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相談事例その9:代理人による契約の効力について

相談内容

 茶小売業A社は、電話機の販売代理店B社の営業担当者の訪問を受け、電話機の購入を勧められました。代表者をはじめ責任者が不在だったため経理担当者Cが説明を聞き、Cは営業担当者に促され購入契約書・リース契約書に代表者の氏名等を記入しました。
 Cから報告を受けたA社の代表者は、B社に対し、「(1)A社としては電話機を購入する意思が無いこと、(2)購入契約書等は、Cが営業担当者に促され、代表者等責任者に無断で記入したものであることから、契約は無効である。」との見解のもとに当該契約書の白紙撤回を求めましたが、契約は成立しているとして拒否されました。
 このような契約書の効力の有無について知りたい。

問題点と対応

 代理人による法律行為については、民法113条によると、代理権のない者が代理人として行った契約は無権代理行為として無効となるのが原則です。しかしながら、民法は「表見代理」として、相手方の立場からみて、代理権があると誤信するのがもっともだと思われる場合には、代理権がある場合と同様の効果を認めております(後述民法上の解釈参照)。

 本件の場合は、Cの行為が代理人による法律行為にあたるか否かによって契約書の効力の有無の判断が異なります。
 A社において、Cに与えられている権限の度合によって異なりますが、一定の権限が与えられていれば契約は成立していると考えられます。また、権限が与えられていなくても、社内における地位の高い者による行為である場合も契約は成立していると考えられます。
 相談者に対しては、当事者間での話し合いによる解決が望ましいが、「Cが、無権代理か表見代理かの判断」については、弁護士等専門家に相談されるよう説明しました。

最近の相談の傾向と注意点

 中小企業相談室に寄せられる相談は、小規模事業者等が安易に契約を締結し、事業者ゆえに解約等が出来ないという内容が多くなっております。
 最近は特に、「中小企業のIT化への対応」をセールストークとした、パソコン等情報機器の導入やホームページの作成に係る契約・解約についての相談案件が増えております。
 消費者の場合は、「消費者基本法」により消費者の利益擁護のための基本となる事項が定められ、また「消費者契約法」により、消費者の利益の擁護のため、契約の取消しや無効の規定が盛り込まれており、更に「特定商取引に関する法律」により、クーリングオフが適用されますが、事業に関する契約の場合は適用除外となっており、事業者の自己責任のもと、契約を締結する必要があります。

(参考)民法上の解釈

  • 代理人による法律行為(民法99条)
    代理人が本人の名で行った意思表示は、代理権の範囲内で、直接、本人が意思表示をしたのと同じに扱います。
  • 無権代理(民法113条)
    代理権のない者が代理人と称して行った法律行為(無権代理行為という)は、無効であり、原則として本人には何の責任もありません。
  • 表見代理
    相手方の立場からみて、代理権があると誤信するのがもっともだと思われる場合には本人は責任を負わなければなりません。
    本人がある人に代理権を授与した旨を表示しながら実は授与していない場合(民法109条)、代理人が与えられた代理権の範囲を超えて行為をした場合(民法110)、前に存在した代理権が消滅した場合(民法112条)に、相手方が真実正当な代理権があるものと信じ、かつ信じることについて過失がないときは、表見代理として、代理権がある場合と同様の効果を認めています。

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