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相談事例その8:内容証明郵便による債権回収の請求について

相談内容

 商品の販売代金または製品の製造加工代金などを再三催促しても、相手から支払ってもらえないので困っている。

問題点と対応

 商品の販売代金または製品の製造加工代金などを再三催促しても、相手から支払ってもらえないなどの相談はかなり多くあります。しかも、専ら相手の良心に期待して、口頭や電話または通常の請求文書の郵送を繰り返し行っているに過ぎない場合が多いようです。しかし、これだけの手段では支払わないことへの後ろめたさなど感じない相手が多々見受けられます。そこで、次に打つ手段として法的手続きへの端緒ともなる内容証明郵便による督促及びその効用について記載します。

 内容証明郵便は郵便法48条に基づく制度です。これによる督促は、自らの確固たる意思を公的制度で表明するものですから、債権者はまずそのことを自覚して行動に移す必要があり、同時に相手からつけ込まれるような余計な争点が無いことが望まれます。その上で内容証明郵便を送付すれば、債務者の中には相手は訴訟も辞さないのではと考え、軟化に転じることも考えられます。このような形で効用が現れるならば結構なことですが、内容証明郵便の本来の効用は、公的制度のもとに、債務者に対し、確実に一定内容の文書による督促がなされたことが証明されること、及び後日これが訴訟に進展した場合には有力な証拠となる点にあります。

 次に、内容証明郵便による催促に認められる法的な効果としては、第1に、期限の定めのない債務についてはその請求(催促)のときから遅延利息を支払わせることができます(民法412条3項、415条、419条)。第2に、「相当の期間」を定めて支払いを催促してもなお債務者が期限内に支払をしないときは、契約を解除することができることです(同541条)。第3に、時効中断の着手になることです。つまり、内容証明郵便で支払いを催告すればその到達の日から6ヶ月以内に裁判上の請求(訴訟など)を行うことにより、すでに進行している債権の時効を中断することができることとなります。(同147条、153条、173条)。

 また、実務上の留意点をあげると以下のとおりです。

1.契約書等で支払期限が明らかでない場合、必ず内容証明郵便の中で「相当期間」を定めておく。具体的には、「○年○月○日までに支払え」、あるいは「本状到達後○日以内に支払え」などの記述は欠かせません。
2.契約書、納品書などで既に支払期限が定まっているときには1.のような記述をすると期限を猶予・延期したかのように誤解されかねないので、この場合には「本状到達後早急に支払え」とか「本状到達後○日以内に支払われないときは法的措置を講ずる」などと誤解を避ける表現にします。
3.内容証明郵便は、債権者が支払を請求した証拠となるものですが、同時に債権者の確固たる意思の表明でもあり、原則として事後の訂正は利きません。また事態によっては訴訟などの法的措置まで進展することも当然予想しておかなければなりませんので、相手に有利になるような記述は避けなければなりません。従って、多額な金額の請求や複雑な事情が絡む場合には、事前に弁護士に相談したほうがよいでしょう。
4.内容証明郵便の作成形式には一定の決まりがあるので、詳しくは郵便局で尋ねたうえ作成するようにしましょう(「相談事例その7」を参照))。
提出の際には必ず、「配達証明扱い」としておくことも重要です。
 

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