代表取締役】
筆者、長谷川智彦
1988年東京大学工学系大学院修士課程修了し、同年4月(株)三菱総合研究所入社。事業計画の策定及び評価、新技術・新事業進出のコンサルティング及び中小企業政策関連の調査などに従事するとともに、三菱総研のベンチャービジネスへの取り組みをリード。平成14年1月に独立しウイングリサーチアンドコンサルティング(株)を設立し代表取締役に就任するとともに、グローバルベンチャーキャピタル(株)に参画。テクノロジーベンチャーに対してビジネスモデルの策定と実行をコンサルティングと投資の両面から支援している(中小企業診断士)。

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