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相談事例その10:フランチャイズ契約は十分に理解したうえで

相談内容

 脱サラして小さな店を経営したいと考えていた折り、コンビニエンス・ストアの本部からフランチャイズ・チェーン店への加盟を強く勧誘されました。加盟の条件は、
(1)従業員は本部から派遣する
(2)開設資金は2,000万円程度(内外装工事費及び設備・什器等の経費)
(3)加盟金・保証金は300万円
との説明でした。フランチャイズ・チェーンについての情報もないので不安です。どのような点に注意すればよいのでしょうか。

問題点と対応

フランチャイズ・チェーンの特徴

 フランチャイズ・システムは、加盟者にとっては、チェーン本部から優れた商品や経営ノウハウの提供を受け、商標、商号の使用が可能となるなど個人経営では得られない様々な情報やシステム、ノウハウ等を享受することができる一方、本部にとっては、加盟店の資金負担により出店時の投資コストの削減や、急速な多店舗展開が可能となるなどのメリットを有しているといわれるシステムです。
 本部の統一的イメージ、システムのもと、経営していくものですので独自の経営手法を重視し、本部の統一的イメージなどにとらわれない経営を望まれる方はフランチャイズの契約はお薦めできません。
 フランチャイズ契約は、独立した事業間の契約ではありますが、
(1)本部が一方的に設定した内容を加盟者が受け入れる約款契約であること
(2)加盟者を本部の系列の中に組み込む契約であること
といった性質を持つため、加盟者が適切な情報を得た上で、十分内容を理解して本部と契約することが重要です。

フランチャイズ契約において留意すべきこと

1.加盟店は「独立した事業者」
 フランチャイズ契約は、加盟店とチェーン本部がそれぞれ独立した事業者として、各々の責任において締結するものです。加盟店は、本部事業者の社員として雇用されるのではなく、自己の資本を投下し、事業を行う者であり契約に際しては、独立した事業者としての自覚を持つこと、また、事業であるからにはリスクがあることを認識した上で判断する必要があります。
 また、フランチャイズ契約は本部と独立した事業者である加盟店との事業者間の契約であるため、本部と加盟店の間の取引関係には独占禁止法が適用されます。公正取引委員会は独占禁止法に基づき、「フランチャイズ・ガイドライン」を公表し、これによりどのような行為が独占禁止法に定める不公正な取引方法として問題になるか明らかにしています。
  
2.契約前にチェックすべきこと。
 フランチャイズ契約は、 チェーン店本部があらかじめ用意した内容を加盟店が受け入れる契約であり、また契約期間が長期にわたることが多いことから、加盟店が適切な情報を得た上で内容を理解してチェーン本部と契約することが重要です。
 なお、小売業や飲食業のフランチャイズ契約を結ぶ場合には、中小小売商業振興法でチェーン本部の事業概要及び契約の主な内容についての情報を、チェーンに加盟しようとする方に対して事前に書面で示し、説明することを義務付けています。事前開示項目は平成14年4月に改正され、大幅に追加・拡充されました。
 事前開示項目は大きく分けると、以下の(1)及び(2)です。
(1)チェーン本部の概要
(2)契約内容のうち、加盟者に特別の義務を課すもの等加盟者にとって重要な事項
の二つに分かれます。
 (1)は主要株主、子会社、財務状況、店舗数の推移、訴訟件数など、(2)ではテリトリー権の有無、競業禁止、守秘義務の有無、加盟金・ロイヤルティ(注)の計算方法など金銭に関すること、商品・原材料の取引条件に関すること、契約解除・更新等に関すること、などです。経済産業省では「チェーン本部に関するデータベース」を作成し、各チェーン本部毎の事業概要や契約内容等についてインターネット上で公開しています。(http://frn.jfa-fc.or.jp/)
 契約をせかされてもこれらの情報を十分吟味して、各本部の契約内容を比較、検討することが大切です。
(注)ロイヤルティとは、商標等の使用権やマニュアルの使用及び継続的な経営に関する指導、援助の全部又は一部の対価として定期的に本部に支払う金銭のこと。
  
3.特に注意すべきこと 
フランチャイズ契約において特にトラブルが生じやすい項目として以下の6つが挙げられます。
(1)売上予測、経費予測と実態の相違について
 チェーン本部が加盟店を募集する際に提示する「売上予測」、「経費予測」等と、加盟後の経営実態が異なり、トラブルが生じるケースが見られます。これらを示す本部からはその算出根拠を明確に説明してもらうことが大事です。さらに、既存加盟店から話を聞いたり、同業他社と比較したりするなどして算出根拠の妥当性を検討するようにしましょう。
 また、自らも出店する近隣地域の状況を調査したり、専門家に相談したり、事前調査することが望まれます。
(2)加盟金の返還の有無について
 最近見られる契約形態の中には、店舗候補の物件が確定する前に契約を締結し、加盟金と同趣旨の金銭の支払いが求められるケースがあります。このような契約形態の場合、店舗を開店できないにも関わらず、金銭が返還されない等のトラブルが起きています。このような契約の場合は本部の開店に向けた支援、開店できなかった場合の金銭の返還の有無等について明確に説明してもらうことが大事です。
(3)ロイヤルティの算定方法について
 ロイヤルティの算定方法はフランチャイズ契約に記載されるべきものですが、その内容はチェーンによって様々です。
 例えば、チェーンによってロイヤルティ率が異なるのはもちろん、何を根拠に算定されるのか(売上総利益の一定割合、売上高の一定割合等)も異なります。特に、コンビニエンス・ストアでは、廃棄ロス(見切り処分等)や棚卸ロス(万引き等により紛失した商品のロス)を仕入額から控除した額を売上原価として売上総利益を算定し、その一定割合をロイヤルティとする計算方法を採用しているチェーンもあります。この方式の下では、加盟者が商品を廃棄した場合、その廃棄ロス原価はロイヤルティの算定の対象となる売上総利益には一定期間後は反映されません。(ロイヤルティの計算上、廃棄はなかったものとして取り扱われる一方、仕入からは控除されないので、加盟店の利益は廃棄ロスが増えると減ります。)こうした点を踏まえ、廃棄ロスや棚卸ロスの扱いについて、十分留意する必要があります。
 また、ロイヤルティは必ずしも純利益に応じて支払うものとは限らず、例えば粗利や売上高がベースであったり、さらには店舗面積等によって定額だったりするケースも見られます。これらの場合には、営業費用(人件費など)や売上高が勘案されないわけですから、売上不振や営業コスト増などにより経営が赤字であっても、ロイヤルティの支払いが必要になることがあります。十分に確認し納得した上で契約を締結するようにしましょう。
(4)オープンアカウント等の本部との債権債務の相殺勘定について
 加盟店と本部の間には種々の金銭債権債務が発生しますが、それを相殺する勘定を設定しその会計処理を本部が行うことがあります。一部のコンビニエンス・ストアにおいてとられている仕組みで、一般に「オープンアカウント」と呼ばれています。
 例としては、
ア)毎日の売上を加盟店が本部に送金し、
イ)そこから本部が一ヶ月単位で本部と加盟店間の債権債務を相殺し(商法の交互計算の準用)、
ウ)さらにロイヤルティを引き、
エ)残りの金額を翌月に加盟店側に支払います。
オ)加盟店はそこから人件費・光熱費等諸経費用を支払うことになりますが、
カ) 人件費等を支払うのに加盟店側の勘定がマイナスとなる場合は本部から自動的に不足分の金額が融資されます(通常金利が付されます)。
 本部が会計処理を行うため、独立事業者であっても売上金を全額送金しなければならなかったり、相殺後加盟店側の勘定がマイナスだった場合、本部設定の利息が附されて自動的に融資されるといったことがあります。
 本部との債権債務の相殺勘定はチェーンによって異なり、大変複雑な場合があります。その仕組みや自動融資がある場合の利率など、十分理解できるまで説明してもらいましょう。
(5)テリトリー権の設定の有無について
 フランチャイズ契約の中には、同一チェーン内において加盟店に一定の領域の商圏保護や地域制限を設けているものもあります。また、逆にこういったテリトリー権を認めない契約もあります。(コンビニエンス・ストアでは認められていない場合が一般的です。)テリトリー権がない場合については、将来近隣に同一チェーンの店舗が出店し、競合する可能性についても考えておく必要があります。
 なお、フランチャイズ・ガイドラインにおいては、本部が加盟店または直営店に関わらず、同一または類似した業種を含む店舗を周辺の地域に出店させることができるか否かに関する契約上の条項の有無及びその内容並びに計画の有無及びその内容についても事前に開示がなされることが望ましいとされています。
 同一チェーンの店舗が近隣に将来開店することがあり得るのかどうか等、契約の条項や出店計画を確認し、納得した上で契約を締結する必要があります。
(6)契約解除時における解約違約金
 フランチャイズ契約を中途解約する際の解約金をめぐり、トラブルが生じるケースが見られます。このため、以下のような契約解除の内容についても十分に内容を確認する必要があります。
ア)契約が解除されるのはどういった場合か。また、その手続きはどうなっているのか。
イ)加盟店が契約期間途中で解約を申し出たとき、解約金又は損害賠償金は取られるのか。
ウ)取られるとしたら、その算定方法はどのようなものか。(ロイヤルティの数ヶ月分等々)
 特に、加盟店が業績不振に陥り解約を申し入れる場合にも、解約金が必要かどうか。

相談窓口

フランチャイズ契約に関するご相談は、お近くの商工会議所・商工会、又は経済産業局、公正取引委員会地方事務所・支所、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会などの相談窓口をご利用ください。

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